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2019.07.25

フィトセラピストが贈る、犬と暮らしのハーブ便り『ローズマリー』

【この特集の資料提供】Urara Herb Design Lab. フィトセラピスト 堂山うらら氏

*1 現在、ホリステックケアアドバイザーとして人と犬へのフィトセラピーを中心としたカウンセリングや、人と犬のクオリティ・オブ・ライフに役立ち、犬と一緒に楽しめるフィトセラピー講座、ハーブ講座を行っている。

日差しが弱く気温がぐっと上がらない日々は、猛暑と比較すれば犬たちにとって過ごしやすい環境とも言えます。しかし、過ごしやすくなった反面、これからやって来る夏の疲れがどっと出やすくなったり、 気温の変化により体調を崩しやすくなることがあるのでしっかりと健康管理をしてゆきましょう。
それから、夏の間は強い紫外線が降り注ぎ、ダメージが蓄積されやすいのは雨が多い年であっても変わりなく、健康な皮膚、被毛のためのケアも大切になります。 そこで今月ご紹介するハーブは「ローズマリー」です。
嬉しい働きをしてくれるハーブのひとつではありますが、てんかんの持病を持っている犬には注意が必要な場面もあります。

少し長くなりますが、「なるほど!」や「使えるかも!」を、少しずつ説明していきますね。

犬に使えるオススメハーブ「ローズマリー」


●ローズマリー

こんな時に: 中枢神経系(脳)の機能亢進・血液循環促進作用・抗酸化作用・抗菌作用・リフレッシュ。

ローズマリーのロマンチックな歴史


ローズマリーという名前は、ラテン語で海のしずくを意味する「ロス・マリヌス」に由来し、 水辺に多く自生していることから由来しています。

清らかな青色の花を咲かせるローズマリー。その伝説はいくつも伝えられていますが、 もっともポピュラーな物語は、ハンガリーの王妃のお話。
痛風の痛みに耐えながら一人寂しい日々を過ごしていたハンガリーのエリザベス王妃の前に、ある日、天使が現れ ローズマリーを使った香水の作り方を教えたそうです。
当時77歳だった王妃はその香りをまとった瞬時に痛みがなくなり、それと同時に娘のように若返り、 しかも取り戻した若さと美貌に恋をしたポーランド王に求婚されたという夢物語。
その処方箋は今もウィーン王立図書館に保存されていると言われていますから、女性だったらぜひ見てみたいですよね、ほんと素敵。
現在でもその香水の処方に基づいて作られた「ハンガリーウォーター」と呼ばれスキンケアローションがあるんですよ。 スキンケアに用いるとアンチエイジングに、シャンプーの後のリンスに用いると髪に艶と張りを与えるといわれています。

ローズマリーのココがスゴイ!犬にも嬉しい幅広い用途

古くからローズマリーの抗菌、殺菌、酸化防止作用を利用し、肉料理をはじめ、様々な料理に広く利用されています。
すっきりとした香りのローズマリーは、肉料理や魚料理の臭みを取り除くのに使われていますね。 そのほかに、優れた収斂作用により肌を引き締め、しわ、たるみなどを防いだり、 頭皮に使用すると頭皮を清潔に保ち、新陳代謝を促進し、脱毛予防、育毛やフケ予防ができるので、 様々な形態「ハーブティー、チンキ剤、コンプレス(湿布剤)、入浴剤、ローション、シャンプー」などで用いられています。
身近なところでは抗酸化力を利用して食品やドッグフードの天然の酸化防止剤として利用されています。

また、ローズマリーはガーデニングでも人気。ドライにしても香りが持続するので、お庭でローズマリーをたくさん収穫できた場合、 刈り取ったフレッシュローズマリーを束ねて、そのまま部屋に吊るしたり、かごなどに入れておくだけでも空気の浄化や消臭効果が得られ、 お部屋の匂いが気になる場合に役立ちます。

昔の人々は、ローズマリーの小枝を使って魔よけとして悪霊を追い払ったり、これを薫香として炊いていました。 そんなことから、ローズマリーには「香木(アンサンシエ」という古いフランス名もあります。

ハーブのやさしい香りを使って、季節の変わり目に起こりがちな自律神経の不調からくる体調不良を改善することができます。 例えば、朝には爽やかなローズマリーの香りでリフレッシュし、そして、秋の夜長にはラベンダーやカモミールなどリラックスする香りを楽しむことで、交感神経と副交感神経を活性化し、自律神経のバランスを整えるためにとても役立ちます。 この時に一番大切なのは、自分や犬にとって好きな香りを使うことです。 ですから、日頃からハーブを犬との生活に取り入れ、犬の好みの香りを知っておくとより良いですね。

ちょっと疑問なぜ、この時期に役立つの?


ローズマリーをオススメする理由は、肝臓の疲れや心臓への負担を軽減して、食欲低下や消化不良によって弱ってしまった消化器のサポートに繋がるから。

ローズマリーは肝臓を含む消化器系、循環器にも役立つハーブのひとつで、 肝臓機能を活性化させるためにも用いられ、有効成分のひとつであるカルノシン酸、カルノソールには、生体防御機能を活性化し、 解毒機能を高めるという臨床結果があります。
ドイツでは食欲不振、消化不良、肝機能の低下、弛緩性の便秘など消化機能の低下や循環不全による活力の低下などに用いられます。 また状況に応じて、筋肉痛、リウマチや神経痛の痛みの緩和と改善に外用として用いられます。
また、犬の被毛も夏の日射しなどで被毛が傷んでいます。 秋になり換毛期のあとは、犬が本来持っている艶やかな冬毛に生え変わってほしいですよね。
ハーブティーをリンス代わりに使用すると被毛の生え変わりをスムーズにし、健康な被毛の再生を助けます。
リンスとして使用する際には、少量のアップルビネガーや乾燥を防ぐために保湿効果として植物性のグリセリンをプラスするとより効果的ですよ。

■ こんなことが気になる犬にオススメ

★被毛の健康を保つためのシャンプー後のリンスとして
★夏の疲れが見えたときに
★消化不良など、消化器系を労わりたいときに
★クーラーなどによる冷えなど、血行の巡りをいつも通りにしたいときに
★ドッグスポーツ前後の筋肉疲労を和らげるためのコンプレス(温・冷湿布)に

ポイントてんかんの持病がある犬には注意も必要です!

ただし、万能なローズマリーですが、脳内を活性化させる働きや脳内血流に働きかける作用があるため、 癲癇発作を持つ犬への使用は避けたほうが安心です。
その場合は、消化器系をサポートし健康な皮膚、 被毛を作るため役立つカモミールやカレンデュラ、ローズヒップを、そして肝臓サポートにはミルクシスル、 循環器サポートにホーソンが役立ちます。

また、香りが強いため、使用量は少なめがオススメ。
妊娠中の犬とてんかん発作などの発作性疾患のある犬への使用は避けましょう。
ホメオパシー療法をされている際に同時に使用すると、互いの治療効果が薄れることがあるようです。

DOG's TALK

フィトセラピスト 堂山うららさん

さぁ、ハーブのやさしいチカラをかりて、今よりもっとHappyな毎日をスタートしましょう。