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2019.05.22
犬の社会化とは?子犬の社会化期のトレーニングや過ごし方
子犬を飼っている方、飼おうと考えている方は、子犬の社会化期をご存じでしょうか?犬と暮らしている方にとっては当たり前のことですが、子犬たちの成長段階において"社会化期"は、犬たち同士で上手に遊んだりコミュニケーションをとったりする力を身に付けるのに大切な時期。この社会化期をどのように過ごすかによって、その後の子犬の生活は大きく変わる、なんていわれたりもしていますが、そこはやっぱり子犬の性格によって千差万別。だからこそ、犬たちと暮らす方の悩みのタネにもなったりしますよね。そこで今回は、子犬の社会化期の注意点についてご紹介します。
子犬の社会化期とは?
子犬の社会化期とは、犬があらゆるものに対して柔軟かつ、適切に対応する適応力と社会性を身につける重要な時期です。社会化期の時期に関しては個体差がありますが、生後3~12週齢頃が社会化期といわれています。
子犬のときの社会化期を過ぎてしまっても、適応力と社会性が身につかないというわけではありませんので、安心してください。中には12週齢以降は警戒心や自我が強くなる時期だと紹介している文献もありますが、子犬たちの成長スピードも異なりますし、もともとの性格や生育環境などの要因から犬たちの行動や性格は形成されていきます。ドッグトレーナーは、犬が社会化する時期に適切なトレーニングをするのが最適、と言っていることが多いです。
子犬の時期には、初めて見る人やものに興味を示しやすく、この時に「楽しい」「幸せ」などの気持ちを多く経験することで、それ以降もさまざまなものに物怖じしにくくなるといわれています。でも、中にはやっぱり他の犬や人におびえてしまったり、犬同士のコミュニケーションが苦手な犬ももちろんいます。こういった様子を見せる子犬の場合は、内気な性格も(どんな犬ともすぐに仲良くなれる性格と同じように)個性の一つと捉えて、気長に見守ってあげたり、飼い主さん自身が遊び相手になってさまざまな遊びを一緒に経験してあげてください。
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犬との暮らしのベテランポチスタッフ
犬たちが困った行動をした時、ついつい「社会化期」に十分に社会性を身に付けてあげられなかったからだ、と飼い主である自分を責めてしまいたくなりますが、犬たちはずっと成長と学習を続けていくとても賢い動物です。
幼い頃にさまざまな経験をさせてあげられなかったのであれば、大きくなってからその分たくさんの経験をさせてあげてください。時期に関係なく、犬たちが「幸せだった」「楽しかった」と感じてくれるような時間をたくさん一緒に作っていくことが、私たち飼い主ができる一番の「犬育て」になるような気がします。
子犬の社会化期の重要性
社会化期の子犬は、母親や兄弟犬から多くのことを学びます。
相手を傷つけずにかむ力加減や服従のサイン、相手が嫌がっているのに遊びを続けないなど、犬社会のルールの基本はこの時期に身に付けることが多いようです。
しかし、あまりに幼いうちに母犬や兄弟犬と引き離された子犬は、このルールを学習しないで育つことがしばしばあります。そのため、犬同士のコミュニケーションが苦手で、どう自分の感情を表現したら良いか戸惑ってしまい、他の犬に対して攻撃的になったり、脅えたりするようになることも。
一人っ子の犬や社会化期にこういった「犬同士のマナー」を学ぶ機会がなかった犬たちでも、お散歩中にであったお友達とのコミュニケーションやドッグランでの先輩犬たちに色々と教えてもらう機会もあるはずです。
最初は上手く他の犬たちと馴染めなくても、やがて上手に遊べるようになることもありますので、神経質になりすぎず、大らかに構えて成長を見守りつつ社会性を身に付けていけたら良いですね。
子犬の社会化期のトレーニングや過ごし方
それでは、子犬の社会化期のトレーニング、しつけや過ごし方はどのように行えば良いのでしょうか。
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さまざまなものに慣れさせる
子犬の時期はなるべく多くの犬や人、環境やものに慣れさせると、この時期に接したり、遊んでもらったりした相手には、一生を通じて親しみを抱きやすくなるといわれています。
人とのコミュニケーションにおいても、大人や子ども、老人などさまざまな年齢層の方や多種多様な外見の方に会わせることで、散歩などをした際に怖がりにくくなります。とはいっても、初対面の相手であることには変わりありませんから、その点は理解してあげましょう。また、お散歩ルートなど将来子犬が接触する可能性がある環境やものには積極的に慣らすと後々役に立つかもしれません。
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ポチのベテラン飼主からひと言
犬たちが大きくなってからも、子犬の頃にあげたオモチャやタオルがずっとお気に入りで手放さない……なんてこともあるあるです。
また、我が家の犬の場合は小さい子どもが苦手です。これは子どもたちと触れ合わせた時に、しつこく遊び相手にさせられて、少しうんざりしてしまったことが原因なのかも……?とはいっても、攻撃をしたりするわけではなく、そろーっと身を隠したりする程度なのですが。
犬たちが人好きに育ってくれるのは嬉しいですが、小さい子どもやお年寄り相手に駆け寄って行ってしまったり、興奮しすぎて道路を飛び出してしまうようではいけませんし、きちんと犬たちにとっても、人間にとっても適度な距離感を教えるのは難しいことですね。
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ワクチン接種が済んでいない場合は抱っこ散歩
免疫がしっかり確立させられていない子犬を、地面に下したり、他の犬と接触させたりすると感染症にかかる恐れがあります。そのためワクチンが済んでいない場合は、抱っこ散歩をして、さまざまな音や匂いなどを経験させましょう。また、自宅に人を呼んで家族以外に慣れさせることも大切です。初年度のワクチンプログラム終了後ならばパピーパーティなどに参加してみるのも社会化トレーニングの一環として良いかもしれません。
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かみつく力の調整を行う
社会化期の子犬のトレーニングとして大切なことが、かみつく力の調整です。子犬は母犬や兄弟犬と共に過ごすことでかみつく力を調節することを覚えます。しかし、母犬や兄弟犬と離れて暮らすと、その調節ができずに成長し、遊びのつもりで強く噛んでしまい、他の犬と仲良くできないこともあります。噛んで良いものと悪いものを飼い主がしっかり教えましょう。
おわりに
子犬の社会化期に多くのことを経験させることは、犬の将来のためにとても重要なことです。しかし、焦って無理をさせるとかえって子犬のトラウマのなる可能性もあります。犬のペースに合わせて、少しずつさまざまなことを経験し、生活に必要な適応力や社会性を身につけさせていきましょう。
私たち一人ひとりが居心地の良いと感じる環境が違うように、犬たちもそれぞれ好きなことや嫌いなことがあります。たくさんの犬たちと一緒に仲良くはしゃぐことが好きな犬もいれば、飼い主さんと一緒にのんびり過ごすことが好きな犬や一人遊びに没頭することが好きな犬も。お出かけをしたりすると、よその犬が上手にお友達を作ったり、お行儀良く過ごしていたりするのを見て、つい比べてしまうこともありますが、それは犬の個性です。これから暮らす犬と一緒に過ごす時間は、自分たちだけが持ってるスペシャルな時間。きっと大切なものになるはずです。