- 特集
2024.11.18
【#うちの犬とチャレンジ】犬連れハイキングが楽しい!犬連れ登山成功のポイントとは
犬たちの個性や犬種の特性による行動は、ワクワクだけでなく社会貢献につながることがあるかもしれません。
個性を受け入れて、前向きにうちの子と向き合う時間につながる、そんな楽しい"チャレンジ"を紹介します。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報犬連れハイキング
「豊かな自然の中で、犬の本来の犬らしい姿を見られるから、犬連れ登山はやめられない」と語る、“女子シュナ登山部”の発起人に、その楽しみ方と心得を教えてもらいます。
山中では、犬らしい姿が見られる!
うちの子と至極の大自然を共有できる、トレッキングやハイキング。
季節ごとに美しい表情を見せてくれる山のなかで、木々のざわめきや鳥のさえずりを耳に、一歩一歩うちの子と大地を踏みしめる喜びを、一度は体験してみたいものです。
「山では、犬が犬らしくいられると感じます。ふだんの散歩では見たことのないような、斜面に立ちはだかるゴツゴツした樹木の根や岩場をひょいひょいと駆け上がる姿 を目にすると、あらためて犬の秘められた運動能力や知力に感動します。人の誘導なく、自分でちゃんと上りやすいコースをしっかり検分して進んでいくのですから」
このように語るのは、2016年にミニチュア・シュナウザー同士のInstagramでの交流をきっかけに発足した“女子シュナ登山部”の発起人、八田さん。
これまでの活動回数は80回を超え、2024年現在は9名が在籍しています。
「いつもだいたい3~5名のメンバーで月に1回、首都圏から日帰りできる山で犬連れトレッキングを楽しんでいます。
2024年10月は『たまには遠出を』と、泊まりで安達太良山に行ってきました。
私たちはそれぞれが犬同伴でのパーティになるので、犬が苦手な方への配慮もあり、混まない平日や早朝、そしてなるべくメジャーすぎない山を選んで行っています」(八田さん)
山の楽しみは、犬たちにもたくさん
山のなかでは、どの犬たちの目もキラキラと輝いているそうです。
「山行中は、どの子もにおい嗅ぎを満喫していますね。きっと、獣、昆虫、鳥……、私たち人間ではキャッチできないようなにおいをくんくん嗅いで、日常生活では得られない刺激を味わっていると思います」(八田さん)
土、岩、落ち葉のじゅうたんなど、コンクリートではない足裏の感触も犬たちは存分に楽しめることでしょう。
犬にも飼い主にも無理がないよう、女子シュナ登山部ではコースタイムが3~4時間の山を選んでいます。
「たとえば、高低差200m程度の低山である鎌倉アルプスなどはビギナーにもおすすめです。
身の丈に合ったハイキングコースをチョイスすること、そして山の天気は変わりやすく急な雨で体力を奪われたりもするので、天候や体調面で不安があるときは途中で引き返すといった柔軟な対応力も、犬連れハイキングには欠かせません」(八田さん)
道中でケガをするなどして犬が歩けなくなってしまったときのために、登山の際はスリングも持参しているそうです。
山に行くのは、行き帰りの移動も含めてちょっとした小旅行です。
「最初は体力的にも山だけが目的でしたが、何度もあちこち出かけるうちに周辺のグルメスポットが気になるようになりました。今では“アフター登山”と称し、事前に調べたその土地のスイーツ店やドッグカフェで、トレッキング談義に花を咲かせてもいます」
山に慣れてきたら“アフター登山”で、さらに充実した“小旅行”を楽しめることでしょう。
快適に犬連れ山登りを楽しむポイント
犬との登山では、気をつけたいポイントが人だけのときより増えます。
2頭のMシュナウザーと服従訓練も行ってきた八田さんは、日ごろのトレーニングが最重要ポイントだと実感しているそうです。
