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2019.12.18
シニア犬の体勢の3つのチェックポイントで筋力低下・関節トラブルのサインを知ろう。
寒さが厳しくなってきましたね。この時期になると犬の体のトラブルの上位になるのが犬たちの関節に関連するもの。一口で「関節系」と言っても、犬の体にはたくさんの関節があります。
それぞれの関節はお互いに助け合うようにして犬たちの体を支えています。そして関節がきちんと動くためには、適切な筋力が必要ですが加齢に伴って筋力は落ちていってしまうもの。でも、そのサインに早めに気が付くことができれば関節のトラブルを遅らせたり、犬が感じる痛みを軽くすることができるかもしれません。
今回は、シニア期に差し掛かった犬たち~シニア犬、ハイシニア犬の健康チェックの一環として、シニア期にみられる筋力低下のチェックポイントについてご紹介します。
シニア犬に多い関節トラブル。
シニアになった犬は関節のトラブルが増える、というのは体重2kgほどの超小型犬から、60kgクラスの超大型犬まで、すべての犬種に言えることです。犬たちの肥満と関節のトラブルの関係性については広く知られるようになり、シニア期を前にフードの内容を見直したり、サプリメントを活用するように心がける方も多いのではないでしょうか。
そんな犬の関節系のトラブルの前段階として、筋力低下傾向があります。
犬の関節に痛みや違和感が出る前に、犬たちの姿勢の変化から筋力の低下のサインを読み取ることができれば、先回りする形で関節トラブルのケアができるようになります。
今回は犬たちの体の部位ごとに、シニア期にみられる筋力低下のサインや関節の変化についてご紹介していきます。
犬の首関節・背骨の変化
まず、確認しておきたい加齢のサインの一つが姿勢の変化です。
シニア犬たちは真横から見たときに首が下がり背中が丸く曲線を描くようになります。特に、首の位置が下がるというのは老化に伴う筋力低下の典型的な症状のひとつです。また、前傾姿勢になることで、尾が上がらなくなる傾向もあるようです。
筋力の低下は加齢に伴い自然に起きる現象ですが、それをかばうためにさまざまな体の部位に負担をかけ、関節炎を引き起こすきっかけになります。毎日犬たちと接していても、徐々に変化していくので意外と見落としがちで、気づいたときは、首が下がり前傾姿勢をとっていたということも多いです。前のめりになり歩幅が狭くなったり、段差の上り下りで怪我をするということもあるので注意したいポイントです。
犬の後ろ脚の変化
シニア犬の足腰が弱ったと感じる場面として挙げる人が多いのが、後ろ足に力が入らなくなる、後ろ足が曲げにくそうに見える、座った時にきちんと膝を曲げることができない、ウンチする姿勢が辛そう、といった後ろ足に関する変化です。また、歩いている途中に腰からへたり込んでしまうというケースもあります。
大型犬であれば股関節、小型犬であれば膝関節のトラブルが多いイメージがありますが、それぞれの関節はつながっているので、痛みや違和感がある関節をかばって無理な歩き方をすることで後ろ足全体の関節がこわばっていきます。
関節の可動域が狭くなっていくことで、膝などが上手く曲がらず着地する際、歩く際の衝撃を軟骨がうまく吸収できずに炎症につながることがあります。
犬への簡単なマッサージは、関節や関節周辺の筋肉のこわばりをほぐし、動かしやすくなることがあります。犬が立ち上がったり、歩いているときに「おや?」と異変に気が付いたら、すぐにできる対策としてマッサージを取り入れてみると、コミュニケーションにもなるので、犬の関節炎の予防のスタートとしてはおすすめです。
犬の前脚の変化
犬たちの関節炎というと、後ろ脚や背骨などをついつい気にしてしまいがちですが、前脚の関節にも炎症が起きることがあります。
後ろ脚の筋力が低下し関節の曲げ伸ばしが難しくなった犬は、前脚の力を使って体勢を維持したり歩くようになってしまいます。犬たちは4本足で歩いていますから、後ろ足の負担まで前脚が担うことで全体の筋肉を使うバランスが悪くなり、その負荷により炎症を引き起こしたり、また痛みなどから体を動かすことをいやがるようになると血行まで悪くなり筋肉がこわばるといった悪循環が生じたりします。
後ろ脚の筋力が低下したなと感じたら、同時に前脚のことも気にかけて、後ろ脚のマッサージと合わせてチェックしてみてください。
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人間同様にシニア期に入った犬たちにとって、筋力低下は避けては通れない問題です。今までスムーズにできたことを躊躇するようになったり、ちょっとした段差などにつまづいたりすることが増えてきます。
犬たちの関節トラブルは痛みを伴うことが多いので、楽しく元気なシニア犬ライフを楽しむためにもできるだけ軽くしてあげたいもの。少しでも長く元気で過ごしてもらうために、筋力低下のサインが見られたらできる範囲でマッサージや軽い運動を取り入れつつ、筋力維持をしていくことが大切です。
動物病院などでシニア犬のリハビリなどを行っているところも増えているようです。犬たちの状態を相談しながら、少しずつ活用していくのもいいかもしれません。
シニア期の食事は筋力維持のためにも、高タンパクで低カロリー、そして、適度な運動を心がけたいですね。
おわりに
今回は老犬・シニア犬に多い関節トラブルが起こる前に見られる筋力低下のサインについてまとめてご紹介しました。年齢を重ねた犬たちは、どうしても若いころと比較して筋力が低下してしまい、また関節の動きも悪くなってしまうものです。
でも、ケアをせずにそのままにしておくよりは少しでも痛みや違和感を軽くしてあげたい、以前と同じように元気で過ごしてほしいと願うのが飼い主心理。
犬の関節ケアは早め早めに始めることができれば、それだけ進行を遅らせることもできますし、筋力をつけることで衰えを緩やかにしていくこともできます。
シニア期と呼ばれる年齢になった犬はもちろんですが、まだまだ元気な犬でも関節を意識して、犬の姿勢などをこまめにチェックしてみてください。