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2019.08.26

犬がクッシング症候群かも?と思ったときに確認しておきたい症状【獣医師監修】

この記事の監修:Dr.マイについて

*1 (庄野 舞 しょうの まい)獣医師 東京大学 農学部獣医学科卒業。 東京大学付属動物医療センターにて、血液腫瘍科、神経内分泌科、消化器内科で従事。 たくさんのペットの生死を見てきて、共に戦った飼い主さんが最終的に願うのは「食べさせてあげたい」という思いであることに気づく。 現在は、病気予防のふだんの食事のこと~漢方、植物療法の世界の探求に励む。はじめの一歩に漢方茶マイスターを取得。 得意分野は、犬猫の血液腫瘍と回虫。

"犬の病気のイントロダクション"は「犬の様子がいつもとちょっと違う、もしかして…」と不安に思った飼い主が、動物病院で獣医師に相談するときに知っておくと「ウチの子」のことをより正確に伝えられる、そんな症状に関する知識を書きとめたノートです。

"クッシング症候群かも"と気が付く症状ってどんなもの?


クッシング症候群は、犬たちの体の中で副腎皮質ホルモン、および副腎皮質刺激ホルモンが過剰に作られてしまうことにより、さまざまな症状が発生する病気です。
腫瘍などにより副腎皮質そのものの異常が原因となるケースのほか、脳の下垂体の異常が原因となるケースがあります。また、ステロイドなどの薬が原因で副腎皮質ホルモンが過剰となり、同じような症状が発生するケースがありますが、こちらは"クッシング様"の症状と呼ばれるもので、クッシング症候群とは別物として扱われます。

クッシング症候群の症状が出た犬たちのなかには、若い頃にはなかったような変化が見られることがあります。その中のひとつが毛が抜けてしまったりや被毛のツヤ・コシがなくなるなどの被毛の変化。この被毛の変化が犬たちのクッシング症候群に気が付くサインになることも。特に尻尾と顔周り以外の箇所の脱毛が顕著なこと、そして体の左右対称な脱毛が、クッシング症候群の脱毛の特徴と言われています。そのほかには腹部がぽっこりと膨れてしまうこともあるようです。発生しやすい年齢は5歳~と幅広く、シニア期に限った病気ではないのも特徴です。

実際にクッシング症候群にかかった犬たちと暮らす方々は、季節に関係なく発生した犬たちの脱毛や薄毛が戻らなかったり、多飲多尿などの変化が病気に気が付くきっかけとなったということが多いようです。

獣医師さんに"クッシング症候群かも"と伝えるために。

「あれ?」と思って動物病院に行っても、獣医師さんに上手く症状を伝えることができず、思ったようなアドバイスがもらえなかったりすることもありますよね。もちろん、動物病院に行くこと自体がストレスにもなる犬もいますし、短期間に何度も病院に行くことは色々な意味で負担がかかってしまいます。
そこで、一度の診断で的確に「気になっていること」を獣医師さんに伝えるためにチェックしておくと良い、病気のサインとなるポイントをいくつかご紹介します。

1st point脱毛箇所をしっかりとチェックしておく。

先ほどもご紹介したとおり、クッシング症候群による脱毛の特徴として、顔や尻尾以外の箇所の顕著な脱毛があります。脱毛している箇所が全体なのか、特定の箇所のみなのかをしっかりと確認しておきましょう。また、脱毛した箇所に炎症などが起きていないか、そのこともチェックしておきましょう。ちなみに、クッシング症候群による脱毛の場合は炎症は起きず、かゆみなども発生しないといわれています。

脱毛が目立ち始めた時期(○ヶ月前など)を伝え、かゆそうにしていないか、左右の対称性(体のどちらかの側面のみではなく、両面に脱毛がみられるか)も見てもらうと良いと思います。

2nd point飲水量の変化と体型の変化があれば記録しておく。

クッシング症には飲水量の増加も特徴として挙げられますが、ポチを訪れる方ならきっと「でも、飲水量が増える病気って他にもたくさんあるんじゃないの?」と思われるはずです。その通りです。
なので、飲水量が増えたことにプラスして、体型の変化(お腹周りが張っているような気がする)などの変化が見られないかをチェックしてみてください。肥満によるものかどうかの判断は難しいと思いますので、食事内容の変更やオヤツを与えているかどうかも一緒に伝えてみてください。

DOG's TALK

よりしっかりと検査を希望する場合は、クッシング症を調べるための血液検査が必要になります。この検査は1日で終わるものです。
担当の獣医師としっかりと相談をして、犬たちの様子を確認してから検査を依頼するようにしてあげてくださいね。
ちなみに、クッシング症候群は原因が複数考えられる病気で、場合によっては手術が必要になるケースもあるようです。最適な治療の方針は症状の原因、犬たちの体調や年齢によっても異なりますので、信頼できる専門家としっかりと話をして考えていきたいところです。どんな病気でも言えることですが、犬たちの異変に早めに気付いてあげることが大切です。

Dr.マイからひとこと!

DOG's TALK

Dr.マイ

クッシング症候群は犬でよく見かける疾患の1つです。クッシング症候群のようなホルモンの異常によって起きる疾患はまとめて「内分泌疾患」と言われおり、
診断が的確になされれば、なにかしらの対応ができることが多いです。一方で、症状があまり特異的ではないことも多いので、
日々の生活の中でのちょっとした違和感が、疾患に気づくためにとても大事になってきます。
皮膚や被毛の状態や飲水量など、ぜひすこし注意してみてみてくださいね!

■ "クッシング症かも?"を獣医師に伝えるためのポイント

・脱毛が見られる場合はその箇所、炎症の有無をしっかり伝える
・同時に飲水量の増加、お腹周りの膨張が見られる場合は伝えておく
・気になったら血液検査を!