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2019.10.24

ドッグフードに炭水化物は不要?犬が穀類を消化できないって本当?

ドッグフードに炭水化物は不要?犬が穀類を消化できないって本当?

犬たちにとって毎日の食事となるドッグフード。グレインフリーやグルテンフリーをひとつの基準としてドッグフードを選ぶ人が増えてきています。
グレイン(grain)は穀物、とくに穀類を指し、グレインフリーは「穀類を使っていない」ことを意味しますが、なぜこのようにグレインフリーであることがドッグフードにおいて重要視されるようになったのでしょうか?本日は当たり前になった今だからこそ、改めて知っておきたい犬たちと穀類、炭水化物の基本的なお話です。

犬が炭水化物を消化できないといわれている理由

犬たちは穀類などを消化することが苦手で炭水化物をエネルギーに変えることが苦手なので、穀類を使用しているドッグフードで下痢などを起こし体調を崩してしまう、ということがよく言われています。でも、実際に犬たちと暮らしているとパンやクッキーが好きな犬もいますし、白米を喜んで食べる犬もいます。そういった犬たちがみんなお腹を壊している訳ではありません。

でも、たしかに犬たちが穀類を消化することができない、苦手だといわれるようになった根拠は存在しています。
それは、唾液中のアミラーゼという酵素の数が、人間を初めとした多くの雑食動物たちと比較して極端に少なく、ほとんど存在しないということです。
アミラーゼは炭水化物であるデンプンの分子と分子の結合を解き、より消化しやすい形にする働きを持った酵素です。ちなみに、私たち人間がお米をじっくり噛んでいると次第に甘く感じるようになるのは、アミラーゼがデンプンを分解し、ブドウ糖の形に変換するためだといわれています。ブドウ糖の形になると、犬も人間も体内で速やかにエネルギー源として使用されるようになります。
犬の唾液に含まれているアミラーゼは、人間の唾液と比較すると少ないので、穀類に含まれるデンプンをブドウ糖に変えることが出来ず、消化が苦手なのでは?と思われるようになったのです。

犬はまったく炭水化物を消化することができないという訳ではない


では、犬たちが大好きなパンやクッキーでただちにお腹を壊すことが少ないのはなぜでしょうか。

まず、炭水化物・デンプンの消化に働くアミラーゼは、犬たちの膵臓からも分泌されています。消化管のなかで働くほかの酵素と同様に、体の中で作られています。そのため、全く消化ができないというわけではなく「他の雑食性の動物たちと比べると苦手」というのが正しい解釈なのかもしれません。
ちなみに、犬たちの仲間であるオオカミの遺伝子と比較すると、犬たちはオオカミより28倍ものアミラーゼを持っているという研究もあるそうです。犬たちが私たち人間と暮らすようになってから身に付けた能力だということですね。

米などの場合は、水を加えて一度加熱し、ごはんを炊くように処理を行うことで、人間の唾液のなかでアミラーゼが働いたのと同じように、分子の結合を崩し、分解されやすい状態にすることができます。この加熱調理を行ったあとのデンプンを「アルファ化」などと呼びます。また、一度加工したデンプンであれば、加工後急速に乾燥することで、分解されやすい状態を維持することが可能になります。

炭水化物自体は必要な栄養素

私たち人間の唾液中にはアミラーゼが含まれていますが、生の米などの穀類を食べるとお腹を壊してしまいます。そのため、私たち人間は穀類を食べるためにアルファ化させる技術を作り出しました。そして私たち人間と一緒に暮らしている犬たちも、アルファ化された穀類を食べるようになり、消化できるように進化していったと考えられています。ちなみに、生のままの穀類を食べることができる動物は、げっ歯類や鳥類、ウサギ、牛、馬、ブタなどに限られます。

しかし、炭水化物はタンパク質より速やかにエネルギーに還元されるので、消化しやすい形に調理したり、肉に対する量のバランスなどを工夫しつつ、適量を与えることは問題なく、穀類に含まれている成分も栄養バランスを取るために様々なプレミアムドッグフードブランドでも活用されているのです。
材料への穀類使用を避けて豆類やイモ類などを活用しつつ、炭水化物の栄養分を設計するところが多くなっています。

DOG's TALK

私たちにとってベストな食事のメニューって何だと思いますか?あれかなこれかも、と色々思い浮かびますが、ベストとなると難しいですよね。タンパク質が多すぎても、脂肪分が多すぎても犬たちは体調を崩してしまいます。犬たちそれぞれにとって適した栄養バランスがありますので、バランスよく無理なく様々な栄養をとっていくことが大切だということですね。
犬たちにとっての良い食事と私たちにとっての良い食事は異なりますし、なかなか正解にたどり着くことは難しいものですが、「穀類=犬にとっては不要なもの」というような極端な考えは避けたいですね。
ちなみに、スタッフM家の犬は、フードを切らしてしまった時に臨時で作る半熟卵かけゴハンが大好物なのだとか…。