- コラム
2024.09.25
【#真のプロフェッショナルに迫る】スウェーデン式ドッグマッサージでアンチエイジング&健やか生活
あまり目立たないけれど、実は犬との生活を陰で支えている繊細なプロの仕事の存在を、意識したことはありますか?
"真のプロフェッショナル"とたたえたい、犬との暮らしを快適にしてくれる匠と、その技の誕生秘話などを紹介します。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報スウェーデン式ドッグマッサージ
免疫力アップ、動かしやすい身体の維持、自律神経の調整など、健康促進やアンチエイジングをサポートしてくれると評判の、スウェーデン式ドッグマッサージとは?
そのメリットと、自宅で手軽にできる4つのマッサージを紹介します。
スウェーデン式ドッグマッサージとは?
「食が細くなった高齢犬ですが、お腹にマッサージしたら再びモリモリ食べるように!」
「老犬になってからマッサージを続けているおかげか、超高齢でも寝たきりにならず自力でトイレに行けています」
「ハイシニアドッグなのに、お散歩でもしっかり歩けています」
「椎間板ヘルニアの術後のリハビリが、とても順調です」
「身体に麻痺が残る病気をしたのですが、定期的に通っていたら首を上げたり四本足で歩いたりできるようになりました」
飼い主さんの喜びの声があふれる、世界で注目を集めているというスウェーデン式ドッグマッサージ。ドッグケア インターナショナル マッサージスクールDog One Ginza代表の安居院千尋さんは、その特徴を次のように語ります。
「スウェーデンのアニマルマッサージをもとに、オーストラリアの動物理学療法を取り入れて開発されました。獣医師の指導のもと、犬の解剖学や犬特有の疾病を重視しながら考案されたマッサージで、ホルモンの分泌を促すだけでなく、犬のメンタル面にも大きく作用します」
■ スウェーデン式ドッグマッサージのメリット
・体内の循環や血行の促進による、健康維持や免疫力向上
・リンパ液の排泄増加
・ホルモン分泌の促進
・神経圧迫のある部位をほぐすことによる疼痛の緩和
・リハビリの早期化
・軟部組織の伸展性の増加と癒着の減少
・スキンシップによるリラクゼーション
・ウォーミングアップの一環として実施することによる、ケガの予防
・ホルモン分泌を促して自律神経の働きを整える
4つの基本テクニックを覚えて、やってみよう
飼い主さんが自宅でうちの子にマッサージをする前に、まずはスウェーデン式ドッグマッサージの4つの基本テクニックを覚えておきましょう。
重要なことは、どのマッサージを行う際も、飼い主さんが呼吸を整えて力を抜くこと。落ち着いてリラックスした状態の人にマッサージされてはじめて、犬たちも気持ちがよいと感じるものです。
基本的にはひとつの部位に対して、3~5回ほど同じマッサージを繰り返し行います。
基本テクニック ー1エフラージ(さする)
指先を少し上に向けて浮かしながら、筋肉全体を引き伸ばすようにして両手でさすります。
体を温める目的で、ふだんからから行いたいマッサージです。
基本テクニック ー2サークル(ほぐす)
指の腹を使い、円を描くようにして筋肉をやわらかい力でほぐします。
皮膚と筋肉の癒着を取り除くサポートをします。
基本テクニック ー3ペトリサージ(もむ)
まず、飼い主さんの指で犬の皮膚をつかみます。それから最初は皮膚、次に筋膜を持ち上げるようにしながら、外側にゆっくりと広げるようにしてもみます。
血行促進と、筋膜をやわらかくするのに最適なマッサージです。
基本テクニック ー4フリクション(揉捏)(じゅうねつ)
揉はもむ、捏はこねるという意味のとおり、飼い主さんの指の腹でしっかりマッサージ。犬の皮膚を指の腹で押し上げたら、外側に開くようにしてもみます。
血流を良好にするマッサージです。
体調管理に役立つマッサージ4選
マッサージ - 1心身の緊張がほぐれる:首
犬には鎖骨がないこともあり、頭部を支える首は凝りやすいと考えられます。首をほぐすだけでも、心身の緊張感が軽減するもの。
その後に行うスウェーデン式ドッグマッサージの準備として、まずはサークルとペトリサージで、首周りをほぐすことからスタート。
飼い主さんの片方の手で犬の首を支えて、マッサージ。皮膚を下から持ち上げるようにして、サークルで首全体をほぐします。
ペトリサージで、筋膜のリリースも行いましょう。首の皮膚を手でつかみ、外側に開くマッサージを、首の上部から肩甲骨の近くまで、同じ部位で3~5回繰り返してください。
マッサージ - 2後ろ脚の動きを良くする:お尻
お尻の筋肉は、後肢を動かすのに重要な役割を担っています。
筋力が加齢とともに衰えてくる老犬や、後肢の関節や膝などにトラブルを抱えている犬が、しっかりと、そしてスムーズに後脚を動かせるよう、お尻の筋肉をサークルでほぐしてあげましょう。
犬が立っている場合は、両側同時でも、片側ずつでもやりやすい方でOK。
やわらかい力で円を描くようにしてほぐしましょう。
犬が寝ている姿勢で行う場合は、片側ずつ行います。
犬の筋肉を伸ばすようなイメージでマッサージするのがコツ。
マッサージ - 3歩行や走行を行いやすくする:前肢
四つ足動物の犬は、頭部がある上半身に体重がかかりやすい生き物です。
前肢の筋肉を主にフリクションでもみほぐすだけで、足先までの血行が促進されてやわらかく軽くなり、犬もラクに感じるようになるでしょう。
肢は、毛並みに沿って指の腹でのばします。指の腹が、犬の皮膚の上で転がるようなイメージでマッサージを。
前肢を5~6パーツに分けて、肢の付け根に近い方から足先に向かって、それぞれ3~5回ずつ、筋膜をリリースしながらもみましょう。
マッサージ - 4食欲アップや便秘解消に:お腹
デリケートなお腹は、やさしい力でまずはエフラージから。お腹の上部から下部に向かってソフトな圧でさすりましょう。
お腹の下部までエフラージをしたら、指をまっすぐにして、今度はそけい部に向かって半円を描くようにサークルでマッサージ。
老犬や寝たきりで腸がうまく動かない子にお腹のマッサージをすると、ホルモンの分泌が促されて食欲が出ることも多々。腸を動かすことにもなるので、便秘の解消も手助けしてくれます。
指の第1関節より下の部分を使い、腸の上部から下部に向かってさすってください。下部までエフラージをしたら、後肢の付け根に向かってサークルでほぐします。
飼い主さんも犬も、ラクな姿勢で行って問題ありません。
どのマッサージも、うちの子が気持ち良さそうにしているかを確認しながら進めましょう。
マッサージ中に、皮膚など身体の変化に気づき、病気の早期発見にもつながるケースも少なくありません。
メリットがたくさんのマッサージタイムを、ぜひ日課に。うちの子とのスキンシップによって、飼い主さんにも幸せホルモンがたくさん分泌される癒しのひとときになるに違いありません。
文・写真:臼井京音
■ 取材協力:安居院千尋さん