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2023.09.20
犬に栗を食べさせる最適な方法とは?ペット栄養管理士が解説します。
季節の美味しい食材はさまざま。旬の味わいを犬と一緒に楽しめたら…と思う方は多いはず。でも「これって犬に食べさせても良いのかな?」と気になる食材ってありませんか?
そんな食材の中から、今回は秋に美味しい「栗」をピックアップしてご紹介。含まれる栄養や与えるときに気を付けたいポイントについてなど、ペット栄養管理士が分かりやすく解説いたします。
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POCHIのペット栄養管理士 岡安
ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。
栗は犬に食べさせてもOKな食材です。
結論から言うと、栗は犬が食べることができる食材の一つです。
固い殻に覆われていて、そのままの状態では犬が食べることは到底出来なさそうですが、適切な調理で美味しく楽しむことができます。
栗は太古の昔、日本人の主食でもあったという説があるほど栄養豊富。日本に稲作が伝来するよりずっと昔から、日本人は「栗」を食べていたという痕跡が残っています。
日本には昔から自生していた栗の木からたくさん採れる実は、私たちのご先祖様の生活を支えてくれていたんですね。
太古の日本人の狩りのお供をしていた、日本犬の遠いご先祖たちも、人間たちと一緒に栗を食べることがあったのかもしれません。
栗は加熱調理をしてから犬に与えてください。
犬は生の状態の栗を食べることはできません。固い殻に覆われていますし、消化することができずお腹を壊すリスクがあります。
また、生の栗には生きたままの虫がいる可能性があるほか、渋味が強く美味しさを感じないといわれています。
犬に与える時は、必ず加熱調理を行うことが前提となります。
犬に栗をオススメの料理法
■下ごしらえをしてください
買ってきたばかりの栗は、固い皮と渋味が強い薄皮に覆われています。これらの皮をむきやすくするために、調理をする前日から水に漬けておくと食べやすくなります。
■お湯を沸かしてそのままじっと待つ。「茹で栗」
栗が完全に水を被るくらい、たっぷりのお湯を張ったお鍋に栗を入れ、約40分ほど茹でます。この時、栗の実に切れ目を入れる必要はありません。
時間がかかる方法ですが、簡単で手順は少ないです。またしっとりと仕上がる傾向にあります。
■時短でホクホク。「電子レンジ」
下ごしらえを行った栗の固い皮に切れ目を入れ、たっぷりの水を張った耐熱 ボウルに入れます。ふんわりとラップをかけるのを忘れずに。この時、ボウルは大きめのものを選ぶと吹きこぼれにくくなります。
500~600Wで約5分ほど加熱すればOK。「茹で」と比較して必要な時間はとっても短くなります。しかし、一度に調理できる量は10個程度までがオススメ。一度に大量に調理すると栗が破裂したり、上手く火が通らない可能性があります。
栗に含まれる基本的な栄養を解説
栗に含まれる基本的な栄養を解説します。今回は、食べさせるために加熱調理済のものを対象とします。
■栗(茹で)/100g に含まれる基本的な栄養素
エネルギー:152kcal
水分:58.4g
タンパク質:3.5g(DM:8.4%)
脂質:0.6g
炭水化物:36.7g
灰分:0.8g
カリウム:460mg
リン:72mg(DM:0.17%)
でんぷん:25.8g
栗の特長はカロリーが低いことがあります。栗の可食部は植物の種に当たる部分なのですが、同じく種を食べる代表的な種子のくるみと比較すると、そのカロリーは1/4以下となっています。(くるみのカロリー:713kcal/100g)
一方でタンパク質に関しては、ほかの種子類と比較して高く、植物性のタンパク源として活用できそうです。一方で炭水化物も36.7gと比較的高く、これはさつまいもとほぼ同等(さつまいもの炭水化物量:33.7g/100g)となっています。栗の炭水化物の内、25.8gはでんぷんとなっているので、エネルギー源としての活躍も期待できそうです。
また、リンの値についても、乾物計算(水分量を考慮した計算法)で調べてみると約0.17%となり、この数値は腎臓病用の療法食の約半分となっていて、低リンの食品ということができそうです。タンパク質も控え目となっていますから、腎臓の状態が気になる高齢の犬のオヤツとしてもオススメできそうです。
こんな子に栗はオススメ
・低カロリー&低脂肪のオヤツを与えたい
・腎臓の状態が気になる犬のおやつを探している
・アレルギー反応を示す食べ物が多く選択肢が少ない
オヤツとして犬に栗を食べさせる時の適量とは?
■1日のうちに犬に与えてもよい間食の目安量(カッコ内は避妊・去勢済)
一般に、1日のエネルギーのうち、オヤツはその1割くらい、トッピングは2割くらいまでといわれていますので、1割で計算してみました。
小型犬(5kg) | 約39kcal(約35kcal) |
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中型犬(15kg) | 約90kcal(約80kcal) |
大型犬(30kg) | 約170kcal(約150kcal) |
■栗(茹で)を犬の間食として与える場合の目安量
小型犬(5kg) | 25~30g |
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中型犬(15kg) | 50~60g |
大型犬(30kg) | 95~115g |
茹で栗1つぶあたりの重さが約25gほどといわれていますので、体重5kgの小型犬であれば1粒、15kgの中型犬なら2粒、大型犬なら3~4粒が目安になりそうです。
栗を使ったドッグフードご紹介
栗を使った犬用手作りレシピ
■犬の手作りレシピ ほっくり甘い『栗のふわふわ蒸しパン』【管理栄養士監修】
■簡単&時短、犬の手作り食レシピ:鶏肉と栗のサムゲタン風おじや
おわりに
今回は秋に美味しい食材の代表格である「栗」についてご紹介いたしました。太古の昔から日本人の食事を支えてきた栗ですが、適切に調理すれば犬にも与えることができます。
栄養面をチェックしてみても、リンの数値が低いこともありシニア犬のオヤツとしても与えやすそうな印象がありました。
今回ご紹介した調理法を活用して、犬と一緒に秋の味覚をお楽しみください。