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2020.02.13
犬の亜鉛の必須量の目安は?ドッグフードで十分なの?
犬たちが何となく元気がないように見えたり、大好きだったごはんの食いつきが悪くなった気がする…。特に病気をしている訳ではなさそうだけど、どうして?…と思ったことがある方は多いかと思います。
もちろん、年齢を重ねたシニア犬たちは、以前よりも活動的ではなくなったり、食べる量が落ちることはよくあることです。また、成長期のパピーの成長が止まり、大人になるタイミングでもエネルギーや栄養の要求量が変化するので、「それまであんなに食べていたのに…」と心配される方もいますが、なんとなく元気がなさそうな時には、犬たちの食事内容を見直してみるのも一つの手。今回は犬たちに不足しがちな栄養、亜鉛についてご紹介します。
犬の亜鉛の必須量は?
AAFCOの定める犬の必須栄養素に亜鉛は定められており、数値にするとパピー、成長期の犬用のドッグフードであれば100m/kg以上、成犬用ドッグフードであれば80mg/kg以上となっています。
総合栄養食の基準を満たすためには基準値以上の亜鉛をきちんとドッグフードに加える必要があります。だから、理屈では総合栄養食タイプのドッグフードを適切に与えている限りは、犬たちは亜鉛不足にならないはずです。
でも、加齢により食欲が落ちたり、体調によっては上手く亜鉛を吸収できなくなることも。
犬たちの亜鉛の要求量は人間よりも非常に多いことが分かっています。人間の場合、成人男性であれば1日当たりに必要な亜鉛は8~10gで、女性では6~8gと定められています。犬と人間をそれぞれ体重1kgあたりの必要量で比較するとその差は分かりやすく、犬は1.1mg/体重1kgとなり、人間では0.21mg/体重1kg(※注釈)となり、犬たちは人間の約5倍の亜鉛が必要です。
参考文献
犬たちに亜鉛が足りないとどんな影響が出るの?
それでは、犬たちに亜鉛が足りていない時にはどんなサインが見られるのでしょうか?
■タンパク質利用に必須の栄養素のため、タンパク質代謝や細胞の再合成に影響が出る
犬たちの体内で亜鉛はタンパク質の代謝や細胞、DNAなどの合成に必須の栄養素です。成長期のパピーたちが成犬よりも多くの亜鉛を必要とするのはそのためです。パピーたちに亜鉛が不足すると、成長が遅れたり、丈夫な体を作ることに影響が出やすくなるといわれています。
■全身の皮膚や被毛に変化が見られる
タンパク質を再合成したり、細胞を作ることに影響するため、新陳代謝が行われる皮膚や被毛に影響が出やすくなるといわれています。例えば、脱毛や皮膚が乾燥し、かゆみやフケを伴うようになる、皮膚表面が固く変質する、被毛の色が抜けてしまうなどの形で現れます。犬たちの被毛の色が抜けていってしまうことは、成長に伴う変化や加齢によるものの可能性もありますが、栄養バランスによって起きることもあるようです。
また、怪我の治りが悪くなるなどの変化も起きやすくなります。
■活力低下、免疫力低下
亜鉛は犬の食欲にも影響を及ぼします。亜鉛はタンパク質の代謝にかかわる酵素を働かせるために必要な栄養素です。犬の細胞を作るためだけではなく、タンパク質がエネルギー源としても活用される時にも、亜鉛が必要だということ。亜鉛が十分ないことで、体を作るタンパク質をうまく使うことが出来ないため元気がなくなってしまうという訳です。また、哺乳類は体温維持などのために、常にエネルギーを消費しています。その体温を一定に保つことが免疫力を上げることにもつながっていきます。
亜鉛を適切な量与えるためのポイント
■手作り食なら要注意の成分
手作り食を与えていて、亜鉛不足かも?と気になる時は、サプリメントを活用するのがオススメです。
亜鉛が多く含まれている食材には、レバーやカキ、シラスなどの小魚のほか、焼きのりなどがありますが、犬は人間よりも要求量が多いので、なかなか食材から亜鉛を摂取しつつ栄養バランスを維持するのは困難です。
穀類にも亜鉛が含まれていますので、ベースフードに雑穀などを取り入れてみてもいいですね。
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■ミネラルには相互作用がある
亜鉛に限ったことではありませんが、ミネラル類は体内で他のミネラル類と相互作用しながら使われています。組み合わせによっては、拮抗的、あるいは相乗効果を持つものもあります。
簡単に言うと、特定のミネラルが存在することによって別のミネラルの機能を低下させたり、特定のミネラルが別のミネラルを温存したり、代わりに消費されるなどして、補助的に働くなどの現象が起きています。これをミネラルの相互作用関係といいます。
亜鉛の場合は、食事にカルシウムが高濃度に含まれると、亜鉛の必要性が高まることがあります。つまり、高カルシウムの食事を与えすぎることで、より亜鉛の要求量が高くなるというようなことが起きます。
おわりに
犬たちに亜鉛は必須の栄養素ですが、犬たちは体重1kgあたり人間の約5倍の量を要求するため、手作り食で犬たちに必須の量を補っていくのは難しいのかもしれません。手作り食を犬たちに与える場合は、総合栄養食タイプのドッグフードと併用したり、サプリメントなどで適量を補っていくことが大切です。総合栄養食タイプのドッグフードを食べさせていても、皮膚トラブルが多いな、とか毛ヅヤがないな、元気がないなと感じたときに、まずは亜鉛をプラスしてみてはいかがでしょうか。
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