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2024.04.11
【#大きな犬と】車中泊で自由に犬連れ旅行を楽しもう!車中泊成功の秘訣をドッグトレーナーが伝授
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報犬連れ車中泊旅行
マイカーでの車中泊の経験が豊富な、ドッグトレーナー倉岡麻子さんと犬カメラマン田尻光久さんに、車中泊旅行の体験談や車中泊を快適にする秘訣を教えていただきます。初めての車中泊でも、この記事を読めばきっと成功するはず!
車中泊は、自由だ!
車中泊のメリットと聞いて思いつくのは、宿泊費が節約できることや、ペット宿泊不可な宿ばかりの旅行地でもOKなことかもしれません。
それだけでなく、ドッグトレーナーの倉岡麻子さんは、次の理由から車中泊旅行が大好きだと語ります。
「なにより、時間に縛られずに自由に行動できるのが最高です。
犬と泊まれる宿を利用した経験もありますが、まずは予約が大変で、さらに、チェックインや夕食の時間を考えて自宅の出発時間や旅先での時間配分を計算しなければなりません。でも、車中泊旅行なら、起きる時間も宿泊地までの時間の使い方もすべてが自由。途中、思いのほか観光に時間を使ったところがあったら、『今日はこのあたりに泊まろう』といったスケジュール変更も容易です。もし出発前に天候に不安が生じたら、旅行自体のキャンセルも気軽にできますし。
思い立ったらすぐに犬連れでフラーっと旅に出られる気楽さ、そして旅程のフレキシブルさが、車中泊旅行の魅力ですね」
気兼ねしないで好きに過ごせる
先代のラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバー、そして現在ともに暮らしている元野犬の保護犬2頭と、数十年で何十回も車中泊旅行を経験しているカメラマンの田尻光久さんも、旅は車中泊派。
「車中泊を選ぶと、犬との遊びの幅が広がるのは間違いありません。
それから、誰にも気兼ねせずに過ごせるのがいいんですよ、車中泊は。
元野犬で少々繊細な“なつ”と“きのこ”は、たとえ犬が泊まれる宿でも、ほかの宿泊者や犬を気にして緊張するからかわいそうだなぁ……、と。
また、我が家の場合は元保護猫2匹も一緒に旅行するので、みんなでリラックスできる宿泊先となると、マイカーが最強です(笑)」とのこと。
倉岡さんは、「ほかに誰もいない、夜の大自然を占有できる気分にもなれます」とも語ります。
田尻さんは、車中泊を快適にするアイテムとして、窓にフィルム加工がされている現在の自動車になる前は、カー用品店で自動車用カーテンを購入し活用していました。
「外を気にして犬たちが吠えることも少なくなりますし」とも。
車中泊を成功させるドッグトレーニングや工夫とは?
