2022.08.08
犬と一緒に大自然の中で遊ぶ、NZのライフスタイル ~南半球のDog's letter~
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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
全世帯の28%が犬を飼育
ニュージーランドといえばまず大自然を思い浮かべる人も多いでしょう。国土の3分の1以上が自然保護区や公園に指定されており、私の暮らすこの国最大の都市オークランドでも市街地から車で10分も走れば美しいビーチや緑豊かなウォーキングトレイルに行くことができます。
そうした自然の中で犬と一緒に遊んでいる人が多いのもニュージーランドらしい光景。ニュージーランド・コンパニオン・アニマル(ペットの意味)・カウンシルの調べによると人口約504万人のこの国では全世帯の28%が犬を飼育しており、国全体で約70万頭の犬が存在するのだとか。そんな犬好きが多い国民柄、犬連れで入れる公園やビーチは多く、犬と一緒に泊まれるキャンプ場やオフリードにできるエリアも多数存在します。今回はその中から例としてオークランドにある3つのスポットをご紹介します。
オンリードで入れる自然保護区も
最初にご紹介するのはダウンタウン(地元ではシティと呼ばれています)にほど近いメオラ・リーフ保護区。
溶岩流によって形作られた半島で、長さ約1.7kmのウォーキングコースが整備されています。さまざまな野鳥やニュージーランド原産の珍しい植物が見られる自然保護区ですが、オンリードなら犬連れでもOK。さらにフェンスで囲まれた広大なドッグランがあり、ここでは犬をオフリードにして存分に遊ばせることができます。
週末ともなると犬連れの人々がたくさん集まり、犬も飼い主たちも交流を楽しんでいる様子。ほどよくアップダウンもあるので運動量が必要な大型犬にはもってこいでしょう。園内には犬の水飲み場や犬のフン専用のゴミ箱も用意されています。
水遊びできるビーチが充実
港町オークランドには数々のビーチが点在します。東海岸のビーチは白砂、西海岸は黒砂と、砂浜の色が異なるのも興味深いところ。ほとんどのビーチが犬連れ可能で、一部のエリアや夏の日中を除けばオフリードも認められています。
ダウンタウンから近い人気ビーチのひとつが、東海岸のタカプナ・ビーチ。市街地から車で10分ほどの距離ですが、遊泳もできるきれいなビーチです。全長2.5kmあり、波が穏やかなので犬が泳ぐのにもぴったり。すぐ隣には全長2kmのミルフォード・ビーチが広がり、海沿いをロングウォークすると気分爽快。オークランドは冬でも晴れると日中の気温が20℃近くまで上がることもあるため、1年中水辺で遊ぶ犬たちの姿が見られます。
ダウンタウンから車で40分ほどの西海岸のビーチは、市街地から少し離れているだけにワイルドな景観が魅力。そのうちのひとつ、ムリワイ・ビーチは通年波が立つサーファー御用達スポット。カツオドリのコロニーや近隣にワイナリーなどの見どころもあり、観光客もよく訪れます。
晴れると黒砂が非常に熱くなるので夏の日中はおすすめできませんが、オフリードにできるエリアも広く、近隣に芝生スペースやブッシュウォークトレイルもあり、犬を遊ばせる場所には事欠きません。海水と黒砂でかなり汚れるものの、はしゃぐ犬たちは幸せそうです。
環境保護のためのルール
犬にはパラダイスのようなニュージーランドですが、環境保護のためにルールはしっかりと定められています。
約6000万年前にゴンドワナ大陸から離れ、長い間孤島だったニュージーランドでは独自の生態系が発達し、人間が持ち込むまでは哺乳類が存在しない鳥類の楽園でした。
ところが人間の入植が進んで以来、犬や猫などにより国鳥キウィに代表される希少な固有の野鳥は個体数を減らしてしまいました。
その対策のため、ニュージーランド自然保護局では犬とすべての野生動物との距離を20m以上とることを義務付けています。
犬が入れないエリア、入れない時間帯、オフリードにできる場所と時間なども細かく決まっており、オフリードにしていても常にリードは手に持っていなければなりません。規則に違反すると懲役や罰金が科されることもあります。
とはいえ、オークランド市役所のサイトで検索すると、市内にオフリード可能な場所は1842ヵ所もヒットしました。ニュージーランドの犬たちにとって大自然の中で遊ぶのはごく当たり前のことなのです。