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2022.02.17
培養肉に注目!近い未来、こんなドッグフードが生まれるかも...?【サスティナブルな食事】
ポチでは《サステナビリティ POCHI VISIONS》として"犬の「おいしい」の源が続くために、私たちができること。"をテーマに、様々な観点から新しい取り組みを行っています。
2021年には、新しいタンパク源として食用コオロギを使用した"コオロギクラッカー(2021年11月12日発売)"の限定販売を行いました。"肉"の生産による環境への影響などを考慮して、あえて肉類を選ばないライフスタイルの人も増えています。その流れを追随するような形で、ドッグフードでも肉類を使用しないベジタリアンフードの種類が増え、それを積極的に選択する人が欧米では多くなりつつあるのだとか。
しかし、犬と一緒に暮らす飼い主目線で気になることが。
そもそも犬の仲間は自然の中で獲物を捕らえて食べてきた生き物。そんな犬たちに、肉を含まない食事を与えることは「幸せ」なのでしょうか?
先日ついに新しいタンパク源として注目の「培養肉」だけを使用して、とある研究者がハンバーガーを作ったというニュースがありました。新しいタンパク源としての培養肉の可能性と、未来のドッグフードについて考えてみました。
培養肉ってどんな肉?
まず、培養肉とはどんな肉なのでしょうか?その名の通り、動物の細胞を人工的に培養して食用肉を作ろう、という取り組みで、海外では「クリーンミート」と呼ばれることが多くなっているそうです。
細胞から食べ物となる肉を作る研究は、細胞農業と呼ばれていますが、医療分野から派生したものだそうです。というのも、もともとは人間の病気やケガの治療のために、移植用の組織や細胞の培養が行われていたのです。
「薄暗い研究室でマッドサイエンティストが試験管やシャーレなどでボコボコとうごめく不気味な何かを覗き込んで笑う……」子供のころに読んだSF漫画でそんなシーンがあった気がしますが、未来の話だったものがもうすぐそこに来ていて、現実は非常に衛生的な環境で培養は行われているとのこと。
培養肉は、細胞単位で培養されているので、もちろん家畜を育てる時に必要になる膨大な量の飼料や土地は必要なく、環境への影響も最低限に抑えられることが最大のメリットです。また、もとになる細胞や環境の管理も家畜を育てることよりも容易なので、品質を一定に維持することも可能。さらに家畜が病気になるというリスクもほとんどない、というのもメリットのひとつ。
私たちの生命活動のために肉を食すことは、牛や鶏などの動物の命と引き換えになることが前提でしたが、培養肉ではその必要もありません。倫理的に持続可能な社会を目指す取り組みにおいては大きなポイントになっています。
ドッグフードに培養肉を使用することの意味
培養肉のメリットばかりに注目してご紹介してしまいましたが、今度はドッグフードの原材料として培養肉を使用することを具体的に想像してみましょう。ドッグフードに培養肉を使用することでどのような変化が起こるのでしょうか?
■環境、倫理的に配慮した動物性タンパク源として生肉を使用できる!
培養肉を使用すれば、環境への負荷を抑えながら、ドッグフードを作ることができるようになります。もちろん、培養肉と言っても肉は肉ですので、成分的には限りなく生肉を使用したドッグフードに近いものを作ることができるはずです。
その肉が草や穀物を食べて育ったのか、培養液の栄養で育ったのかという違いしかないということですね。
肉を使用しているかどうか、はドッグフードの嗜好性にも大きく影響します。中でもフレッシュな生肉、生魚を使用しているドッグフードは嗜好性が高いです。犬だってやはり美味しいものを食べたい、と思うはず。
冒頭の研究者が作ったハンバーガーはとてもおいしかったそうですよ。培養肉をドッグフードの主原料とすることは、環境や動物に優しくて、なおかつ美味しいドッグフードを作るための理想的な手段の一つになっていくのかもしれません。
■安全性の高い肉を使用することができる!?
研究施設で作られた培養肉はウイルスや細菌の汚染がないとされています。徹底的に衛生管理された環境で育てられ、なおかつ細菌やウイルスの影響を受けることなく大きく成長することができるから。
また、肉のウイルスや細菌汚染は主に食肉加工の段階で起こるといわれているそうです。最初から肉、として成長した培養肉なら食肉加工の工程が限りなく少なくなるため、細菌やウイルスに汚染される可能性も大きく減らすことが可能なのだとか。
さらにそれぞれのおいしい部分の細胞だけを培養することができ、廃棄される「くず肉」がなくなります。これまでのように、使用されている肉が家畜のどの部分なのか、どのように生産されたものなのかが分からない「質の悪い肉」が使われることもなくなるかもしれません。培養肉がドッグフードに使用されることが当たり前になった暁には、原材料の質についてはほとんど語られない、そんな未来もあるのかもしれません。
■犬の健康維持に影響がないのか検証が必要
慎重になるべきこととして、培養肉を与え続けても健康に影響がないのかを検証する必要はあると思います。人間はもちろん、犬だって培養肉を中心とした食生活を送った経験はありませんから、実際に安全性が担保されるようになるまで、注意深く見守っていきたいですね。
■価格はどうなる?
もう一つ、気になるのが価格の面です。やはり毎日の食事に直結することですから、価格はとても大切。
現在、研究段階ですから培養肉を作ることができる施設は非常に少なく、そもそも市場に培養肉は出回ってはいません。しかし今後さまざまな場所で培養肉が生産されるようになれば、徐々に価格は下がっていくはずです。
また、技術が発展すれば短い時間でより良いものがどんどん作れるようになっていき、やがて培養肉も手ごろな価格で手に入るようになると思います。
すると、同じ量の肉を使用しているドッグフードでも、培養肉を使用するドッグフードの方が家畜からとった肉を使用しているフードよりも価格が手ごろになる、ということもあるのかもしれません。
この先は家畜の牛肉などは供給量不足もあって、一部の人しか食べられない超高級品になるかもしれませんね。
おわりに
本日は最近話題の培養肉についてご紹介しました。ドッグフードに培養肉が使用される未来まではもうあと少しなのかもしれません。まだまだ研究が進められている段階ではありますが、犬の食事にも大きな変化が起こることが予測されます。
皆さまは、これからどのような食事を犬たちに与えていきたいですか?将来のために、犬たちと一緒にできる取り組みを考えていく必要があるのかもしれませんね。