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2025.12.18

シニア犬のための健康管理 気と血の流れをよくして元気を回復《RETRIEVER + POCHI archive044》

シニア犬のための健康管理 気と血の流れをよくして元気を回復《RETRIEVER + POCHI archive044》

写真=野口祐一
構成・文=RETRIEVER編集部

「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)

■ シニア犬の養生のためのキーワードは「血行促進」です

血流をよくし、代謝を上げることで、さまざまな痛みが和らぐとともに、元気が回復し、アンチエイジングにもつながります。日々の運動で冷えを解消したいところですが、加齢とともに身体機能が落ちているシニア犬には困難な場合もあります。そこで取り入れたいのが、気と血の流れを促すマッサージ法です。スキンローリングや足湯など、どの方法も全身を優しく刺激するので、愛犬も心地よく血流アップが望めます。何より、愛犬に触れることで、飼い主にとっても幸せな時間が過ごせます。マッサージ前は、飼い主も愛犬もリラックスした状態であることを確かめてから、愛情を込めて刺激してあげてください。

しっかりつかんでローリングスキンローリング &ピックアップ

スキンローリングとは、その名の通り、皮膚をつかんでくるりとローリングするマッサージ方法です。血行を促進し、新陳代謝を上げる効果があるため、散歩が不十分なシニア犬の体操にもなります。皮膚をゆっくり持ち上げ、ゆっくり戻す「ピックアップ」と呼ばれるマッサージも、日課にしていただくといいでしょう。

また、背骨の上には督脈と呼ばれる生命エネルギーの道筋があります。この道筋には28のツボがあり、椎間板ヘルニアや消化不良、強壮、防病などに効果があるとされています。背骨に沿って皮膚をつかむことで、すべてのツボが刺激されます。とても簡単で有効な方法ですので、ぜひ取り入れてみてください。


HOW TO

左:シッポのつけ根の皮膚を背骨と垂直になるようにわしづかみし、手前にゆっくりロールします。

右:同じ要領で数回に分けて首元まで進みます。これを3回繰り返し、4 回目は途中で上方向にギュッと持ち上げ背中のツボを刺激。アンチエイジング、腰痛予防に効果的です。

患部をじんわり温めるあずきカイロ

使い捨てのカイロと違い、水分を含むあずきを使うことで、温めた時に天然の蒸気が発生し、患部をじんわり優しく温めてくれます。電子レンジで約30〜50秒、人が心地いいと感じる温度に加熱したら、犬の腰、背中、首の後ろ、頭部などに当て、冷えやコリを解消してあげましょう。


HOW TO

電子レンジ加熱タイプの市販のあずき (温熱)カイロでもいいですが、愛犬用に手づくりするのもOK。あずき200〜300gを筒状の袋に詰め、両端を縫い合わせれば完成です。大判カイロは広範囲に使えて便利です。頭部に当てると頭の血行がよくなり、脳の老化防止に役立ちます。首の後ろは風邪 防に効果的。愛犬が寝ている時にそっとのせてあげても◎。

薬草を入れて効果アップ足湯

特にシニア犬は足が冷えやすいので、散歩後や足を触って冷たいと感じた時に、足湯で温めてあげましょう。40度程度の湯をたらいに張り、温浴効果を高めたい場合は、薬草や生姜、ゆずなどの食材も入れて薬湯に。前脚と後ろ脚、それぞれ無理のない範囲で湯に浸ければ、全身ポカポカに。


HOW TO

左:前脚を湯に入れたら、まず1〜2分間そのまま浸けて、足裏を温めます。十分温まったら、肉球を一つひとつもみほぐします。

右:愛犬の指と指の間に親指を入れて、指を広げるようにして一本一本、足先をマッサージします。後ろ足も同様に行いましょう。補助が必要な場合は、二人がかりで行います。

出典:『RETRIEVER』vol.110/「シニア犬のための健康管理」

*1 監修=石野孝、相澤まな|いしのたかし。『かまくらげんき動物病院』院長。麻布大学大学院獣医学研究課程終了。日本ペットマッサージ協会理事長。最新の西洋医療と伝統的な東洋医療を融合させた動物達に優しい治療を行なっている。/あいざわまな。『かまくらげんき動物病院』副院長。麻布大学大獣医学部卒業。日本ペットマッサージ協会理事。ホリスティック医療を得意とし、治療に取り入れている。著書に『犬のツボ押しBOOK-ワンちゃんの病気予防と健康管理に-』(石野院長と共著、医道の日本社)他、多数。