2017.12.01
消化の面から見直す、犬の肝臓の健康
犬の健康管理に関心を寄せている方が年々多くなっているのは確かなようです。 少し前に実施されたアンケート(アニコム損保「ペットの健康診断に関するアンケート」)でも飼い主の6割が、1年に1度以上は健康診断を受診、そのタイミングは、春の狂犬病予防接種とフィラリア検査、もしくは、混合ワクチン接種と一緒に受けるという結果が出ていました。さて、季節は初夏。健康診断を済ませた方が多いこの時期に、犬の健康管理について見直してみませんか? 今回は食の観点から《肝臓》の健康維持を考えてみます。
メモ1食べ物になった気で考える。肝臓までの旅。
口から入った食べ物は、ある程度は歯で細かくされ(犬によっては丸飲みも。)、食道を通って胃で粥状に。(胃には一旦食べ物を保存する役割もあるそうです。)
人では唾液にアミラーゼなどでんぷんを分解する消化酵素が含まれていますが、犬の唾液についてはいまのところ、スムーズに胃まで食べ物を運ぶ役割が主というのが濃厚なようです。 胃で粥状になった食べ物は十二指腸へ送られ、すい臓が出す消化液によって分解され、さらに細かくドロドロになるまで溶かされて小腸へ。そして小腸の壁から身体の内部へと吸収されていきます。このとき、腸内細菌が食物繊維などをエサとして、ビタミンB2やB6、ビタミンKなどのビタミン類を作ってくれたりしますが、添加物やストレスなどが腸内細菌のバランスに深く関わっているとされているので、この点は留意しておきたいですね。そして、 吸収された栄養分と水分は、門脈という血管を通って肝臓に入り(脂肪の多くはリンパ管へ)、さらなる身体の内部へと遠い旅に出かけるのですが今回の特集では《肝臓》止まりです。
ちなみに、吸収されなかったものは大腸へ。基本的に水分調整されてウンチとなり、外の世界へ帰省します(お疲れさまでした)。
メモ2《肝臓》ではどんなことしてるの?
肝臓では、小腸で吸収したものの中にからだに良くないものが混ざっていると、それらを取り除こうと懸命に働く《解毒機能》があるということはそれなりに知られています。
他にも、肝臓で生成される「胆汁」には、界面活性作用があり消化酵素とともに油やタンパク質を消化したり、小腸から肝臓にやってきた食べ物の栄養素をからだが利用しやすい形に合成したり、それを蓄えておいて必要なときにエネルギーとして使う《代謝》という重要な働きがあります。例えば、肉や魚に含まれているタンパク質は、小腸でアミノ酸に分解されてから吸収され肝臓に運ばれ、アミノ酸をからだに使える別の成分に変えて蓄えておき、必要になったらそれらを血液中に送り出し、全身の器官や他の臓器へと運ばれていくとのこと。 口にした食べ物からからだをつくる成分になるまでには、消化吸収・分解・合成というプロセスを繰り返し手間ひまかけてからだの内部へと運ばれるのです。それ相応の働きがあるからこそ臓器自体、他と比べるとかなり大きいのですね。
そうそう、小腸で吸収後、一旦別れた栄養分《脂肪》も、リンパ管で循環に乗った後は肝臓の動脈から肝細胞へと運ばれ、再合成し肝臓で貯蓄されるようです。
とても簡単ではありますが今回の短い旅を見直してみると、小腸で吸収されるときに肝臓が利用しやすい状態だと負担が少なくなると思いませんか?
私の結論『質のよい食材でちゃんと消化吸収させること』。それが肝臓を元気にする近道だった!
食べ物自体、科学的な添加が多いと肝臓の解毒機能が毎日フル稼動して酷使してしまうことは想像つきます。ただ最近はポチでの取り扱いフードのように科学的な添加物が少ない食事(フード)を選んでいる方はこの点では犬たちにとってちょっと楽になっているのかもしれませんね。でも、病気予防が目的の薬も肝臓で分解、解毒(腎臓でろ過)されますから酷使の要因となります。また、腸管でも栄養分と一緒にどうしてもアンモニアのような神経(ホルモン)に有害な代謝産物も吸収されてしまうため肝臓での解毒が必要。これに対しては解毒機能を応援するサプリメントを取り入れるなど工夫している飼い主の方も増えつつあるようです。
そして今回見直したい《代謝機能》。栄養素が効率的に利用されると肝臓への負荷を軽減します。例えば、質のよいタンパク質(肉や魚、乳製品など動物性タンパク質のアミノ酸スコアはほとんどが100で良質のタンパク質)であることを心がけたり、消化のよい炭水化物は、肝臓の修復と再生に役立ったり、からだに有害なアンモニアの生成を抑えます。
毎日しっかり、良質な食材を選びきちんと消化吸収させていいウンチに。この当たり前のような日々の食生活が、肝臓を元気にする近道だったんです。ただ、いいものを選んでも消化吸収には犬の個体差があります。場合によっては、食べ物を分解する消化酵素をサプリメントで補ったり、分解の協力者である腸内細菌(微生物)を増やすという手があります。
■ 【いろいろなタイプの消化酵素】
■消化酵素単体
プロテアーゼ タンパク質分解酵素
リパーゼ 脂肪分分解酵素
アミラーゼ でんぷん分解酵素
セルラーゼ 繊維質分解酵素
ラクターゼ 乳糖分解酵素
■複合酵素
膵臓抽出エキス(パンクレアチン)トリプシン タンパク質分解酵素
キモトリプシン タンパク質分解酵素
カルボキシペプチダーゼ ペプチド結合加水分解酵素
液化型アミラーゼ でんぷん分解酵素
リパーゼ 脂肪分分解酵素
アミラーゼ でんぷん分解酵素
など
パパイヤエキス(パパイン酵素)
システインプロテアーゼ タンパク質分解酵素
アミラーゼ でんぷん分解酵素
リパーゼ 脂肪分分解酵素
■菌(微生物)由来消化酵素
納豆菌生成物(納豆キナーゼ) タンパク質分解酵素
麹菌生成物 アミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼなど
おわりに
おわりに、肝臓を元気にする成分として、アルギニン、亜鉛、ビタミン、L-カルニチンなどもあります。今回は、そもそもそんな成分が含まれている食べ物からの流れを追い、きちんとした消化は肝臓の負担を助けるというお話でした。
肝臓は、代謝機能、解毒機能、胆汁を生成・分泌するという3つの大きな役割があります。肝臓の数値が気になる、日頃から肝臓の健康に気をつけたいという方は、《ヒルトンハーブ ピュリファイ》と《アミノコンプレックス ダイジェスティブサポート》の組み合わせを試してみてはいかがでしょうか。