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2019.09.10

フィトセラピストが贈る、犬と暮らしのハーブ便り『 ゴールデンロッド』

フィトセラピストが贈る、犬と暮らしのハーブ便り『 ゴールデンロッド』

【この特集の資料提供】Urara Herb Design Lab. フィトセラピスト 堂山うらら氏

*1 現在、ホリステックケアアドバイザーとして人と犬へのフィトセラピーを中心としたカウンセリングや、人と犬のクオリティ・オブ・ライフに役立ち、犬と一緒に楽しめるフィトセラピー講座、ハーブ講座を行っている。

もう少ししたら朝晩が涼しく、ようやく過ごしやすい季節になり、犬たち、植物たちもイキイキとしてきますね。
過ごしやすい秋は夏の疲れを回復させて、厳しい冬に備えて体調を整える季節です。一方でこの季節は、アレルギー、風邪、咳、冷え、呼吸器系の不調を感じる方が多いことと思います。
ブタクサなどによる秋の花粉症でお困りの飼い主さんもいらっしゃるかと思います。もともとアレルギーを持っている犬たちも、ひょっこりアレルギーがでてしまったり、冬に向かい気温が下がることで身体が冷え、 免疫低下による泌尿器系トラブルのぶり返しが多いようです。

そこで、今月ご紹介するハーブは、日本ではアキノキリンソウと呼ばれ、黄金色の花が秋を明るく彩る「ゴールデンロッド」です。

秋のオススメハーブ「ゴールデンロッド」

●ゴールデンロッド

ゴールデンロッドの基本情報

生薬名は一枝黄花(いっしこうか)と呼ばれ漢方薬にも処方され、葉に炎症を緩和するフラボノイドが含まれているためヨーロッパでは葉を潰して虫刺されの治療や怪我の止血や洗浄液として用いられ、アメリカでは、ネイティブアメリカンの重要な薬草とされ、整腸剤や風邪、怪我に民間薬として用いられてきた歴史があります。
ゴールデンロッドは古くから秋の開花期に全草を採取して天日で乾燥させて薬草として使用します。日本では若芽を、塩を入れて茹でてから、水にさらしてアク抜きを充分し、胡麻和え、酢味噌、油いため、汁ものなどにして秋の野草として親しんできました。
別名をアワダチソウといい、戦後日本に入ってきたセイタカアワダチソウも同じ種に属しますが、セイタカアワダチソウはアクが強いため食用には使用されません。繁殖力が強く、今では散歩道で見かける機会は、ゴールデンロッドよりもセイタカアワダチソウの方が多いかもしれません。

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ゴールデンロッドはハーブとしてだけではなく、はちみつの蜜の元となる花としても注目を集めています。はちみつは、元の蜜の花の種類によって効能や風味が変わるといわれていますが、ゴールデンロッドの蜜を集めたはちみつは風味も豊かで少しスパイシーな味わいがします。
ブルーチーズを使ったピザなどにはちみつをかけて食べることがありますが、ゴールデンロッドのはちみつはとても合うそうです。

ゴールデンロッドの一般的な用途

ゴールデンロッドは、抗菌、抗炎症、抗カタル作用に優れ、粘膜の炎症を抑え、痛みを緩和し、回復を助ける働きがあることから、主に急性鼻炎や咽頭炎、口内炎、多種類の病原による上気道のカタル症状、風邪、インフルエンザ、咳、喘息、そして鼓腸を伴う消化不良の改善に有効とされています。
更に、古くからキドニ―クレンジングハーブと呼ばれ、腎機能を活性化して老廃物を排泄する働きがあり排尿時の痛みの緩和にも役立つことから、膀胱炎、尿道炎などの泌尿器系トラブルの治療や結石予防などに他のハーブと組み合わせて用いられてきました。

ドイツ政府に対してハーブの医薬効果などを報告、アドバイスをする「コミッションE」により、ゴールデンロッドは、各種泌尿器関係に対する抗炎症作用が認められており、成分のひとつであるエステルサポニンはカンジタ菌の抑制に効果があることが明らかになっています。

この時期の"ぶり返し"には注意したい

気をつけてはいたけれど、毎年この季節に泌尿器系にトラブルが再発してしまう、というような場合などは、 様々な作用を持つゴールデンロッドと、免疫バランスを整えるエキナセアとビタミンCが豊富なローズヒップを組み合わせて使用すると相乗効果を発揮します。
そして、膀胱炎、尿道炎などのケアには、さらにマシュマロウをブレンドすることで、粘膜の炎症を緩和しつつ、保護、修復作用により治癒が促進されます。

