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2019.05.27
昔の距離を知って、古地図で犬と歴史の道を歩いてみよう。【selfishな歴史犬聞録】
少し前から一部で流行しているものの一つに古地図があります。テレビ番組などでも紹介されているため、実際に古地図を元にしたルートをお散歩してみた、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて、本日のポチはそんな歴史散歩の入門編として、昔の地図の基礎知識と道についてご紹介します。
古地図を公開しているデータベースもご紹介しますので、ぜひお住まいの地域の古地図も入手してみてくださいね。
手軽に古地図を見るには?
今では書店などでも古地図を特集した本や雑誌を見つけることが簡単にできるようになってきました。
でも、それよりももっと簡単に古地図を手に取ることができる便利なサイトもあります。
東京国立博物館 研究情報アーカイブズ (https://webarchives.tnm.jp/infolib/meta_pub/G0000002070607HM)では、東京国立博物館が所蔵する膨大な史料の中から、古地図などを電子取り込みしていて、そのデータを無料で公開しています。印刷機能もついていますので、さまざまな時代や地域の古地図を手に入れることが可能です。
京都を中心とした近畿地方などでは、江戸時代よりももっと古い時代から街道の名前や地名が残っているところも多くあり、より一層面白い発見がありそうな気がします。街の歴史を紐解きながら、地図を広げてみると、もっともっとその街が好きになってしまうはずですよ。お住まいの地域の古地図を手に入れて、犬たちと一緒に当時の街道などを歩いてみるのも、新しい散歩ルートの開拓にも役立ちそうですよね。
そこで、古地図から犬たちとの散歩ルートを考えるときに参考になりそうな、江戸時代の古地図に記されている「距離」の考え方についても、豆知識を交えながらご紹介します。
距離の歴史を知ろう
今では距離を測る単位といえば、m、kmで表されるメートル法が一般的ですが、もちろん、海外で定められたメートル法が入る以前の日本ではその単位は使われていませんでした。
では、日本の長さ・距離の単位は?というと、実はとっても古い歴史を持っています。
そもそも、日本国内には、咫 (あた。母指と中指を開いた長さ) 、尋 (ひろ。両手を伸ばして開いた長さ) などの長さの単位が存在していました。
これは今でも伝説上の動物の八咫烏(やたがらす)の名前や、千尋(ちひろ)という人名などにも残っていますね。"八咫"も"千尋"もどちらも"大きい、雄大"という意味で使われています。
さて、そんな日本古来の長さの単位でしたが、7世紀頃に中国から「尺」を中心とした長さの単位が持ち込まれ、「大宝律令」にて全ての単位が「尺」を基準に法制化されることになりました。
これ以降、日本国内では長さを表す「尺」「間」「町」「里」が距離を表す単位として使用されています。
ちなみに、公的な取引でこれらの単位を使用することは、1958年の末をもって禁止されていますが、文化を重んじたり、昔ながらの技法を用いている業界では伝統として使用され続けています。
江戸時代の距離の表し方
メートル法では、100cmで1m、1,000mで1kmと単位が繰り上がっていきますが、江戸時代の地図にも表されている、距離の単位もそれぞれ繰り上がっていきます。
【距離の単位の繰り上がり】
1里 = 36町
1町 = 60間
1間 (歩)= 6尺
1丈 = 10尺
1尺 = 10寸
さて、そんな日本の距離の単位ですが、現在使用されているメートル法ではそれぞれどれくらいの距離に相当するのでしょうか。
【現代のメートル法に直すと…】
1里 = 36町≒ 約4km
1町 = 60間≒ 約109m
1間 (歩)= 6尺 ≒ 約1.8 m
1丈 = 10尺 ≒ 約3m
1尺 = 10寸 ≒ 約30cm
以上のようになります。
有名な歌に「箱根八里」がありますが、これは約32kmになるわけですね。他にもこの当時の単位を使用した表現や慣用句は多く残っているので、計算してみるとちょっぴり面白いかもしれません。
江戸時代の古地図に記されている距離は、特定の地点から終着点まで「おおまかな距離」を記していることがほとんどですが、そこに「○○町半」や「○里」と記されているときは、犬たちと普段歩いている距離と照らし合わせてみる参考にしてくださいね。
おわりに
今回は、犬たちとのお散歩ルートの開拓に古地図を活用してみることをご提案しました。今では犬たちと一緒に出かけられるスポットや、楽しめるレジャーも増え、車での長距離移動が簡単にできますね。自分たちの住んでいる街をぐるりと「1里」歩いてみると、かなりの運動量になりますし、街の歴史をより深く知るという楽しみも増えます。昔からある道や街道の多くは現代でも主要な幹線道路として機能している場合が多いので、古地図でお散歩を楽しむ際には犬たちが安全に通行できるかどうかも「現代の地図」などと照らし合わせながらルートを考えてみてくださいね。