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2019.03.04
春の陽に、思い出添える、俳句かな。~犬たちと春の思い出を俳句で残そう~
日々、犬たちと暮らしていると結構「くすっ」としてしまうようなできごとと出会ったりします。
でもそれは、一瞬の出来事でもあることが多かったりして、写真を撮影しようとスマホを構えたときにはもう写っていない……ということも。
そんな日々のちょっとしたできごとを、言葉で切り取って残してみませんか?
また、これからお出かけも多くなり、いろいろな自然と触れ合う機会も多くなりますから、そんな一幕を俳句で書き留めたり、犬との記念写真のコメントに俳句を添えてみると楽しいかもしれませんよ。後日、懐かしむとき、ありありと記憶が蘇ってくれそうな気がします。
たとえば、こんな俳句。
犬去つて むつくと起る 蒲公英(たんぽぽ)が
こちらは、私が個人的に好きな作家でもある、夏目漱石の作品です。夏目漱石といえば、猫のイメージがある方も多いかもしれませんが、この俳句からは、のんびりとした春の日差しの中で、土手などでスヤスヤと眠っていた犬が起きて、あくびをしながら伸びをしている様子まで想像できますよね。
他にも、いわゆる文豪と呼ばれる人々や、著名な俳人と呼ばれる人々が犬を題材にした俳句を発表しています。
犬たちを呼んだ俳句は、なんだか心が温かくなるような、何気ない日常の一幕を切り取ったような作品が多く残されています。それは、犬たちがいかに私たちの生活に密着した存在であるか、ということの証明であると同時に、仕草やちょっとした動作に「くすっ」としてしまうような愛らしさが感じられるからではないでしょうか。
そんな日々の小さな幸せを残していく形として、現代ではスマートフォンで写真を撮影したり、動画を撮影したりといったことが簡単にできるようになりました。
でも、カメラのフレームの外の背景や季節、空気の匂いなどまでは保存することが難しいですよね。
そんな、写真に写らないものを残していくのに、適している手段の一つが俳句なのかもしれない、と感じました。成長の記録としてや、犬たちとの思い出の写真などに、一言添えてみるのも、素敵な思い出になりそうです。
あらためて、俳句の基本ルール。
俳句を楽しむうえでの基本的なルールは、なんとたったの2つのみ。皆さまもご存知の通り、文字数(音の数)と季語を取り入れるということです。
その1五・七・五について
実は誤解されている方もいらっしゃるようなのですが、紙に書いた文字数を五文字・七文字・五文字にしなくてはいけない、ということではありません。
具体的には、小さな「ゃ」「ゅ」「ょ」をともなう「きゃ」「しゅ」「ちょ」のような音は一文字としてカウントされます。しかし一方で、促音便のような小さな「っ」は一文字としてカウントされてしまいます。
これは実は歌の歌詞として考えてみると分かりやすく、五・七・五の十七音に対して乗せられる歌詞だとイメージしていただければと思います。
その2季語を取り入れる
もう一つの俳句の必須要素といえば、「季語」と呼ばれるその時期を象徴するさまざまな言葉を取り入れることがあります。こちらも、古今東西のさまざまな言葉があったり、今ではほとんど使われることがなくなった古語も含まれていたりと、たくさんの「季語」はあるのですが、基本的に「その季節を連想させる言葉」であれば問題ないとされています。
例えば、この時期でいえば「花粉症」や「春キャベツ」でも良いわけです。一方で、季節に関係ない「スマートフォン」などは季語にはなりませんね。
ちなみに、この季語を取り入れない五・七・五の短い詩は「川柳」と呼ばれます。
最後に……
俳句は、短い文字の中に、自分が感じた「季節を感じる言葉」を入れて、ちょっぴりくすっと笑ってしまうような、そんな心温まる場面を切り取る、誰でも楽しめる写真のようなものだったのではないでしょうか。毎日の中にある、ちょっとした面白さを書き留める一つの手段として、皆さまにもぜひ挑戦していただければ嬉しいです。
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POCHI スタッフ OKAPY
3月4日(月) ちょっぴり寒い朝、春の雨の中でも元気にお散歩に行く犬をみて、一句。
春雨に 水溜り蹴り はしゃぐ犬