2018.11.15

犬たちと暮らす私たちの街を知る。たとえば、東京下町の酉の市。

犬たちと暮らす私たちの街を知る。たとえば、東京下町の酉の市。

POCHIのお客様はご存知の方も多いとは思いますが、POCHIがあるのは、東京下町。のんびりとした昔ながらのどこかレトロな雰囲気と、天を突くようにどーんとそびえ立つスカイツリーが同居する、ちょっとした観光スポットのすぐそばです。
さて、そんな東京の下町地方で、この季節になると開かれるお祭りの中の一つに「酉の市(とりのいち)」があります。

酉(とり)年であれば納得のいく名前ですが、このお祭りは毎年11月に何度かに渡って盛大に開かれます。
今回は、季節を感じるお祭りから、歴史の散歩を楽しんで見ませんか?

酉の市って、どんなお祭りなの?

鷲神社で、おおとりじんじゃと読みます。

さて、この酉の市ですが、お祭りの内容はといえば、分かりやすく言ってしまえばいわば「縁起物の即売会」。特に、商売繁盛を祈願する「熊手(くまで)」の取引が有名です。
そう、庭先やお寺の境内などを清掃したり、落ち葉をかき集めるのに使っていたあの「熊手」です。

でも、酉の市で取引されるのは、いわゆる実用的な掃除用品としての熊手ではなく、福や財をかき集めてくれるという、縁起物としての熊手です。七福神やその年を象徴する人形、豪奢な飾りつけ、福を呼ぶとされる伝統的な文様などがこれでもか!と取り付けられた熊手は、伝統工芸としても見応えがあるものばかり。実際に外国人観光客の間でも、ちょっとした人気のお祭りとして知られているのだそうです。

東京であれば、有名なのは浅草にある鷲神社(おおとりじんじゃ)や足立区の大鷲神社(おおとりじんじゃ)、新宿・歌舞伎町の近くにある花園神社(はなぞのじんじゃ)の酉の市が大変な賑わいを見せることでよく知られています。

さて、この熊手を買うときには、ちょっと変わった「粋」な買い方のマナーがあるようです。

酉の市の熊手を買うときのマナーと豆知識

戌年の2018年は犬の飾りがついた熊手も多数売られていたのだとか!

この熊手ですが、実は提示された値段=いわゆる「言い値」そのままで購入するのではなく「値切る」ことが一般的です。でもその値切った金額ではなく、最初に伝えられた「言い値」を店主に渡します。

「えっ、なんで?」と思う方も多いでしょうが、これは値切った分の金額を、神様に奉納するためなのだそう。そしてこの値切った金額を神様に、というのは江戸っ子ならではの粋な買い物の仕方だったそうで、当時の気風の良い人々を思わせる少し面白い風習ですよね。
中にはこの昔の江戸っ子気分を味わうために毎年熊手を購入される方もいるのだとか……。

さて、こうして購入された熊手は、お店などに飾られて福や財をかき集めてくれる存在となりますが、実は熊手は毎年買い換える必要はないものなのだそう。その熊手が実際に福を呼び込んでくれたと思うのであれば、その思い入れのある熊手は使い続けても構わないそうです。江戸っ子の家には、祖父の代に買った熊手がまだ残っている、なんてこともあるようですよ。

でも、古くなってしまった熊手や新しく熊手を買って、古いものを処分したいときはどうするのか。これも酉の市で解決できる問題で、酉の市の開催されている場所には「納め所」に返納するか、購入した神社やお寺にお返しすれば良いそうです。買い換える時には、必ず先に感謝の気持ちを込めて古い熊手をお返ししてから新しいものを買うのがマナー。ここも一本気な江戸っ子の粋を感じさせる文化ですね。

ルールを守って犬たちと一緒に歴史を楽しもう

寺社やお祭りなど神聖な場所では、マナーに普段以上に気を付けましょう

日本では今でも地域ごとに様々なお祭りが行われています。
伝統的な文化や伝承をできるだけ崩すことなく続けられている由緒正しいものから、その時その時の時代のニーズや人々の動きに対応する形で姿を変えたものまで、お祭りの数だけ歴史もあります。
そういった文化的な背景や、どのような願いを込めて始められたものなのかを知ることは、とても興味深いものですよね。

また、日本には数多くの「犬」に関連する伝承やお祭りが残されている寺社があり、中には犬たちも一緒に参拝できる寺社もあるようですので、マナーやルールをきちんと確認した上で一緒に犬たちとお参りを楽しんだり、お祭りを見物したりするのも楽しそうですね。

昔から続いている地域のお祭りから、遠い昔に同じ土地に今の私たちのように犬と散歩していたかもしれない人々の暮らしを想像するとき、日々の慌しさをほんの少し忘れさせてくれます。
特に有名な場所ではなくても、その土地には歴史ある史跡や名所が隠れていることもあります。
一緒に歩く犬たちに「行ってみる?」なんて声をかけながら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。