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2020.02.25

聖徳太子とお話できた犬、雪丸の不思議なエピソード。[#selfishな歴史犬聞録]


人類の最良の友、なんて呼ばれることも多い犬たち。犬の存在が私たち人間の暮らしを発展させる助けになるなど、私たち人間の歴史のそばには、いつも犬たちの存在があり、犬たちのそばには人間の歴史がありました。

本日はそんな私たち人間と犬の歴史の中から、日本史の登場人物と犬たちの関わりについてご紹介します。

聖徳太子とお話しできた犬?雪丸


皆さまおなじみ、聖徳太子も犬と暮らしていたことが知られています。聖徳太子と一緒に暮らしていた犬は名前も伝わっていて、雪丸(ゆきまる)という白い犬だったのだそうです。
この雪丸、とっても賢いだけではなく、なんと特別な力を持っていたのだそうで、聖徳太子と話をすることもできたのだといわれています。
聖徳太子と言えば、1度に10人(書物によっては36人)の人の話を正確に聞くことが出来た…という言い伝えもありますし、本当に雪丸と意思疎通できていた…かもしれませんよね。
さらに雪丸は、お経の内容も理解できたといわれていて、聖徳太子が勉強をしたり、あれこれ政治のことについて考えている間も寄り添い、一緒に過ごしていた時間が長かったといわれています。

さて、この雪丸は亡くなると達磨寺という奈良県にあるお寺に丁寧に埋葬されました。その後、達磨寺には雪丸の姿をかたどった像が作られたのですが、不思議なことにこの像が「いつ」「誰によって」作られたものなのかは不明なのだとか。
江戸時代の後期の書物には、雪丸の像の存在が書かれていることから、それ以前であることは分かるのですが、具体的なことは誰にもわからない、不思議な犬なのです。
もしかすると、寂しくなった雪丸がまた人間と触れ合いたくなって、こっそり戻ってきたのかもしれませんね。

この雪丸の像は元日に「ワンッ」と鳴くとその年は豊作になる、という言い伝えもあるそうです。

DOG's TALK

以前、落語の「元犬」という演目についてご紹介した時にも、日本人にとって白い犬は特別な力を持っていると信じられていた、ということをお話ししましたが、今回もやっぱり白い犬。聖徳太子自体も特別な力を持った人物として描写されることが多いのですが、そんな聖徳太子と一緒にいた犬のエピソードも興味深いですね。雪丸は、現在では奈良県の王子町のご当地キャラクターとしても活躍しているそうです。

飛鳥時代には犬たちのためのお寺も建てられた?

比較的最近のニュースなのですが、兵庫県で犬たちに関連するお寺の史跡が発見されました。2018年、兵庫県神河町という地域から発掘された瓦や土器、建物の痕跡が、どうやら「播磨犬寺(はりまのいぬでら)」と呼ばれる施設だったのではないか、といわれているのです。

その根拠となっているのが、鎌倉時代に書かれた仏教に関する歴史を記した書物、「元亨釈書(げんこうしゃくしょ)」です。この書物には、日本国内で仏教に関する重要な出来事が記録されているのですが、その中に「命を救ってくれた大切な家族である犬のために、寺を建てた人物がいる。その寺を播磨犬寺という」という記載があるのだそうです。

現在発掘調査が進められている最中ですが、このお寺についての研究が進めば、古代に人と一緒に過ごしていた犬たちの暮らしぶりや、飛鳥時代の犬のごはんについて新しい発見が見つかりそうです。

おわりに


飛鳥時代にも、犬たちと人間の絆のようなものは確かに存在していたようですね。とくに飛鳥時代は聖徳太子に代表されるような仏教の教えが広がりを見せた時期であり、犬も含めた生き物たちへの慈悲や愛情というものを、日本人はとくに美徳として認識していた時期なのかもしれません。ずっと近くにいた犬たちの純粋な飼い主を思う姿に、人々が「仏心(ほとけの心)」を感じた場面もあったのかもしれませんね。