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2019.09.20

盲導犬の歴史はいつから?古代ローマ時代から存在していたパートナー【#selfishな歴史犬聞録】

盲導犬の歴史はいつから?古代ローマ時代から存在していたパートナー【#selfishな歴史犬聞録】


犬たちは、私たちの暮らしを豊かに、楽しくしてくれる伴侶であると同時に、私たち人間の生活の「困ったこと」をサポートしてくれる存在でもありますよね。歴史的に見ても、かつては狩猟や採集の場で、その後も牧羊や作業で活躍する犬たちが多く存在しています。

最近では、福祉の場で活躍する犬たちも増えてきていて、私も毎朝盲導犬を連れた方とすれ違います。
しっかりと周囲の状況を確認しながら、安全なルートを選んで歩いていくその姿や、状況を判断して立ち止まる姿には感動すら覚えます。
さて、そんな盲導犬について少し調べてみると、とても長い歴史を持っていることが分かりました。
本日は盲導犬の歴史についてのお話です。

遠い昔にも犬たちは人の目として活躍していた!

盲導犬、という名前が存在するよりもずっと前から、犬たちが目の不自由な方のためにその行く先を導いていたことが分かっています。
最も古いものだと、イタリアのナポリに程近い位置にあったポンペイの遺跡には、犬に導かれて歩く人の姿を描いた壁画が発掘されています。ポンペイの都市は、西暦79年頃の火山の噴火によって地中に埋まってしまっているため、それよりも以前から犬たちが人の目として活躍していた、ということが想像できます。
そのほかにも、13世紀、日本では鎌倉時代の中国大陸でも同じように目が不自由な人物が犬に導かれて歩いている絵が残されています。
時代が下って、17世紀。日本では戦国時代がようやく終わりを告げ、江戸幕府の統治が始まります。出島が作られ、オランダの文化が本格的に流入し始めた頃です。当時のオランダで発行された書籍には、「忠実な犬が彼(目が不自由な人物)を綱で引いている」と書かれています。

このころは、盲導犬としての訓練などはまだ整備されておらず、飼い主と暮らしている犬たちが自発的に飼い主をサポートするような行動を見せていた、ということのようです。

その後、世界的に発展していく犬たちの活躍の場

19世紀、20世紀になると大きな戦争があった影響で、視覚を失ってしまった人がヨーロッパでは増えてしまいました。それらの人々を助ける存在として、犬たちのトレーニングが本格的に始まります。
世界で初めて盲導犬を育成する訓練学校が設立されたのはドイツで、設立の同年には世界で初めてとなる「盲導犬」のユーザーが誕生しています。

その後、ドイツを中心としてヨーロッパ全体、そしてアメリカで盲導犬たちは活躍の場を広げ、日本にもやってきます。当時の日本へやってきた盲導犬たちは4頭でした。

現在では、世界の30カ国で盲導犬が導入され、2万頭を超える犬たちが私たちの目となってくれる盲導犬として活躍しています。そのうち、日本では約1000頭が活躍しているそうです。世界と比べると日本ではまだまだ盲導犬たちの数は少ないですが、これからもっと盲導犬たちの活躍の場が増え、犬たちも目が不自由な方たちも過ごしやすい環境になればいいですね。
そして、犬ってやっぱり素晴らしい!

おわりに

現代では、日本で盲導犬といえば、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーが多いですが、世界的に見ると犬種は多種多様で、様々な犬たちが活躍しています。ちなみに、日本で訓練された盲導犬の第1号は、アイメイト協会のジャーマンシェパード(チャンピイ号)です。もちろん、犬の性格や特長などから「向き/不向き」はありますが、すべての犬は飼い主のために何かできることに喜びを感じます。そんな犬の性格があるからこそ、訓練をされたわけでもないのに遠い昔の犬たちは飼い主を支え、導いたのでしょう。
犬と暮らしている方ならご存知の方は多いと思いますが、盲導犬や介護犬、聴導犬などの犬たちは外で見かけても決して触れたり犬に声かけをしてはいけません。また、犬とのお散歩中に盲導犬と出会ったら、そっと道を譲ってあげてください。