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2021.08.26

小食の犬が、少ない食事量で健康維持するためのヒント集。[#ペット栄養管理士]

小食の犬が、少ない食事量で健康維持するためのヒント集。[#ペット栄養管理士]

犬の食事に関するお悩みの中には、「食が細くて体重が増えず、心配です」というものもあります。
食欲がなく、心配になって病院を受診しても異常は見つからず、ますます困ってしまう方もいるようです。
犬の食が細く、ひ弱に感じてしまう時に、少ない量で充分に栄養を摂取させるためにできる工夫にはどんなものがあるのでしょうか。

今回は、食が細い犬にできる食事の工夫としてできるものをご紹介します。

個性として食が細い犬のチェックポイント

食が細い犬というのは一定数います。
食事にあまり興味を示さなかったり、給与量の目安通りの量を出しても残すことが多かったりして「もしかしてどこか悪いの?」と心配になり、動物病院を受診しても異常が見つからないということもあるようです。
 

【ほんとに小食?チェックポイント】

・主食となるドッグフード以外にオヤツを十分に食べているために、ごはんをあまり食べないというケースも考えられます。
その状態が続くと、美味しいオヤツばかりを食べたがり、主食となるドッグフードに興味を持たない「わがまま」な状態が普通になってしまうことがあります。オヤツを多く与えていると、偏った栄養で体づくりに影響を与えたり、肥満になるリスクが高くなります。

・以前はよく食べていたのに急に食欲が落ち始めたという場合は、暑さなどの気温の影響などが考えられます。(犬は一般的に寒い時期には食欲が増し、暑くなってくると食欲が低下します)

・子犬から成犬にかけての時期も、成長期が終わった頃に食欲が落ち着くことが多いので、急に食が細くなったと感じることがあるようです。

・子犬の頃から小食、食が細いという個性があります。
人間でもたくさん食べられる人がいる一方で、小食の人もいます。犬は基本的に食べるのが大好きなものですが、一度にたくさんご飯を食べるのが苦手な犬もいます。

 
犬が小食なのか、そのほかの原因でドッグフードにあまり興味を持たなくなっているのかを注意深く観察することが大切です。ドッグフードをあまり積極的に食べたがらない、と感じたら、オヤツも含めた1日に食べさせている食事の量全体が多すぎていないかをチェックしてみるのがオススメです。それでも、犬の小食が疑われる時には、食事の与え方の工夫でしっかりと栄養を摂取させることが大切です。

食が細い犬へのオススメ 対策


ドッグフードの食いつきが悪いと感じた時、まずは以下をチェックしてみましょう。


・動物病院で診察を受けて異常が見つかっていないか
・オヤツを与えすぎていないか
・暑い時期ではないか
・成長期が終わったタイミングではないか


これらの項目に当てはまらない場合は、犬の体質的な理由によってあまり量を食べられない可能性があります。

犬の食事の量が少ないのであれば、「少ない量でしっかり栄養を摂取させる」ことを意識するのがポイントになります。
犬の体重管理、というとどうしても痩せさせることをイメージする方が多いのですが、健康的な体重を維持することも、体重を減らすのと同じくらい大切です。低体重の犬は体力も少なく、怪我や病気のリスクが高くなります。
「うちの子って痩せすぎ?」と気になった飼い主さんのために、少ない量でも十分な栄養を食事から摂取させるためにできる工夫をご紹介します。

 

■カロリーが高い(エネルギー密度が高い)フードを選ぶ

犬が量を食べないなら、カロリーが高いドッグフードを選んでみてはいかがでしょうか。
ドッグフードには、カロリーが表示されていますので、それを参照してドッグフードを選ぶのも一つの方法です。

カロリーが高いフードであれば、給与量の目安も当然量が少なくなります。
総合栄養食タイプのドッグフードであれば、犬が必要とする栄養素をすべて含んでいます。

 

■ミルク・トッピングなどのサポートアイテムを活用する

食が細い犬の栄養補給の手段として、犬用ミルクを活用するのもオススメです。
子犬などの成長をサポートするために活用されることが多い犬用ミルクですが、小食の犬のために活用することもできます。
ミルクをオヤツ代わりに与えたり、ドッグフードをミルクに入れてふやかして与えるなどの使い方もできます。
ミルクの分だけカロリーや栄養が上乗せされるだけではなく、嗜好性を上げる効果も期待できます。

ドライフードを与えているのであれば、ウェットフードやおかずレトルトをトッピングするのも効果的です。
あまり量を食べられない犬には、総合栄養食タイプのウェットフードのトッピングが、食欲を刺激してくれるだけではなく、栄養を補う意味でもオススメです。