「狭い山道をすれ違う登山客の中には、犬が苦手な方もいます。こちらの想定以上に犬に驚かれ、それが事故に繋がる可能性もあるため、犬のトレーニングをしておくことはなによりも重要です。
自然植生物保護のため規制している所もありますが、以前は犬の同行を禁止していなかった山に『ご遠慮ください』の看板ができたりもしています。山も公園などと同じ公共の場所。犬の同伴可能なハイキングコースが、犬連れ登山客の振る舞いなどが理由で今後減ってしまっては残念です。山を愛するみなさんと心地よく山を楽しむために、最大限の配慮や気遣いはしてほしいです。無駄吠えをさせない、きちんと呼び戻しができるといったしつけは、犬連れハイキングに行く前の必須条件だと思います」
ほかにも一般的な犬連れ登山で気をつけるべきポイントは、以下のようなことがあります。
・人とすれ違うときはリードは短く持つ。
・もし犬がほかの人に吠えてしまったら、すぐに謝る。
・犬が飼い主のそばにいることを徹底する。
・迷子防止のためにノーリードにせず、伸縮リードも使用しない。
なお、犬連れOKの山は、八ヶ岳(山梨県・長野県)の入笠山など、犬と一緒にゴンドラやロープウェイに乗れるなどの条件が整っています。そういったドッグフレンドリーなスポットを事前に調べて、行き先を選ぶ参考にするとよいでしょう。
犬連れで必要になる持ち物
防寒具や雨具など、人間の登山で必須の持ち物に関しては本記事では省略しますが、安全にハイキングが楽しめるように準備と装備はつねに万全にしたいもの。
うちの子とのハイキングで役立つアイテムは、以下のとおりです。
・斜めがけできるリード(両手が空いて便利)
・ハーネス(リードに装着するのはハーネスが安全)
・迷子札や鑑札をつけた首輪(ハーネスとは別に万が一のためにつけておく)
・カラビナ(一時的な係留用などに便利)
・臭いが漏れないうんち袋(山でも排泄物は必ず持ち帰ること)
・おやつ(登山で体力を使う犬たちの、エネルギー補給になる)
・水と水飲みボウル(下山するまで水道などは基本ないため)
・スリッカーブラシかコーム(マダニ対策)
・ドッグスリング(小型犬の場合)
・虫よけスプレー(季節によって)
山に入る際、犬にはウェアも着せるのがおすすめ。
「虫、種、汚れ、そして擦り傷や切り傷を予防するのに、ウェアがとても役立ちます。私たちが持っているのは、種がつきにくい撥水加工や防寒目的の素材のオールインワンタイプのもので、季節や行き先によって使い分けています」(八田さん)
雪が積もっている山に行くときは、防寒着だけでなくブーツも忘れずに。
マダニなど虫対策を抜かりなく!
山にはマダニやノミなどがたくさんいます。
蚊が媒介するフィラリア症も含め、マダニとノミの予防薬(駆虫薬)は定期的に投与しておけば、もしマダニやノミが犬についても1日ほどで死滅します。とはいえ、飼い主さんの身体や自宅のソファやカーペットに、マダニやノミが犬の身体から移らないとは限りません。
「登山前や登山中、犬の服の上からこまめに、マダニにも効く虫よけスプレーをしておくのをおすすめします。
下山後は、犬の身体にマダニやヒルなどがついていないかを、しっかりチェックしてください。マダニなどを発見したら、スリッカーブラシやくしで取り除きましょう。我が家では、トレッキングをした日は必ずうちの子たちにシャンプーをしています。
ヤマビル生息地は、関東だと丹沢山系や群馬の妙義山などが有名です。ヒルの活動シーズンには行かないのが無難かもしれません」(八田さん)
うちの子の犬としての特性を引き出しながら、山の豊かな自然にいだかれて犬も人もリフレッシュできるトレッキング。
快適に楽しめるポイントをおさえて出かければ、きっとかけがえのない思い出が増えることでしょう。
ライター:臼井京音
取材協力・写真提供:女子シュナ登山部