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2020.07.09

夏の疲労回復にはビタミンB群が大切。でもビタミンの補酵素はご存じですか?

夏の疲労回復にはビタミンB群が大切。でもビタミンの補酵素はご存じですか?

犬の健康管理に役立つ栄養のグループの一つにビタミンがあります。抗酸化ビタミンとして知られるビタミンE、ビタミンCなどのほかにも、さまざまなビタミン類が存在していて、それぞれの形で犬や私たち人間の健康管理に役立てられています。

本日は、ビタミンという栄養素の定義とそんなビタミンの仲間の中でも、夏バテや疲労を感じているときに役立つビタミンB群の仲間の中から、「いたるところに存在している酸なのに、ちょっとマイナーなビタミン」パントテン酸と補酵素としての働きについてご紹介していきます。

パントテン酸ってどんな時に必要な栄養素なの?

パントテン酸は「酸」と名前がついていますが、ビタミン類の仲間です。パントテン酸が注目されるようになったきっかけは、酵母の成長を促す働きがあることが分かったためで、酵母はパンを発酵させたりする、うれしい働きをしてくれる微生物ですが、この酵母が順調に増えていく際にパントテン酸が必須なことから細胞の合成や健康的な成長に必須の栄養であると考えられるようになりました。

成長期や療養中の犬にとって、細胞の合成に関係するとても大切な役割を持っている栄養です。
また、パントテン酸は生命維持にかかわるエネルギーの代謝(例えば、脂質や糖質の代謝)にかかわる酵素の反応とも関係しています。パントテン酸のように酵素の反応に必須の栄養素を補酵素と呼びます。

細胞は常に生まれ変わって新しい細胞と入れ替わる新陳代謝が行われているので、パントテン酸が十分でない場合は新陳代謝がうまく行われず、毛ぶきが悪くなったり、皮膚のかゆみや皮膚炎が起きる場合もあります。
パントテン酸自体はさまざまな食品に含まれている栄養素で、バランスの良い食事をしていれば不足することはありません。

酵素と補酵素の関係について

普段から何気なく使っている酵素・補酵素という言葉について改めて整理してみたいと思います。

酵素というと思いつくものの中には、食べ物を消化する消化酵素や代謝に関係する代謝酵素などがあります。これらの酵素の正体は、細胞などと同じくタンパク質の一種です。この酵素にも本当にたくさんの種類があり、その中にはタンパク質単体で酵素として反応をすることができるものや、ほかの物質と結びついてはじめて本来の力を発揮するもの、特定の環境で活躍するものなどがあります。
酵素が上手く働くために必要となる物質のことを「補酵素=コエンザイム」と呼びます。(コエンザイムQ10も補酵素の名前なのです)

補酵素の多くは食事から摂取されたビタミンを、作り変えたり分解したりすることで作られます。酵素によって補酵素もそれぞれ異なるので、体内で起こる無数の酵素の働きをスムーズに進めるためには、さまざまな補酵素(=補酵素のもとになるビタミンなど)を摂取する必要があります

犬のパントテン酸の必須量は?

犬の総合栄養食の栄養基準を定めているAAFCOによると、ドッグフード1kgあたり12mg(乾物計算)のパントテン酸が必須量となっています。
ちなみに、ほかのビタミンと比較すると、チアミン(ビタミンB1)2.25mg、リボフラビン(ビタミンB2)5.2mgとなっているので、ほかのビタミンB群の仲間よりもパントテン酸の必須量は少し多いように感じます。それだけ多くの酵素の補酵素として活躍している栄養ということなのですね。

DOG's TALK

豆知識として、パントテン酸はビタミンB群ですが、B群にはニコチン酸(ナイアシン)と葉酸という「酸」が付くものがあと2つあります。パントテン酸の名前の由来は「どこにでもある」、という意味だそうですが、それだけに動物性、植物性問わずさまざまな細胞の合成に必要な栄養だということでもあります。
どこにでもある栄養ではありますが、やはりそれぞれの栄養には大切な役割があります。特定の栄養に偏ることなく、さまざまな栄養を上手く食事に取り入れながら健康管理に役立てていきたいですね。

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