倉岡さんは、ドッグトレーナーの視点から、犬たちが車中泊旅行でストレスを溜めないための重要なポイントを2つ挙げます。
ひとつ目は、田尻さんもカーテン利用で工夫しているように、犬への刺激となるものを極力避けること。
「車中泊では、“道の駅”やサービスエリア(※犬連れで利用できるか、事前に確認を行いましょう)を利用するケースが多いと思いますが、同じように車中泊をしている人がトイレに行く際に車のドアを開閉する音などが、静かな夜間は意外と気になるものです。それらの刺激に反応して熟睡できなかったり、警戒吠えをしてしまう犬も少なくないでしょう。うちの子がそのようなタイプだと感じている場合、駐車する場所のセレクトが大切になります。人通りが少なく、トイレから離れていて、さらにはほかの犬連れ車中泊のファミリーからも離れた場所を確保できればベスト。
耳だけでなく目からの刺激を減らすために、車窓にはカーテンやフィルムもぜひ付けておきたいですね」
倉岡さんは、犬とのお出かけを快適にする“社会化トレーニング”の重要性も説きます。
「子犬から迎えた家庭では、子犬期や若齢期にあらゆるものに慣れる“社会化”に力を注いで行っておけば、犬たちは心にゆとりができて苦手なものも少なくなるでしょう。元野犬や散歩経験ゼロの繁殖引退犬といった保護犬を迎えた場合、新しい環境に慣れるのはむずかしかったり時間がかかったりするケースが多いですが、少しずつでも、無理強いせず、大好きなおやつなどを使って苦手意識を減らせるようにしてみてくださいね」
ふたつ目が、合図で排尿できるようにする“トイレトレーニング”。
「たとえば“ワンツー”の号令で、犬がおしっこをするようにトレーニングしておくと、車中泊の旅行中すごく便利です。(※人間も排便のタイミングを思い通りにできないように、犬もうんちはトレーニングでコントロールできません。)
寝る前や、しばらく車内にいる前、合図でおしっこを済ませられれば、犬の心身の負担もかかりません」
雨天時や渋滞時は、トイレシーツ(ペットシーツ)を車内に敷き、合図で排尿させることもできるでしょう。
なお、倉岡さんが犬との旅行に必ず携行するアイテムが、ロングリード。
「ほかの人や犬がいなくて、自然をひとり占めできるような広々としたスポットを犬と散策する際、犬も飼い主ものびのびできて絶対に役立ちますよ」
車中泊を快適にするポイント5選
犬連れ車中泊旅行のエキスパートである倉岡さんと田尻さんに、車中泊を快適にするアイテムやポイントを教えてもらいました。
「もし災害時に車中泊をすることになっても、これだけ整えておけば一応は安心です」とも、田尻さんは言います。
ポイント(1)寝床を平にする
身体がまっすぐな状態で眠れたかが、翌朝以降の快調さを左右すると、倉岡さんも田尻さんも実感しています。
エコノミークラス症候群と呼ばれる血栓障害の予防のためにも、寝袋や小さめの敷布団を車内に平坦に敷ける環境を整えましょう。
ポイント(2)荷物を減らす
荷物が多いと、寝るためのスペースが狭くなりがち。荷物はなるべく最小限にして、車内でくつろげるスペースを少しでも広めに確保しましょう。
旅行中にコインランドリーを利用すれば、衣類は少なくて済みます。
コンビニやドラッグストアなどで現地調達できそうな物は、あえて持参しないで良いでしょう。
ポイント(3)網戸を設置
真冬以外は、明かりや体温につられて昆虫が自動車に近寄ってきます。
夜間に蚊の襲撃を受けないためにも、事前にディーラーや車用品店に相談して自動車の窓には網戸を設置しておきたいものです。
ちなみに倉岡さんは、宿泊地で100円ショップに駆け込んで網を購入し、マグネット(磁石)で車の窓に設置してしのいだ経験があるそう。
ポイント(4)ポータブル電源とスポットクーラー
車中泊旅行で便利なアイテムのひとつが、ポータブル電源。
倉岡さんは夏場の旅行では、日中に自動車を走行させながらポータブル電源を充電し、夜間はその電力で小型のスポットクーラーを稼働させて使うことも多いと言います。
ポイント(5)抜け毛対策に犬に洋服を着せる
気づけば車内も飼い主の持ち物も、犬の毛まみれ。旅行中はもちろん、帰宅後の車内清掃を想像しても憂鬱……。そんな事態に陥らないためにも、うちの子の抜け毛の飛散量を大幅に軽減させてくれる洋服が活躍してくれます。
倉岡さんは旅先の自然路散策後に、犬にマダニが大量についていたことがあるそうですが、マダニやノミの付着予防にもウェアは一役買ってくれるでしょう。
小型犬しか宿泊できない宿も少なくないので、大きな犬の飼い主さんは車中泊旅行を検討することも多くなるかと思います。この記事で、きっと挑戦へのハードルが低くなった車中泊旅行を、存分に楽しんでくださいね!
ライター:臼井京音