- コラム
2025.10.29
【#犬とお出かけ】ドッグランを快適に&安心して楽しむ方法
楽しい犬とのお出かけ。でも、犬を連れて入っていいのはどこまで?犬を連れているときのマナーって?という部分は気になるポイント。ドッグフレンドリーな環境で犬と一緒に楽しめるスポットや犬を連れての出先でのエチケットなどについて、写真とともにリポート・解説します。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報ドッグラン
うちの子をノーリードで自由に走り回らせてあげられるのが、ドッグランの大きなメリット。多くの犬や飼い主さんが訪れるドッグランを快適に利用できるポイントを心得ておけば、どんなドッグランでもさらに楽しく過ごせるはずです!
ドッグランとは?
今や日本全国にあり、一部のサービスエリアや道の駅にも設置されているドッグラン。その発祥は、約40年ほど前のニューヨークだったと言われています。高層ビルが建ち並び人口が密集している大都市では、犬をノーリードで遊ばせることはできません。そこで、愛犬家が多いニューヨークで、リードをつけずに犬を自由にできる犬専用の遊び場として、公園の一角などにドッグランが設けられたのです。
ニューヨークのマンハッタン中心部のドッグランの様子 ©Kyone Usui
筆者もニューヨークを訪れた際、現地在住の友人のチワワと一緒にドッグランを訪れました。
そこで気づいた日本との違いは、おやつをドッグランで出す飼い主さんがいないこと。
「アメリカは訴訟大国だからね。おやつがあると犬同士の奪い合いが起こる可能性があるから、咬傷事故を防止するためにみんなとても気を遣っていて、私もドッグランではうちの子にもおやつをあげないようにしてる」と、友人。
同様に、混雑していたり、性格をよく知っているなじみの犬がいない場合は、おもちゃの使用にも気をつけているそうです。
ドッグランでのボール遊びはケンカが起こりそうにないメンバーのときや、ほかの犬がいないときがベスト
実は筆者も15年ほど前、ドッグランで当時のうちの子(ノーリッチ・テリア)とボール遊びをしていたところ、同時に取りに行った犬同士でガウガウとケンカになってしまい、うちの子が耳から流血したこともありました。たいしたケガではなかったのでその場も丸く収まりましたが、ドッグランでのおもちゃの取り合いによるケンカや事故なども起こりやすいトラブルのひとつ。
おやつとおもちゃの取り扱いには十分に注意しようと、筆者が肝に銘じたのは言うまでもありません。
ドッグラン、うちの子好きそう?
ドッグラン、うちの子は楽しんでいますか?
あるいは初めてのドッグランを前に、しっぽとテンションが下がることなくウキウキしているように見えますか?
すでに散歩や近隣のドッグランでよく会う“犬友”がいる場合は、ドッグランが近づくと速足になったりと、うちの子が喜ぶ様子が見られることでしょう。
けれども、道の駅やSA併設のドッグランだと初対面の犬ばかりで、ふたんとは違って緊張するかもしれません。ドッグランの中から大勢の犬に吠えられるなどしてしっぽが下がっていたら、ドッグランの近くでとっておきのおやつをあげてみてください。それを食べる心の余裕があり、だんだんしっぽが上がってきたら入ってみるのも良いでしょう。
フードなどを食べられないほど緊張しているなら、中に入らず散歩をするほうが、うちの子にとって最良のチョイスと言えます。
うちの子の行動をよく観察して、ほかの犬とのあいさつなどを強要することなく、犬の気持ちを尊重しながらドッグランで過ごしましょう ©Kyone Usui
また、初めてのドッグランに入ったら、最初はリードをつけたまま飼い主さんが横について歩き、その場に慣れさせてあげれば安心です。ただ、リードがついた状態は、犬が危機に面したときに最初に取りたい行動である“逃げる”選択が物理的にできません。その結果、ほかの犬に近寄られると吠えたり咬んだりと、攻撃行動によって追い払う選択肢しかなくなり、危険な状況が生じやすいのも事実。
