• コラム

2025.03.03

冬の快調・不調の分かれ道《RETRIEVER + POCHI archive009》

冬の快調・不調の分かれ道《RETRIEVER + POCHI archive009》

イラスト=macco
構成・文=RETRIEVER編集部

「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)

冬ならではの要因がトラブルを助長

犬にとって冬場は過ごしやすいシーズンです。北海道や東北地方などの寒冷地域は寒いですが、特に疾患などをもっていない場合は、比較的快適に過ごすことができます。
ただ、冬場は空気の乾燥や屋内外の寒暖差、運動不足などの外的要因により、不調を招くケースがあり注意が必要です。
さらに、シニア期に差しかかると、加齢から免疫力が低下している上に、寒さから体調も崩しやすくなります。
外的要因が加われば…トラブルも起こりやすくなります。この時期注意が必要な症状を頭に入れて、寒い季節を健やかに乗り越えましょう。

西洋医学的 冬の注意点

押さえるべきはこの3つ!
冬場は、特に疾患がなければ、シニア期のレトリーバーも快適に過ごせます。ただし、運動不足や空気の乾燥などが原因でトラブルを招くことも。「寒暖差」「運動不足」「乾燥」の三つのキーワードから、注意点を理解しておきましょう。

ココに注意!寒暖差心臓への負担

急激な室温の変化から、血圧や脈拍が急変する “ヒートショック”と呼ばれる症状が人間にあるように、シニア期の犬にも室内の寒暖差に注意が必要です。
心臓にトラブルを抱えている場合は、発作を引き起こす可能性があります。
寒い部屋への移動を極力避けたり、厚手のカーテンなどを利用して室内温を一定に保ち、散歩前に屋内でウォーミングアップを行うなど、寒暖差の影響をなるべく減らす工夫をしましょう。

肥満&関節炎ココに注意!運動不足

夏場に比べ、過ごしやすい冬場は食欲が落ちることはあまりせん。
今日は「寒いから散歩は控えめにしよう」と飼い主の都合で運動量を減らしてしまうと、エネルギー過剰から肥満になってしまいます。
肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の引き金になるだけでなく、寿命を縮める原因にもなりかねません。
犬の負担にならない程度の運動を意識して、散歩に出られない日は室内でできる遊びを取り入れましょう。

また、シニア犬は一週間散歩を怠るだけで、筋力が低下するといわれています。筋肉が弱まると立ち上がることができなくなることも。関節にかかる負担も大きくなり、関節炎の原因にもなります。
さらに、気温の低下から血行が悪くなると、関節の痛みから動く意欲も低下し、ますます筋肉量の低下を招くので、日々の運動を意識しましょう。

ココに注意!乾燥皮膚トラブル&呼吸器系の病気&さまざまな感染症

シニア期の犬の場合、免疫力が加齢により落ちている上に、乾燥によっても低下します。
そのため呼吸器をはじめとする感染症に罹患するリスクが高まります。鼻やノド、気管の粘膜が適度に潤っていれば、病原体の侵入を防いでくれます。
しかし乾燥状態で粘膜のバリア機能が低下すると、感染しやすくなってしまいます。
ジステンパーやケンネルコフなどの呼吸器感染症に感染すると、激しい咳を伴い、気管支や肺に影響を及ぼします。ワクチンなどで防げることが多いので、定期的な予防を心がけましょう。

また、人間と同様に犬も乾燥肌になりやすくなります。
乾燥は被毛のパサつきや皮膚のカサつき、フケなどの原因にもなります。乾燥肌が悪化すると、外部の刺激に反応してかゆくなることもあり、 かきむしったり、なめたりと、皮膚トラブルにつながるケースも。 静電気で被毛にホコリが付着することで皮膚疾患を発症することもあります。
乾燥を防ぐために、人間と同じようにスキンケアを日常に取り入れ、加湿器も上手に利用しましょう。

出典:『RETRIEVER』Vol.110/「運動不足」「乾燥」「寒暖差」が冬の快調・不調の分かれ道

*1 監修=小林豊和 こばやしとよかず。『グラース動物病院』統括院長。帝京科学大学元教授。日本大学大学院獣医学研究科博士課程修了。1993 年10 月に『グラース動物病院』を設立。動物に負担が少ない腹腔鏡手術など、新たな分野に挑戦。人と動物のよりよい共存をサポートしている。著書に『犬の看取りガイド』(エクスナレッジ)他、多数。