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2020.06.17

ドッグフードとキャットフードの違いとは?犬が食べても大丈夫?調べてみました【ペット栄養管理士】

ドッグフードとキャットフードの違いとは?犬が食べても大丈夫?調べてみました【ペット栄養管理士】

犬たちの毎日の暮らしを少しベターにするTipsを、POCHIのコンサル担当のスタッフたちがお届けします。

*1 ご相談内容は一例であり、犬たちの生活習慣や体格、体質などによって差があります。

~犬がキャットフードを食べてしまいます。危険ですか?~

<とあるご相談内容>

我が家には犬と猫がいます。犬が猫のキャットフードを盗み食いしているのを見かけました。どうやらキャットフードを気に入ってしまったようです。やはり、犬が猫用のものを食べるのは危険なのでしょうか?

DOG's TALK

POCHI スタッフ OKAPY

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

今回のご相談は犬が猫の食事を食べてしまうということです。実は、犬と一緒に猫と暮らしている方から、同じようなご相談をいただくことがあります。
一般的に犬は、一度におなか一杯食べる傾向がある一方で、猫はちょこちょこと何度かに分けて食事をする習性があります。
そのため、猫が「後で食べよう」と思って残しておいたごはんを、犬が食べてしまう…ということは起こりやすいのかもしれません。

さて、犬がキャットフードを食べてしまうことについてですが、総合栄養食や栄養補助食であれば原材料的には問題なく、危険ではありません。犬にとって危険な栄養素と猫にとって危険な栄養素は共通しているものが多いので、犬がキャットフードを食べてしまったからといって、ただちに体調に影響が出るような危険な状態になることはないといえます。

参考として、ドッグフードとキャットフードのAAFCO総合栄養食基準(アダルト)を比較してみました。

■ AAFCO基準でのドッグフードとキャットフードの違い


AAFCO総合栄養基準(アダルト)によると
タンパク質の最低基準は、キャットフードが26%以上のところドッグフードは18%となっています。キャットフードのほうがタンパク質は多めに入っている傾向があります。

個別のアミノ酸はメチオニンの基準値が唯一ドッグフードの方が高いものの、メチオニン+シスチン(含硫アミノ酸)ではキャットフードの方が高く、犬にとっての必須アミノ酸が不足することはありません。

同じようにキャットフードのほうが脂質も高めになっています。
脂質はキャットフード9%以上、ドッグフード5.5%以上と基準が定められていて、脂質の中でキャットフードにだけ必須脂肪酸として基準があるのが肉類に多く含まれるアラキドン酸です。ただ、リノール酸の基準値は犬1.1%以上、猫0.6%以上と犬の方が高いので、キャットフードだけを続けて犬に与えると、不足してしまうこともあるかもしれません。


ミネラルの中で亜鉛の基準値が唯一ドッグフードの方が高くなっています。犬は人間と比較しても体重1kgあたり約5倍の亜鉛が必要で、猫よりも要求量が多くなにかと注意したい栄養素でもあります。
亜鉛はドッグフードで最近基準値が120→80と下げられたものの、ミネラル添加なしを目指すドッグフードでも亜鉛だけは添加しないと基準をクリアできないほど、まだ基準値が高い栄養です。


同じようにキャットフードだけを与え続けると犬が不足する可能性がある栄養素として、ビタミンA、E、D、B2、B5、B3、B6などがあります。これは基準値が猫の方が低いためです。
そしてキャットフードにはタウリンが必須栄養素として配合されていることが、おおまかな差としてあります。


フードに添加されるビタミンは、大体のメーカーが多めに入れているので、おそらくほとんどのキャットフードがドッグフード基準もクリアできていると考えられますが、心配な場合はスペックを細かく見るようにしましょう。
キャットフードにだけ最低基準が設定されているアラキドン酸、ビタミンK、ビオチンいずれも過剰症の心配はないので多めに入っていても問題はありません。

ドライフードでいえば、キャットフードのほうが、ドッグフードと比較して粒が小さいものが多いという特長はありますが、大きな差はありません。
また、ウェットフードなどでは、猫用のウェットフードのほうがサイズが小さめのものが多く、使い切りサイズであるという面もあります。スタッフ犬の中には、ドッグフードに猫用のウェットフードを組み合わせて食べている、という犬もいます。

ただ、今回のケースでは犬が自分の食事以外に猫のごはんを食べてしまっている、ということなので、カロリーオーバーになってしまっている可能性が高いのでその点は注意が必要です。(キャットフードの方がタンパク質とカロリーが高い傾向にあります。)

猫の食事スペースを犬が立ち入れない場所にするか、高さのある場所に移動させることで犬が食べてしまうことを防げますので一度試してみてください。