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2019.10.10

犬の故事成語・ことわざ講座 ~われを愛する者はわが犬も愛す~

犬の故事成語・ことわざ講座 ~われを愛する者はわが犬も愛す~

人々と長く過ごしてきた犬たちは、さまざまな形で私たちの文化にも関わって来ました。昔の人々から伝えられてきた言い回しや表現にも、犬たちが登場します。そこには「犬って○○だよね」という昔の人々が犬たちに抱いてきた印象やイメージなどが反映されています。
昔の人々が見てきた犬たちの姿を映す鏡として、犬たちが登場する故事成語やことわざ、慣用句を紹介します。

~われを愛する者はわが犬も愛す~

われを愛する者はわが犬も愛す(Qui m'aime aime mon chien./qui me amat, amet et canem meum

《出展》
12世紀のフランス出身の神学者クレルヴォーのベルナルドゥスの言葉。

《意味》
私を大切に思ってくれる人は、私が大切にしている犬のことも大切に思ってくれるものだ。

どういった場面で使われる?

犬と人は昔から心の深い部分で結びついてきた歴史を持っています。犬たちにとって人間が唯一無二の飼い主であり、仲間であったのと同じように私たちにとって犬たちも、大切な家族であり、友人ですよね。そんな犬たちの中には少々気難しかったりする犬もいますが、大切な人にはそんな犬であったとしても変わらず愛してくれるような人であってほしい、そんな願いも込められているように思います。
犬たちは飼い主のことを本当によく見ていますし、飼い主を喜ばせようとするもの。そんな犬たちの行動は、ある意味では飼い主の人となりを映す鏡でもある、とも言っているとも考えられます。つまり、誰かを愛している人ならば、その人の様々な面も含めて愛するべきだということになるでしょうか。キリスト教の神は、どんな人であってもどんな一面を持っていたとしても、神を信じるものであれば救いの手を差し伸べるといわれています。そんなキリスト教の考え方が色濃く現れていることわざとも言えますね。

DOG's TALK

このことわざは、日本語のことわざ、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の対義語として捉えられることも多いようです。
この言葉を発したといわれている、クレルヴォーのベルナルドゥスはカトリックでは聖人として認められている偉人です。彼はキリスト教学者として多くの人々から厚い信仰を集めていたといわれていて、この「われを愛する者はわが犬も愛す」という言葉もヨーロッパで広く知られることになっています。