- コラム
2025.03.17
犬との暮らしがもっと楽しくなる 子犬の迎え方《RETRIEVER + POCHI archive011》

イラスト=macco
カメラマン=小澤義人
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
犬と共存するために理解しておきたい大事なこと

+犬が欲する行動とは?
犬が欲する行動とは、犬の本能を満たす行動といい換えられます。
犬と人間の関係は約4万年前に始まったとされますが、人間が介入しない自然環境下では、多くの能力と時間を捕食に費やしていました。
目の前に何かがあれば口に入れて確認したり噛みつき、引きちぎったりするのは自然な行為です。
人間と暮らす犬にも当然こうした行動は見られるので叱るのはNG、本能的な行動ができる環境づくりをすることが大切です。
✓ 調査する(歩き回る、ニオイを嗅ぐ、掘る)
✓ 待つ(伏せ、注意深く見る)
✓ 追いかける(走る、飛び乗る、飛びおりる)
✓ 捕まえる(前足で抑える、前足で引っかく、噛みつく)
✓ 引きちぎる
✓ 運ぶ
✓ 食べる(咀嚼・飲み込む)
+犬にとっての幸せとは?
動物にとって幸せとは何でしょうか? それは健康であるということだと思います。
だだ、注意したいのが身体的な健康だけではありません。本能が満たされていない状況では、精神的、行動的健康を満たすことはできないからです。
そこで大事になるのが、環境づくりに加えて、人間社会に適応するためのトレーニングです。
人間社会では、野生の状態では起こり得ない、不自然な行動を求められることが多くあります。そのため、トレーニングを行うことでケアをしないと、ストレスの要因になってしまうのです。
→ 幸せな動物 = 健康な動物
・身体的健康 ・行動的健康 ・精神的健康
+犬の幸せに導くトレーニングとは?
社会化とは、後天的な学習によって新しい環境に順応することを指します。 犬では、社会化期の開始時期は3週齢で、主要な社会化期は7〜12(もしくは16)週齢。生まれてから7週齢までは犬同士、8週齢以降は、飼い主となる人間とトレーニングを通して人とのかかわり方を学びます。家にすでにあるものは社会化の数には入らないので、子犬を迎えたらすべての新しい出会い・待遇・接触を社会化の機会と捉え、たくさん“いい”経験をさせてあげましょう。
→ いい経験をたくさんつくることがよき犬生の土台

[いい経験づくりの例]
✓ 動物病院への訪問をハッピーなものにする
✓ 爪切りを楽しいゲームとして覚えさせる
✓ 車にのる時は、怖いところへ行く回数よりも楽しいところへ行く回数をずっと多くする
犬が欲する行動に基づいた快適な環境づくり

自由に動けるスペースを確保!サークル
子犬をいきなりフリーで離すのはNGです。家にあるあらゆるものに噛みついてしまうため、子犬が誤飲する危険につながります。
サークルはある程度の高さと広さがあるものを選び、その中には噛んでいいものだけを置くことで、本能を満たせる選択肢を用意してあげましょう。
カラダの大きさに合わせて選びたい!トイレ
子犬の時のカラダの大きさで選んでしまうと、 成長していく過程でトイレからカラダがはみ出してしまいます。
成犬になった時にカラダがはみ出さないサイズを、最初から準備しておくことが必要です。
添加物は要注意!フード
トレーニングや、活用するオモチャの種類で分けて使えるよう、さまざまな形状のフードを用意しましょう。一日の摂取量を把握するのも重要です。
選ぶ基準は、原材料表示の最初 (先頭から配合量が多い)に、動物性タンパク質(コーンや小麦、白米などの植物性ではない)などの主たる原料が書いてあるものが理想的です。
肌あたりのいいものをハーネス&リード
散歩に欠かせないハーネスとリード。どんな動物も首に何か締めつけがあるのは不快です。
安全で装着しやすく、肌あたりのいいベストタイプのハーネスを用意しましょう。
リードは飼い主の手になじみ、長さ120cmを目安に、重すぎず扱いやすいものを選びましょう。
犬の巣穴を再現するクレート
プライベート空間になり得るクレートは、犬にとって安心できるスペースの選択肢の一つです。
ソフトタイプは折り畳みができ、持ち運びに便利で、ハードタイプは頑丈なので長時間の移動でも安心です。
目的や季節に合わせて使い分けましょう。
安心できる快適な場所ベッド
居心地のいいプライベートスペースの選択肢であるペッドも、環境づくりに必須です。
持ち運びも簡単な上、トレーニング時のブラットホームとして使用しやすいです。
季節によって素材も適切なものを選びましょう。
ポイントはバリエーションオモチャ
オモチャは必須アイテム。
噛めるチューイング系のオモチャだけでなく、嗅覚を刺数するスニッフィングマット、舌を使えるリッキーマット、カラダだけではなく頭も使えるコングをはじめとした知育玩具など、犬の本能を満たせる多種多様なオモチャを用意して、退屈しない環境をつくりましょう。
出典:『RETRIEVER』Vol.107/レトリーバーとの暮らしがもっと楽しくなる! 子犬の迎え方
*1 監修=中井真澄 なかいますみ。モダン&エシカル ・アニマルトレーナー。ドッグト レーナー。行動コンサルタント・訪問レッスン『Waggy Smile』 主宰。ペットマッサージセラピス ト。ホリスティックケア・カウン セラー。海外の最新情報を取り入 れ、動物行動学など科学的知見を ベースにしたトレーニングを行う。