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2019.07.05

もうすぐ七夕。夜空に光る犬の星のお話【#selfishな歴史犬聞録】

もうすぐ七夕。夜空に光る犬の星のお話【#selfishな歴史犬聞録】

7月7日といえば、七夕。一年に一度だけ、織姫と彦星が天の川を越えて会うことができる日と言われています。七夕のお話は皆さんもよくご存知だと思うのですが、本日は夜空にも「犬」がいるというお話。なんでもその犬は、夜空でもひときわ明るく光る一等星。一年間を通して地球から見える夜空で最も明るい「犬の星」のお話をお届けします。

犬の星って一体どれ?

日本の昔の星の名前に「犬星」というものがあります。これは冬の一等星、南の空に見えるシリウスのこと。そして、シリウスを犬の鼻先として描かれる星座がおおいぬ座です。
シリウスは、実は日本だけに限らず世界中で犬と結び付けられた名前で呼ばれているのだそうです。英語ではその名もDog Star、中国では天狼星でなにかと犬たちと縁が深い星のようです。

一説によると、シリウスと犬が結び付けられたことが確認できる最も古い史料では、紀元前9世紀の書物なのだそうです。この書物は古代ギリシャの詩人ホメーロスの著作といわれています。そこから数百年後の書物では、犬の星と呼ばれていたシリウスを中心としておおいぬ座の存在が確認できるようになることから、犬の星=シリウスという考えが元々存在しており、そこから派生する形でおおいぬ座という星座が生まれたものだと考えられます。

7月の暑さは犬の星・シリウスのせい?


7月の半ばを過ぎるといよいよ夏本番の暑さがやってきます。真夏の暑さがやって来る時期を英語の慣用表現では「Dog Days」と表すことがあります。「真夏の暑さがやって来る時期=Dog Days」なので、私は勝手に「人が犬のパンティングのようにハァハァするほど暑いという意味かな?」と思っていたのですが、どうやら由来は違うようです。

7月頃になると、シリウスが見えるのは夜ではなく朝~昼間になり、太陽とほぼ同じ方向に現れるようになります。さらに太陽を追いかけるような動きをするようになります。このことから、「犬の星は太陽の炎に向かって吠え、太陽の暑さを2倍にする」といわれるようになり、一等星であるシリウスのエネルギーと太陽のエネルギーが同時に降り注ぎ、一気に夏の暑さがやってくると昔の人は考えたのかもしれません。このことから、Dog Starの期間=Dog Daysという慣用表現が生まれたのだそうです。

おわりに

一等星でもあり、夜空でひときわ輝くシリウスが犬たちと結び付けられていたこと、そしてそのシリウス=犬の星という考え方が世界中で同じように認識されていたことは非常に珍しく、また面白いことですよね。
ちなみに、古代バビロニアやアッシリアなどでも同じように犬の星を意味する名前をつけられていたことが分かっています。

また、おおいぬ座の形はぱっと見ても「犬の形だ!」と分かるのですが、おおいぬ座を形成する星たちの中でも最も明るいシリウスの星が、犬の鼻先に位置しています。これも犬たちの能力の中でも最も優れた「嗅覚」に人々は神秘的な力を感じていたことを示しているのかもしれませんね。
おおいぬ座とこいぬ座の星座に関するお話を調べてみても、猟犬として活躍した犬たちのお話が多いことからも、この犬たちの優れた能力によって人々が助けられてきた歴史の一端を読み取ることができます。