犬の故事成語・ことわざ講座　～Tired dog is good dog.～

人々と長く過ごしてきた犬たちは、さまざまな形で私たちの文化にも関わって来ました。昔の人々から伝えられてきた言い回しや表現にも、犬が登場します。そこには「犬って○○だよね」という昔の人々が抱いてきた印象やイメージなどが反映されています。
昔の人々が見てきた犬たちの姿を映す鏡として、犬の故事成語やことわざ、慣用句を紹介します。

～Tired dog is good dog.～

《出典》
英語の慣用句

《意味》
犬の体力は大変なものだが、疲れるほど一生懸命作業をするような犬は良い犬だ。また、一生懸命働く犬たちは疲れ果てても良い顔をして幸せそうに見えるものだ。

もうひとつの言い方

実はこの慣用句にはもうひとつの言い方があります。それはTired dog is happy dog.(疲れた犬は幸せ者だ)というもの。こちらもかつては「疲れ果てるまで大好きな仕事に打ち込めるような犬は、幸せ者だ」という意味で作られた言葉のようです。
もともと、この言葉が生まれたヨーロッパでは犬たちは狩猟や牧畜において人間と一緒に働いてきた、いわば、仲間。犬たちは自分の能力とその役割を最大限に発揮し、大好きな飼い主と一緒に毎日充実した生活しておくっていたのかもしれません。
現代とは異なり不便なことも多かったと思いますが、仕事のある犬は飼い主に頼られていることを実感でき、また飼い主も自分の犬を信頼するという姿はお互いを尊敬しあうとても良い関係だったことが想像できます。

犬たちは飼い主と一緒にたくさん働いて、へとへとになって帰ってきて「は～、今日もいい仕事したな！」と満足した顔を見せていたはずです。そして飼い主はその顔を見て幸せな気分になっていたのではないでしょうか。きっとおいしいものもときどき分けあったりして、犬は喜びの舞を披露する…、そんなことまで思ったことわざでした。