- コラム
2021.01.18
ドイツの街角から ~ドイツの年末年始と縁起物~
*1 pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。
世界的な危機に振り回された2020年が終わり、新しい年が始まりました。そこで、新年初となる今回のコラムでは、ドイツの人々の大みそかと元日の過ごし方についてお話します。
日本で大みそかに付きものの食べ物と言えば、年越しそばを思い浮かべる方も多いと思います。ドイツでも大みそかに良く食べられているものはあります。「ベルリーナー」と呼ばれるジャム入りの揚げドーナツや、チーズ料理のフォンデュやラクレットなどです。ラクレットとは、熱い鉄板の上で溶かしたチーズにジャガイモなどをからめて食べる料理のこと。わが家の2020年最後の晩ごはんもラクレットでした。
晩ごはんに続く大みそかの楽しみは、真夜中のカウントダウンです。ドイツでは年が切り替わる午前0時前後に、人々が通りや公園など至るところで打ち上げ花火をすることが恒例で、夜空を数千、数万の花火が彩ります。花火と共に迎える新年はにぎやかで楽しいものの、犬たちにとっては決して心地よいものではありません。というのも、「ヒュー、ヒュー」「ドンドン」と四方八方から聞こえてくる花火の音が犬たちをおびえさせるからです。
ただし、昨年は大花火の販売や大人数での集まりが禁止されていたため、かなり静かな大みそかとなりました。花火はあちこちで打ち上げられましたが、例年よりも大幅に少なく、物足りないと感じた人はいたかもしれません。その一方で、犬たちは多少なりとも穏やかに新年を迎えられたのではないでしょうか。
一夜明けた元日はドイツでも休日ですが、日本のお正月といった華やかな雰囲気はありません。カウントダウンパーティーの疲れや二日酔いで、遅くまでベッドに入っている人も多いようです。それでも、日中になると街中や公園には散歩をする人々の姿が目立ちます。ドイツでは家族や友人などと散歩をしながら会話を楽しむことは余暇の過ごし方の1つであり、私たちもポチンスキーと散歩を満喫しました。
ところで、ドイツにも新年の“縁起物”はあります。マジパンで作ったブタ(冒頭の画像は、ショーウインドウに飾られたマジパンの豚です!)や、煙突掃除士を飾ったクローバーの鉢植え、ニューイヤープレッツェルと呼ばれる菓子パンなどです。どれも幸福や繁栄といった意味が込められており、大みそかから新年に向けて菓子店や花屋の店頭に並びます。幸せな1年になってほしい、そんな願いを抱く人々の心は万国共通なのでしょうね。
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ドイツはクリスマスの盛り上がりが良く知られていますが、新年を迎えた後にも日本とは違うさまざまな楽しみがあるのですね。煙突掃除夫の縁起物ひとつとっても、寒い中でもゆったりと過ごしたり、心地よく過ごしたいという願いを込められていて、地域の個性がよく出ているように思います。
今年は少しでも多くのひとびと、そして犬たちにとっても幸せで楽しい1年になるといいですね。