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2019.07.29

犬の心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)かも?と思ったら。確認するべきサインまとめ【獣医師監修】

犬の心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)かも?と思ったら。確認するべきサインまとめ【獣医師監修】

"犬の病気のイントロダクション"は「犬たちの様子がいつもとちょっと違う、もしかして…」と不安に思った飼い主が、動物病院で獣医師に相談するときに知っておくと「ウチの子」のことをより正確に伝えられる、そんな知識を書きとめたノートです。

今回扱うのは、小型犬に多いといわれている心臓病。中でも僧帽弁閉鎖不全症の病気のサインと動物病院で伝えるべきポイントについて、獣医師がご紹介します。

みんなは、どんな時に"心臓病かも"と早めに気が付くの?

犬たちにも多い心臓に関する病気。先天性のものや、生活環境や老化による物など、ひとことで"心臓病"といってもさまざまな種類があります。
飼い主が気が付きやすい異変のひとつに、犬たちの空咳があります。これは繰り返しいつもとは違う咳き込み方をしていることから、様子がおかしいことに気が付いて発見に至りやすい兆候のひとつです。
そのほかにも、一部の犬種では心臓の病気に気をつけたほうが良いとされる遺伝的体質を持っているため、定期的に検診を続けて早期の発見を心がけると良いでしょう。

また、小型犬の場合で気が付きやすいポイントとしては、抱っこしたときに感じる心臓の鼓動の変化です。不整脈が見られたり、極端に脈拍が速くなっているなどのほか、心臓の動きに合わせて「ザーッ…」という聞き慣れない音に驚いて動物病院を受診すると、心臓病が見つかったというケースもあるようです。

獣医師さんに"心臓病かも"と伝えるために。

「あれ?」と思って動物病院に行っても、獣医師さんに上手く症状を伝えることができず、思ったようなアドバイスがもらえなかったりすることもありますよね。もちろん、動物病院に行くこと自体がストレスにもなる犬もいますし、短期間に何度も病院に行くことは色々な意味で負担がかかってしまいます。
そこで、一度の診断で的確に「気になっていること」を獣医師さんに伝えるためにチェックしておくと良いポイントをいくつかご紹介します。

1st point 食事の内容をメモしておく

心臓に負担がかかりやすい要素として、代表的なものに肥満があります。また、心臓の疾患がある場合には、運動や代謝に問題が生じることで肥満が引き起こされやすいという相関関係が見られます。いずれにせよ、心臓病が疑われる場合には食事は低脂肪食・低カロリー食を意識するよう指導されることが多いです。
また、同じように塩分が多い食事を与えていることも心臓には負担になりますので、心臓病が疑われるときには塩分を制限した食事を勧められることも多いです。

今与えている食事の成分表を改めてチェックし、成分分析値や原材料をメモしたり、写真に撮っておくと役立ちます。特に、肥満によるものが関わっていそうなとき、オヤツを1日にどれくらい食べさせているのかも聞かれることがあるので、「何を」「どれくらいの量」「どれくらいの頻度で」を答えられるようにメモしておきましょう。

DOG's TALK

低塩分食は嗜好性が低い、と言われることもありますが、実は犬たちの場合は「ウェットフード」では塩分がより多いフードを好む一方で「ドライフード」であれば塩分の濃度が嗜好性には関係しないという実験結果が出ています。ドライフードのうまみ成分は塩味を消してしまうのではないか、とも言われています。
最近では塩分の制限をすることを目的としたレシピのフードも作られていますが、それらのフードでは塩分の代わりに犬たちが旨みを感じるアミノ酸などの成分を使用し嗜好性を上げているのだそうです。もちろん、これらの代替となる成分は犬たちの健康に影響を与えないものですので安心ですね。

2nd point体や運動量の変化

心臓病が疑われる犬たちは疲れやすくなり、激しい運動をしなくなることがありますので、普段の運動量と「どれくらい」変化したのかを伝えるのがポイントです。また、以前と同じような運動メニューをさせても息が上がったままなかなか落ち着かなかったり、舌が白や青っぽく変色してしまっていないかなどをチェックしてみてください。
お散歩そのものを嫌がったり、興味を示さなくなることもサインになることがあります。

もちろん、シニア犬になると運動やお散歩をいやがったり興味が薄くなることは良くあります。また、関節のトラブルなどによっても運動を嫌がることがあるので、お散歩などの日常的な運動の後の様子(呼吸・舌などの粘膜の色の変化)と合わせて、れくらいの運動量をどれくらいの期間していたのか、以前はどんな運動をしていたのかなどを伝えると、獣医師さんにも伝わりやすいかもしれません。

Dr.マイからひとこと!

DOG's TALK

Dr.マイ

犬の心臓病で一番多いのは、僧房弁閉鎖不全症と呼ばれる疾患で、これは心臓の弁がうまく締まらないことにより血液の循環が悪くなる病気です。この病気の初期に気づきたい!と思ったら、心雑音を検知することが大事。
抱っこした時に「ざー」という音が聞こえるレベルの心雑音はかなり大きな雑音で、その時には病気が進行していることも多いので、定期的な健康診断などで獣医さんに聴診器で心臓の音を必ず聞いてもらいましょう。確定診断は心臓の超音波検査で行うことが最近は多いと思います。健康診断にこの超音波検査をいれている病院もあると思うので、不安であれば積極的に検査に組み込むと良いと思います。
心臓疾患は早期発見できれば進行を遅らせることができる病気ですので、ぜひ少し気を付けて、生活してみてくださいね。

■ "心臓病かも?"を獣医師に伝えるためのポイント

1.現在与えている食事・オヤツの内容を伝える(なるべく具体的に)
2.身体的な変化、運動量の変化をメモする(以前との比較)