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2023.05.11
希少なキノコをハンティング!NZのトリュフ犬のお仕事とは?~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。
ニュージーランドではたくさんの犬たちが社会的に大切なお仕事を担っています。
牧場、農場、レストランに病院など…。働く犬の姿も身近なこの国で活躍する犬たちの姿をお届け。今回は、日本ではあまり聞かないお仕事「トリュフ犬」についてご紹介いたします。
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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
ブラックダイヤモンドを探すトリュフ犬
フォアグラ、キャビアと並ぶ世界三大珍味の一つで、「ブラックダイヤモンド」とも称される高級食材のトリュフ。
フランス産やイタリア産が有名ですが、ニュージーランドでも栽培されています。
ニュージーランドは約30年前、南半球で最初にトリュフ栽培に成功した国で、土壌と気候がトリュフに適しているとフランスの専門家にも認められたほどだとか。
主に黒トリュフ、白トリュフ、夏トリュフの3種類が栽培されており、地中で育つトリュフの収穫時にはトリュフ犬と呼ばれる犬たちが大活躍。
トリュフ探しにはかつて雌豚が使われていましたが、ニュージーランドでは現在、犬がその役割を担っています。
雌豚はトリュフが大好物で見つけるそばから食べてしまうのに比べ、犬はトリュフ探しのみを行い、ファーマーのよい相棒になってくれるのです。
トリュフ農園はニュージーランド各地に存在しますが、今回は名トリュフ犬がいると評判のライム・ストーンヒルズ農園を取材してきました。
名手ロージーとトリュフ探し体験
ライム・ストーンヒルズ農園は南島ワイパラ地方にあり、1997年からトリュフ栽培を手掛けているパイオニア的存在です。
上質なトリュフを生産し、顧客リストには国内のトップシェフやファインダイニングの名前がずらり。
この農園で働くトリュフ犬は、ビーグルの女の子、ロージーです。
13歳となり、以前ほど活発ではなくなったものの、今もトリュフ探しの名手であると農園のオーナーで飼い主のギャレス・レノーデンさんは話します。
「うちの農園では収穫シーズンにロージーと一緒にトリュフハンティングができる体験プログラムを行っていて、人気が高いんですよ」
トリュフ農園は一般的な畑や果樹園とは異なり、一見するとただの林のよう。
体験プログラムに参加してロージーと農園内に入っても、人間には一体どこにトリュフが埋まっているのか見当もつきません。
しかし、ロージーに「探せ」とコマンドを出すと、ものの数秒で発見してびっくり。
ロージーが教えてくれた場所を掘ると、数個のトリュフが出現。
その後もロージーは次々にトリュフを見つけ、わずか15分ほどでカゴいっぱいのトリュフが収穫できました。さすが名手といわれるだけの腕前です。
「収穫時期は毎日1~2時間ほど作業をしますが、ロージーは1回で2.5kgものトリュフを見つけた記録を持っています。僕らは彼女のことを、尊敬を込めてロージー・ザ・トリュフマシーン(トリュフ機械のようなロージー)と呼んでいます」
トリュフ犬になるための訓練
トリュフ犬になるには、どのような訓練が必要なのでしょうか? ギャレスさんに尋ねたところ、訓練方法はいたってシンプルだといいます。
「トリュフのにおいを覚えさせ、トリュフそのものやトリュフのにおいのするベイトを隠して探させます。そして見つけたらほめてご褒美をあげる。
これを繰り返すだけ。はじめは室内、次に自宅の庭、そして農園と、次第に探す面積を広げていきました」
ちなみにロージーは生後6カ月で訓練をスタートさせ、何と初回からすぐにトリュフを発見するほど優秀だったそうです。
また、トリュフ犬になる素質は何かとうかがうと、「ハードワーカーであること」との答え。
どんな犬種でも訓練すればトリュフを見つけられるようになるそうですが、すぐに仕事に飽きてしまう性格や、農園内を走り回る体力がない場合は不向きといえるでしょう。
「犬種は関係ないといっても、ロージーのようなビーグルはトリュフ犬向きだと思います。ビーグルはほかの犬種よりも嗅覚に優れていて、オリンピックサイズのプール2つ分の水の中にスプーン1杯の砂糖を溶かしてもそのにおいをかぎ分けられるといわれているほど。鼻が利くことはトリュフ探しに重要ですからね」
黒トリュフの収穫シーズンは南半球が冬を迎える6~8月。今年も名手ロージーが芳醇なトリュフをたくさん見つけてくれるでしょう。