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2021.07.01

ドイツの街角から ~ドイツの公園のベビーラッシュ~

ドイツの街角から ~ドイツの公園のベビーラッシュ~

*1 この記事を書いた人:pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。

ケルンでは今、出産ラッシュを迎えています。水鳥の赤ちゃんが続々と誕生しているのです。ポチンスキーとの散歩コースにある水辺には多くの水鳥が生息しており、その出産ラッシュは春から初夏にかけての風物詩となっています。この期間の散歩はいつもに増して楽しみで、ふ化している親鳥や卵からかえった可愛らしい赤ちゃんたちの様子を見るため、わざわざ遠回りすることもしばしばです。

私たちの散歩コースの1つには、1920年代の都市整備で造られた人工池や人口水路があり、憩いの場として人々に親しまれています。水と緑が豊かなところとあって生息する水鳥は多く、その種類もさまざま。白鳥やマガモ、カナダグース、アオサギ、バンなど、多彩な水鳥が暮らしています。

 

氷が張った人工池。足を滑らせながらよちよち歩くひな鳥たち。

実は今年の2月ころ、とても珍しい光景を目にしました。氷が張った池の上をエジプトガンのひな鳥6,7羽がよちよちと歩いていたのです。冬にしてはとても暖かい日が続いた時期があり、親鳥が季節を誤って産卵してしまったのかもしれません。ですが、池が凍るほどに寒さが戻ったためか、その1,2週間後にはわずか1羽だけが親鳥のもとに残っていました。

私がこれまで見てきた限り、エジプトガンの親鳥が連れているひな鳥は大抵2,3羽です。冬に産卵した親鳥は、もしかしたら野生の本能で通常よりもたくさん産卵したのはないか、などと素人のバードウォッチャーなりに勝手に思い描いています。

 

白鳥の親子。白鳥は水鳥の中でも特に家族の結束が強いような気がします。


そんな悲しい出来事もありましたが、気候も暖かくなった今では、あちらこちらで誕生したひな鳥たちがすくすくと元気に成長中です。ひな鳥たちの成長の速度は速く、数週間から数カ月のうちに親鳥と区別がつかないほどになり、やがて巣立っていきます。ただし、白鳥だけは例外です。親鳥たちと一緒に少なくとも一冬を過ごし、その後、ひな鳥の羽根がグレーから白色へと変わる頃に親子の姿を見かけなくなります。

人工池の中に巣を作り、卵を温めているオオバン。親鳥がほんの少し巣を離れた時など、タイミングが良ければ、卵を見ることもできます。


ところで、産卵中や子育て中の親鳥たちは神経をとがらせているため、犬との散歩は注意が必要です。人や犬が近づくと、親鳥は毛を逆立て威嚇する声を出すなどして、ひな鳥たちを守ろうとします。特に、白鳥はポチンスキーよりも身体が大きく、攻撃されて危ない目に遭うのはポチンスキーのほうでしょう。

 


都市や自然の厳しい環境下にある野生動物たちの現実を目の当たりにし、切ない気持ちになることは少なくありません。その中で、たくましく生きるひな鳥たちや、かいがいしくひな鳥の世話を焼く親鳥たちの姿を見ると、本当に心がほっこり温かくなります。
 

ポチンスキーは野鳥などには全く関心を示しませんが、野鳥たちの警戒心は強いため、あまり近寄らないように気をつけています。