膀胱炎や尿道炎にかかってしまった場合、動物病院に行くと抗生物質を処方されます。
抗生物質を服用すると免疫機能に関与している腸内細菌にも大きく影響を与えます。
健康維持、免疫バランスに影響を与える有用菌も死滅させててしまうため、 腸内細菌のバランスを崩し、下痢が続いたり、免疫を低下させてしまうこともあり、ようやく治ったと思ったら、 また膀胱炎などの感染症にかかってしまったということがないよう、抗生物質を服用した際には、有用菌の増殖に役立つヨーグルトや発酵食品、またはサプリメントなどを上手に取り入れましょう。

また、気温が徐々に下がってくるこれからの季節、腎機能低下に伴い、関節炎、リウマチ、痛風などを招いたり、 結石が出来やすい状態になる場合があると言われています。 このような症状にはまずは尿酸や老廃物の排泄が有効とされており、腎臓機能を活性化し老廃物の排泄を助けるネトルとの組み合わせがお勧めです。

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腎臓や免疫と腸内細菌のバランスは深い関係があると言われています。腸内細菌のバランスが正常であることが、腎臓や免疫系にとってもプラスに働くようなので、犬たちの健康維持にはまずは腸内細菌のバランスを整えるところから始めてみるのがオススメです。

フィトセラピストからのアドバイス

■ 秋のデトックス

この季節にオススメしたいケアは、春のデトックス同様、今の時期に、もう一度しっかりとデトックスを行うこと。
冬を迎える前に、有効なハーブブレンドで体内浄化をしておくのが有効的。
そして、秋は過ごしやすい季節ではありますが、泌尿器系トラブル以外にも、季節の変わり目は免疫低下による様々な感染症にかかりやすくなるため、 夏の疲れの回復を兼ね、冬に備えて今から免疫バランスを整えるケアをプラスしましょう。

■ アレルギーに

ゴールデンロッドは古くからアレルギー性植物と言われ、一説には少量摂取しておくと、アレルギー防御体性を作ると言われ、 花粉症の季節には数週間前から摂取するとアレルギーに対する反応を和らげてくれると言われています。
ただし、人も犬猫たちも個体差があるため、必ず専門家に相談の上、ご使用になれたほうが安心です。

または、植物アレルギーがあり、使用するのが不安な場合は、ゴールデンロッドのハーブティーを冷ましたものをコットンに含ませ、お腹のあたりに少量つけてパッチテストしてからの使用が安心です。 もし、アレルギーがあれば赤くなったり、なんらかの反応がありますので、その時は使用を避けてください。
※万が一、皮膚が赤くなってしまった場合は水できれいに患部を洗い流してあげてください。 そして、いつもより少し多めに水を飲ませるようにしてください。

■ 呼吸系のトラブル対策

秋は、五行の考え方によると「肺」に対応しており、肺は呼吸によって気(自然の生命エネルギーを)を体内に取り込む働きがあります。
秋の乾燥した気候、空気は肺の陰気を損ないやすく、肺に負担を与え、鼻の乾燥、喉の痛み、咳、胸の痛みといった呼吸系のトラブルが発生しやすくなるため、風邪をひきやすくなりますので、肺に潤いを与え、働きを助けるケアを取り入れられると良いですね。

これからの季節はインフルエンザや風邪にかかりやすい季節です。
風邪の諸症状の緩和として、もちろん犬の乾いたような咳の緩和、喉の粘膜の炎症の緩和には、マシュマロウと組み合わせて使用すると相乗効果が得られます。
また、風邪や花粉症に伴うカタル症状の緩和には、エルダーフラワーをプラスすると効果的です。

肺を元気づけ、呼吸器をいたわる食材として、秋に旬を迎える梨、リンゴ、柿、ゴマ、大根、山芋、蓮、ギンナン、クルミ、松の実などを食事に取り入れるのもおすすめです。

秋は梨が美味しい季節ですし、さつま芋も犬は大好きですから、おやつ代わりに与えたり、 キノコ類は、免疫アップに役立ち、ダイエットサポートとしても有効です。


旬の美味しい食べ物が食卓にたくさん並ぶ秋は、胃腸のトラブルが起こりやすい季節でもあります。
人も犬も食べ過ぎ、食べさせ過ぎには注意し、消化を促進し胃腸をいたわるハーブを取り入れつつ、 旬の食材を取り入れてしっかりと栄養を摂りましょう。

(注意事項)

*1 長期連用、過剰摂取は避けましょう。

*2 慢性の腎臓疾患が進行した場合、まれに、疲労した腎臓に負担をかける場合があるため使用は避けましょう。

DOG's TALK

フィトセラピスト 堂山うららさん

さぁ、ハーブのやさしいチカラをかりて、今よりもっとHappyな毎日をスタートしましょう。