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2025.02.10
肉球が硬くなってきたらやること《RETRIEVER + POCHI archive006》

カメラマン:加藤史人
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
トラブル①肉球が硬くなる、ささくれ立つ、亀裂が入る
肉球が硬くなることは、一概に悪いことではないのです。
例えば、都会に暮らし、毎日の散歩でコンクリートの上で歩くようであれば、肉球はそれに合わせて硬くなるのが自然です。
ただ、硬さも限界を超えると、障害を生じます。肉球の縁の部分がぼこぼこしていくような現れ方から始まり、硬くなりすぎると表面にささくれや亀裂ができます。犬も痛みを感じるようになり、歩きづらそうにしたり、歩きたがらなかったりすることもあります。
また、ささくれや亀裂の隙間に石などの異物が挟まり、二次的なケガへと発展してしまうこともあるので要注意しましょう。
予防法肉球クリームでデイリーケア!

肉球の硬さに最も影響するのが、表面を覆う表皮と呼ばれる部分です。
表皮は常に新しい細胞に置き換わり、役割を終えた細胞はフケとなってはがれ落ちていきます。年齢とともに肉球は変化し、潤いも失われていきやすいのです。
こうした生理的に起こる肉球のささくれや亀裂には、肉球クリームを使った毎日のケアが有効です。若いころからの日々のケアが、将来にも生きてくるでしょう。
トラブル②肉球がずりむける
室内飼いで、朝晩のゆっくりとした散歩程度が日課の暮らしでは、突然の激しい活動で肉球が傷ついてしまうことがあります。
週末のお出かけや旅行時、広々とした屋外で思い切り遊ばせたり、岩場や砂利の上で楽しんだりすると起こりやすいです。
また、水遊びをたっぷりした後の肉球はふやけて軟らかくなり、その直後の運動でむけたり傷ついたりすることもあります。
いずれも日ごろの生活スタイルで鍛えられていない肉球が、強い負荷でむけてしまいます。
予防法必要であれば靴をはかせて!

犬が種本来の生活環境にいれば、飼い主が肉球のケアに介入する必要はないですが、問題となるのは、家の中で長時間過ごしているような犬が、ある日突然険しい道を長時間歩いたり激しい活動をしたりする時なのです。
こういった場面では、肉球に不都合が生じないよう飼い主がケアしてあげることも大切です。
人が出先に合わせて靴を選ぶように、犬の普段の暮らしを顧みて、適応が難しいと思う外出時には靴や靴下を履かせてあげるといいと思います。
トラブル③ツメが折れる、割れる
ツメは新しい部分が育っていく際、死んだ部分がくっついたままで伸びていきます。
このことは、ツメの構造が根本と先では異なっていることを意味しています。先のほうに生きた細胞はいませんが、根本のほうには成長に大切な血管や細胞が保持されているということです。
そのためツメの先のほうが傷ついても大きな問題はないが、根本から折れたり割れたりすると、犬は痛みを感じるはずであり、出血することもあります。
予防法ツメを適切な長さにキープし環境を整える

ツメは、ドアに挟んだり側溝に引っかけることで折れたり割れたりする外傷的トラブルが多くあります。
よれて隅が浮いたタイルマットや毛足の長いマットなど、犬が足やツメを引っかけやすいものがあれば、取り除いておくのがベターです。
もちろん、引っかかりにくいよう、ツメを適切な長さに整えておくのも大事です。
その際、地面につかない狼爪は伸びていることも多いため、必ずチェックしましょう。
トラブル④足裏を執拗になめる
肉球などに傷があることで、犬は執拗に足裏をなめることがあります。
また傷を保護するために履かせた靴や靴下などがかえって気になってしまい、口ではずしては足裏をなめて…と余計に執着を高めてしまうこともあります。装具を着けるか否かは、個々のようすをしっかり見ながら決めていきましょう。
また、なめる行為はストレスや退屈などからくる癖(繰り返し行動)でもあり、肉球をなめると傷の悪化や感染を引き起こすことがあります。
予防法個々に合った方法で執着をなくす

足裏に傷などがある場合、軽症であれば痛くないようソックスなどで保護したり、エリザベスカラーなどをつけたりすることで、なめるのを防ぐ方法があります。
また執拗になめる行為は脳が関係していることもあるので、十分な運動や遊びを毎日しっかり取り入れ、犬を退屈させない暮らしを心がけることも大切です。
留守番や雨などで散歩に出られないような時は、知育玩具など頭や嗅覚を使った遊びを取り入れてあげましょう。
十分に対策をしてもなめるのをやめない時は、病院に相談しましょう。
出典:『RETRIEVER』Vol.109/「足先のすべて〜奥深い肉球とツメの世界〜」
*1 監修: 永田雅彦。 ながたまさひこ。獣医師。日本獣医皮膚科学会、アジア獣医皮膚科学会、アジア獣医皮膚科専門医協会の設立理事。一般社団法事日本獣医皮膚科学会会長。1994年『どうぶつ皮膚病センター』、1997年動物専門医療を提供する『ASC』設立。2011年より『どうぶつの総合病院』で皮膚科部長、院長を経て、2021年に退職し、現在は地域中核の病院づくりとして皮膚科を軸とした専門医療支援、また合同会社sasaeの代表として全国のクリニック診療をサポートする、視聴する実用書ASCKの運営に取り組んでいる。