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2021.04.14
犬の爪切りの前に。改めて知りたい犬の爪の基礎知識
犬の基本的なお手入れのひとつでもある爪切り。定期的にトリミングサロンに通っている犬の場合、一緒に爪切りをしてもらっている子が多いと思います。
ただ、サロンでお手入れをしている犬であっても、爪の状態をチェックすることはとても大切です。しばらくサロンにいけていなかったりして、伸びすぎた爪は思わぬ事故のきっかけになってしまうこともあるので、犬の爪の状態を改めて確認してみてくださいね。
今回は犬の爪についての基礎知識と、爪切りの際に注意したいポイントをご紹介します。
犬の爪の基礎知識
犬の爪は片足に全部で何本あるかご存知でしょうか?
前足は5本、後ろ足では爪が生えている指は基本的には4本です。
前脚には肉球から少し離れた地面に接していない部分にも小さな爪がありますが、この爪は人間の手では親指にあたる位置だといわれていて、犬の進化の過程で役目を失い、徐々に退化して目立たなく小さくなっている途中だといわれています。
ただこの部分に生えている爪もどんどん伸びていきますので、定期的な爪切りが必要になります。
■犬の爪は散歩で削れるって本当?
野生の犬やその仲間は爪切りをしなくても健康的に過ごすことが出来ているので、犬の爪は散歩で自然に削れると紹介している情報もあるようですが、それは荒れた土地を何時間も駆けていた野生の犬たちの話。
私たち人間と一緒に暮らすようになった犬は、室内で過ごす時間も長くなりましたし、激しい運動をすることも減っています。散歩や運動によって十分に爪が削れることはなくなったため、定期的な爪切りが必要になっているのです。
また、病気や怪我などで散歩や運動をしなくなったシニア犬の場合は爪が分厚くなってしまい、爪切りが難しくなることがあります。
■犬の爪が伸びすぎてしまうとどうなるの?
犬は人間と違い、指先だけで体を支えるような骨格をしています。わたしたちが肉球と呼んでいる部分も骨格的には足の裏ではなく、指先なのです。人間と比較すると体を支える部分がとても狭く、点のような状態になっています。
爪が伸びてしまうと、爪が床に触れるようになり体を支えるバランスが崩れてしまい、しっかり地面に肉球が触れることが出来なくなります。フローリングなどでは踏ん張りがきかなくなってしまったり、滑ってしまうようになったり、歩行自体に無理が出てしまい関節などの負担になるケースもあります。
犬の爪切りのために知っておきたいこと
■狼爪について
犬と暮らしている方なら一度は聞いたことがある言葉として、狼爪というものがあります。この狼爪は主に前足の親指が退化したものといわれています。
生えている犬もいれば、生まれつき生えていない犬もいるなど、狼爪の有無には個体差があり、生えている場合はケガの防止のためや犬種のスタンダートに合わせるために生まれてすぐに切除されるケースも多いようです。中にはグレートピレニーズのように犬種のスタンダードとして狼爪が2本ある犬もいます。
大型犬では残されることが多い狼爪ですが、残っている場合はやはり定期的な爪切りが必要になります。伸びてしまうと自身の体を傷付けてしまうだけではなく、ほかの犬とじゃれている内にケガをさせてしまうこともあります。
■犬の爪の色と被毛の関係
犬の爪の色は被毛の色に対応する傾向があるとされ、白っぽい被毛の犬であれば爪の色も白から飴色、濃い色の被毛の犬は爪も黒褐色や黒などになるといわれています。
爪の色が濃いと困ってしまうのが家庭での爪切りの時。犬の爪には血管と神経が通っていて、その部分を誤ってカットしてしまうと当然犬は痛みを感じますし、出血することもあります。
爪の色が薄いのであれば、どこまで血管と神経が通っているのかを目視することができるかもしれませんが、切っていい場所は視覚的に判断が難しく、怖気づいてしまうという飼い主もいます。
そんな時には、人間用にも販売されているケア用電動やすりがオススメです。時間はかかりますが、犬の様子を見ながらケアできますし、痛みを感じにくいようになっています。
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家庭での爪切りをしている時に不慮の事故のような形で爪を深く切りすぎてしまい、出血してしまうケースがあります。犬がその場所を気にして繰り返し舐めたりかじったりするようになることもあります。
繰り返し舐めている内に指間炎を起こしたり、傷口から雑菌が入って炎症を起こしてしまう可能性もあります。
まとめ
今回は犬の爪の基礎知識と爪切りを自宅で行う際のポイントをご紹介しました。人間では何気ない爪切りですが、犬の体の一部であることは変わりありません。犬の体の構造や爪の仕組みを正しく知った上でケアを行っていきたいですね。
また、爪や足の裏から犬の運動量や爪の削れ具合から関節への負担などの情報をある程度知ることができる場合もあります。定期的な爪切りと合わせて肉球のマッサージなどのコミュニケーションも行い、犬の体の異変にいち早く気付けるようにしたいですね。