リードをつけてドッグラン内の安全をうちの子と確かめる際は、うちの子の気持ちの余裕が生まれやすいようにリードをゆるめて歩いたり、ほかの犬とあいさつをさせたりしましょう。
最近は、貸し切りができるドッグランも増えてきました。気の合う仲間犬同士で安心して遊べる、このような施設を利用するのもおすすめです。
ドッグランでの3大お困りごと解消法
筆者は東京都中央区で犬の幼稚園をかつて運営し、今でも、ドッグランで開催する東京都中央区の“犬のしつけ方教室”の講師も10年以上務めていますが、ドッグランでのお困りごととして飼い主さんがよく口にするのが、以下の3つです。
1. ほかの犬にマウンティングをしてしまう
2. ほかの犬に吠えてしまう
3. マーキングをする
まず、マウンティングに関してですが、マウンティングは性的な意味合いだけで犬が行うわけではありません。自分の優位性を示す行為のひとつでもあるので、オスでもメスでもドッグランでほかの犬にマウンティングをする可能性はあります。
もしマウンティングをしたら、落ち着いた低い声ではっきりと「ダメ」と伝えて、リードをうちの子につけて飼い主さんの足元に控えさせます。
筆者の犬(左)のパピー期はドッグランをよく利用しました。成犬になり少々ガウるテリア気質が出てきてからは、人のいない公園でロングリードで遊ぶように ©Kyone Usui
マウンティングや吠えなど、うちの子が興奮し始めた場合、飼い主さんの足元でしばらくクールダウンをさせて、落ち着いたら再び自由にしてあげるという方法を繰り返し試してみてください。それでも興奮が収まらない場合は、ドッグランに滞在し続けることがかえってうちの子やほかの犬のストレスになってしまうので、ドッグランから退場したほうが良いでしょう。
マーキングに関しては、日ごろからマーキング癖がある子の場合はマナーベルトなどを使えば、飼い主さんも気がラクになるはず。
実際のところ、たくさんの犬がいる場所では、犬たちも自分のにおいをあちこちにつけて安心できる場所にしたい気持ちもあるでしょう。とはいえ、衛生面でもあまり許容できる行動ではないので、最近はドッグランに入る前に人の迷惑にならないスポットで排泄をさせてしっかり水で洗い流してから入場する飼い主さんが多いようです。
走ったり寝転がったりして遊ぶので、衛生的に使えるように配慮を ©Ayako Hachisu
ドッグランを楽しい場所にする秘けつ
ドッグランでは、マナー良く快適に過ごすために、次の2つのトレーニングはマスターしておきたいものです。
1. 呼び戻し
帰ろうとしたときや、ほかの犬にしつこくしすぎるときなど、あらゆるシーンで呼び戻しは必要になります。
2. 待て
興奮や衝動的な行動を抑止するのに役立ちます。待てをさせることで、犬の気持ちを落ち着かせることができます。
犬同士の友だちができれば、楽しさがさらにアップすることでしょう
ドッグランにたくさんの犬がいる場合に犬が緊張するかどうかは、飼い主さんの態度によると言っても過言ではありません。
オーストラリアのメルボルンのモナシュ大学の研究によると、飼い主と飼い犬の心拍は同期することがわかっています。飼い主さんがリラックスしていれば、犬たちも安心しやすいのです。
それを知ると、ドッグランで飼い主さんが笑顔で楽しそうにしていることも、とても大切であると言えるでしょう。ドッグランを利用する際は、飼い主さんの笑顔を見てうちの子がうれしくなり、その様子を見て飼い主さんもうれしくなる……。そんなポジティブな雰囲気が生まれるよう心がければ、犬も思う存分羽を伸ばして自由に楽しく過ごせるに違いありません。
■ 文・取材:臼井京音
ドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。



