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2025.03.13

【ペット栄養管理士で管理栄養士が解説】MCTオイルでシニア犬の健康サポート!認知機能改善・エネルギー補給に効果的な使い方

【ペット栄養管理士で管理栄養士が解説】MCTオイルでシニア犬の健康サポート!認知機能改善・エネルギー補給に効果的な使い方

シニア犬の健康維持にMCTオイルが注目される理由をご存じですか?
高齢になると、認知機能の低下や代謝の衰えが見られることがあります。
本記事では、シニア犬の健康をサポートするために、MCTオイルの効果的な使い方を詳しく解説します。

MCTオイルとは?シニア犬の健康維持に役立つ?

MCTオイルとは、中鎖脂肪酸を主成分に構成されるオイルです。
体脂肪として蓄積されにくく、即効性があるため、シニア犬の健康維持に役立つと注目されています。


MCTオイル(中鎖脂肪酸)の基本情報

MCTオイルとは、ココナッツやパームの種子など、ヤシ科の植物に含まれる天然成分である中鎖脂肪酸を主成分として作られたオイルです。

中鎖脂肪酸の特徴は、次のとおりです。
✓ 消化・吸収が速い(長鎖脂肪酸の約4倍)
✓ 体脂肪として蓄積されにくい
✓ すぐにエネルギーとして利用可能

エネルギーとして使用されやすく、体脂肪にもなりにくいため、ダイエットにもよいと注目されています。

シニア犬に起こりやすい体の変化に有効

シニア犬は、加齢にともないさまざまな体の変化が起こります。
飼い主の声掛けへの反応が鈍くなる、ぼんやりすることが増えるなどの認知機能の低下も見受けられるようになります。
また、筋肉量が減少し代謝が低下したり、消化機能の衰えから食事量が減ったりすることもあります。

これらの問題を解決するために、中鎖脂肪酸で構成されるMCTオイルがシニア犬によいのではないかと注目されています。

シニア犬にMCTオイルがおすすめの主な理由

MCTオイルは、認知機能の改善やエネルギー補給、代謝をサポートの役割があるため、シニア犬におすすめです。
それぞれ効果について詳しく解説します。

認知機能の改善に期待

MCTオイルは、ケトン体エネルギーを生成し、脳の働きを助けます。
加齢により糖がエネルギーとして利用しにくくなると、脳機能が低下することがあります。

とくに、アルツハイマー型認知症と同様の症状が見られる犬では、糖の代謝が悪くなるエネルギー不足が、認知機能低下の要因です。
MCTオイルの摂取によりケトン体が生成されると、糖の代わりにエネルギー源として活用され、脳の神経細胞の働きを活性化させる効果が期待できます。

また、MCTオイルは抗酸化作用を持つため、神経細胞の酸化ストレスを軽減し、認知機能の維持や改善が期待できます。


すばやくエネルギー補給

MCTオイルは、消化吸収が早く、少量で効率的にエネルギーを補給できます。
加齢に伴い、食事からのカロリー摂取が不足しがちなシニア犬でも、MCTオイルを活用することで効率よくエネルギーを補えます。

また、運動量が減ることで筋肉量の減少が進みやすいシニア犬にとって、適度なエネルギー摂取は筋力の維持にも重要です。
とくに、寒い時期や体力消耗が激しい犬には、手軽にエネルギー補給ができるMCTオイルが適しているでしょう。


代謝をサポート

MCTオイルは脂肪を効率よくエネルギーに変換するため、代謝が低下したシニア犬の健康維持に役立ちます。

加齢とともに基礎代謝が低下し、脂肪が蓄積しやすくなるため、肥満が問題となることもあります。
MCTオイルは、長鎖脂肪酸とは異なり、肝臓で直接代謝されてすぐにエネルギーとして利用されるため、脂肪が体内に蓄積しにくいのが特徴です。

適量を継続的に摂ることで、脂質をエネルギーとして利用しやすい体づくりをサポートして、健康的な体型維持にも貢献します。

シニア犬へのMCTオイルの適切な与え方

シニア犬へのMCTオイルの適切な与え方を解説します。与える際は適量を守り、犬の体調をよく観察しましょう。


摂取量の目安

MCTオイルの摂取量の目安は、犬の体重に応じて少しずつ調整します。
一般に以下の目安量が多いです。

✓ 小型犬(5kg以下):小さじ1/2~1杯(約2~5ml)/日
✓ 中型犬(5~15kg):小さじ1~2杯(約5~10ml)/日
✓ 大型犬(15kg以上):小さじ2~(約10~15ml)/日

※計算方法:人の場合、50kgで大さじ1以下(15ml)が目安量(なお、商品により表示される目安量は異なります)

最初は少量から始め、犬の様子を見ながら徐々に増やしていきましょう。多ければよいというわけではなく、取り過ぎると軟便になることもあります。

おすすめの摂取方法

MCTオイルはさまざまな方法で摂取できます。

✓ ドライフードやウェットフードにかける
✓ 手作りごはんに混ぜる
✓ 犬用ミルクやスープに加える
✓ おやつ(手作りクッキーなど)に活用する

普段の食事にプラスするイメージで活用するのがいいと思います。

与える際の注意点

MCTオイルを初めて与える際は、犬の体が慣れるように少量から始め、様子を見ながら徐々に増やしていきましょう。
下痢や嘔吐など体に合わないような異変が見られた場合は、使用を中止してください。
また、生後半年未満の子犬や、妊娠中・授乳中の犬には控えた方がよいとされています。
成長や母体の健康維持に特別な脂肪が必要なため、MCTオイルの摂取は慎重に行うべきです。

さらに、肝疾患や膵炎を持つ犬には適さない場合があるため、持病がある場合は事前に獣医と相談するとよいでしょう。

まとめ

MCTオイルは、シニア犬の健康維持に役立つ優れたオイルです。
認知機能の改善、エネルギー補給、代謝サポートといった効果が期待できるため、適量を守りながら継続的に与えることが大切です。
犬の体調を見ながら、MCTオイルを活用して健康をサポートしましょう。

ペット栄養管理士・管理栄養士:村瀬由真

*1 4年制大学の管理栄養学科を卒業。食事と栄養の知識を活用し、動物病院や給食委託会社での勤務を経験。現在はチワワや猫たちと一緒に暮らす