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2019.10.16

硫酸銅を含むドッグフードを与えても大丈夫?犬の健康に影響はないの?

硫酸銅を含むドッグフードを与えても大丈夫?犬の健康に影響はないの?

犬たちの健康維持にも頼れる存在のはずのドッグフード。でも、そんなドッグフードにも「これって何だっけ?」「大丈夫なの?」と不安に感じてしまうような名前がついているものが使用されていたり、含まれていたりして不安になることもありますよね。

今回取り扱うのは、ドッグフードなどにも使用されていることがある「硫酸銅」という成分です。

ドッグフードに使用される硫酸銅とは?


硫酸銅とは、自然界にも存在する金属のことで、自然界では「たんばん」という鉱物の形で存在しています。鉱山などではたびたび見られるようです。青く半透明で美しい結晶を形成することで知られていて、水にも良く溶ける性質を持っているため、結晶化の実験などにも使用されることがあります。

硫酸銅はさまざまなものに利用されており、ボルドー剤と呼ばれる農薬などにも使用されている成分です。危険な農薬にも使用されているのにも関わらず、なぜドッグフードにも使用されているのでしょうか?

ドッグフードに硫酸銅が使用される理由とは?

犬たちにとって必須の栄養素の中には、銅が含まれています。亜鉛やカルシウムと同じく、ミネラルとして犬たちの体の中で働き、正常な機能を維持するために使用されています。
具体的には、補酵素として代謝反応に関わっていて、犬たちの体の中で起きる化学反応(エネルギーを作り出したりすることも含みます)にとって重要な成分のひとつです。

総合栄養食ドッグフードの必須ミネラル分として銅を配合する際、銅の供給源としては硫酸銅や酸化銅などあります。ただ、酸化銅の状態では犬たちの体の中ではほとんど吸収されず、硫酸銅の形であればきちんと体の中で使用することができるとされています。さらに、キレート化した銅もありますが、セレンやクロムのようにキレート化したからといって体内での利用率が上がることもないため、水に溶けやすい硫酸銅の形で使用されることが多いようです。

硫酸銅を含むドッグフードを与えも大丈夫?

それでは、犬たちの身体には硫酸銅を与えることで影響はないのでしょうか?
どんな栄養でもそうですが、銅も過剰に摂取してしまうことで身体に悪影響が出ます。もちろん、犬たちそれぞれに個体差はあるかもしれませんが、銅そのものは犬たちの健康維持に必要な栄養素ですので硫酸銅を摂取してしまったからといって悪影響が出るということはありません。
一般的にドッグフードに使用されている程度の硫酸銅が、健康に悪い影響を与えるということはありません。
逆に、銅が十分に摂取できず、欠乏してしまうと血液中の赤血球を十分に作ることができず、銅欠乏性の貧血などを引き起こす可能性があります。

硫酸銅は人間の赤ちゃんが飲む粉ミルクにも使用されている成分です。適切な量を適切な方法で摂取し、すくすくと育っているその長年に渡る変わらない事実があります。

硫酸銅が農薬に使用されている理由

農薬に硫酸銅が使用されている理由としては、硫酸銅が殺菌効果を持っていることが理由としてあるようです。硫酸銅は硫黄と銅、そして酸素からできていますが、銅が持っている銅イオンが様々な菌を寄せ付けない特性を持っています。そのため、細菌などによる作物の病気を防ぐために使用されているのです。
また、銅イオンには植物のホルモンを活性化させ、植物が持っている免疫機能をサポートする効果もあるようです。

もともと硫酸銅自体は自然界に存在する物質です。「農薬に使われている=危険」という誤解があったのかもしれません。