 

■食事の回数を増やしてみる、オヤツタイプでカロリー摂取

オヤツの時間を栄養補給に活用するのもオススメの方法です。
犬が毎日楽しみにしているオヤツの時間に栄養たっぷりのオヤツタイプで総合栄養食のドッグフードを与えてみてはいかがでしょうか。ジャーキータイプのまるでオヤツのようなフードがあり、立派な食事の一部になりますから、食事の回数を増やすことに繋がります。

それでもなかなか体重が増えない、というのであれば、さらにもう1回食事やおやつの時間を増やしてみる、といったように日々調整を行ってみてください。

■運動量を増やす

小食の犬は運動不足になっている可能性もあります。細くて小柄な犬では「運動不足」を実感しないかもしれませんが、運動量が十分ではないためにお腹が減らず食が細くなっていることもあります。小型犬の場合、運動量は少なくて良いといわれることも多いですが、運動不足から四肢の筋力が低下しないよう、適度な運動は必要です。


家で過ごす時は寝てばかり、散歩を嫌がる、散歩に出てもすぐに家に帰りたがるなどの傾向はないでしょうか。
この場合は、犬も飼い主も無理なく続けられる程度に散歩の時間を長くしたり、遊びを取り入れて運動量を増やすことで空腹を感じるようになり、自分から食べるようになることもあるようです。
筋肉量が増えれば代謝も上がり、より健康的な体づくりにもつながります。老犬では、運動機能を維持するためにある程度の筋肉量を維持することが健康的なシニア犬ライフを続ける上では非常に重要になります。

宝探しゲームのように食事を隠したり、知育玩具にオヤツを入れてみることも刺激になりますし、犬のストレス解消にもなりオススメです。

 

■犬とのコミュニケーションを増やしてみる

犬の中には、飼い主とのコミュニケーションを増やしたい時に食事をあまり食べなくなる子もいるようです。飼い主との遊びや一緒に過ごす時間が短いことがストレスになり食べなくなってしまうケースや、心配してほしいという心理から意図的に食べなくなっているケースもあります。

この場合は、犬と一緒に遊んだりゲームをして、上手くできたらオヤツのように手からフードを与えるなどしてみると喜んで食べるようになったりします。この時は思いきり犬とのコミュニケーションを楽しみ、犬が楽しい気持ちになるまで付き合ってあげてみてはいかがでしょうか。

ただし、この食事の時にゲームや遊びを取り入れる方法は、時間がかかってしまいますので、時間のある週末にじっくり行うなどのメリハリをつけることがポイントです。

 

■ ペット栄養管理士からのコメント

なかなかドッグフードを食べてくれないことに悩む飼い主さんは意外と多いようです。
病気や怪我をしてしまった時などを想定すると、やはり痩せている子よりも健康的な犬の方が体力的には安心できますよね。

インターネット上では「小食の犬にはこのドッグフードがオススメ」といったように、特定のフードを推奨しているケースも見受けられますが、犬の食が細い理由も、合っているドッグフードも、食事の与え方も犬それぞれだと思います。
人間同様犬も腹八分が健康維持のためには効果的ともいわれています。
ドッグフードのパッケージなどに書かれている給与目安はあくまで目安であり、必ずそれだけの量を食べさせなくてはいけない、というものではありません。
小食の犬でも健康的な体重を維持するためにできる工夫を試したり、量を調整していきながら、「うちの子」に合った方法を探していきましょう。
迷った時には、ポチのコンサルティングサービスでご相談していただくのもいいと思います。

おわりに

小食の犬の食事や健康維持のために飼い主ができる工夫についてご紹介しました。
食の細さについては、フードを変えたり、食欲を刺激するようなものを与えれば良いとは限りません。無理に量を食べさせてしまうと嘔吐したり、かえって体調を崩してしまうことが心配という方も多いと思います。
好き嫌いをしている場合にもこれらの対策は効果的です。
また、小食の犬は「ごはんを我慢すればもっと美味しいものがもらえるかも…」と期待している場合もありますし、飼い主の気を引きたくて食事を拒否しているケースは見分けがつきませんよね。
犬の食が細くなってしまっている背景にはさまざまな可能性が考えられるので、すべての犬に適した対策というのは難しいのですが、犬の普段の様子の中に小食の理由のヒントが隠れているかもしれません。

うちの子の様子を観察しながら、無理なく続けられる食事の方法を試してみてくださいね。

DOG's TALK

この記事を書いた人:POCHI スタッフ OKAPY

ペット栄養管理士。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。