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2020.02.19

犬の皮膚に異変?気になるイボの種類と腫瘍との違い。

犬の皮膚に異変?気になるイボの種類と腫瘍との違い。

犬たちのお悩みでも多い皮膚のトラブル。かゆみが出たり、炎症を起こして皮膚が赤くなってしまったり、毛が抜けてしまうなどの症状が出ると、動物病院で相談される方も多いかと思います。でも、犬自身はあまり気にしていない皮膚トラブルの中で、病院に行ってみると「イボのようなものだから様子見しましょう」となるケースがあります。

犬に多い皮膚トラブルのひとつが、皮膚のできものやイボ。もちろん、体質にもよりますが、比較的犬には多い症状のようです。
本日は犬たちの「ちょっと気になる…」イボについて、そして腫瘍との違いについてご紹介します。

犬たちに多いイボってどんなもの?


大きく分けて、イボには良性のイボと悪性のイボがあります。良性のイボであれば、犬の健康に直接的な害はなく、犬が気にしていなければ動物病院でも経過観察となることが多いようです。
しかし、悪性のイボの場合は、出血したり炎症を起こしたりするほか、徐々に広がっていったり大きくなるなどの特徴があります。悪性のイボを放置しておくと腫瘍となってしまい、手術や特殊な治療が必要になることがあります。
良性のイボと悪性のイボの見分け方を聞いたことがある方もいると思いますが、素人判断は危険。大きな後悔になる前に、必ず信頼できる動物病院で獣医師さんにチェックしてもらうのがベストです。

良性のイボの原因 老化によるもの

健康的な犬であれば、皮膚の表面の細胞が一定周期を経て生まれ変わります。細胞が寿命を迎えると再び新しい細胞と入れ替わっていきます。
しかし犬が年齢を重ねていくことで、次第にその細胞の入れ替わりの周期が滞ってしまい、サイクルが乱れることで徐々にできものやイボが出来やすくなってしまいます。
このようにできたイボなどは、基本的には犬の健康に影響はありませんが、ハイシニアになった犬の場合は抵抗力も落ちていたり、腫瘍ができやすくなるなどの変化も訪れます。注意深く犬の体調やできものの様子を観察していくことが大切です。

良性のイボの原因 ウイルス性のイボ

犬たちの皮膚のバリア機能が低下している時や擦り傷、切り傷を負ってしまった時、傷口からパピローマウイルス(乳頭腫ウイルス)が入ってしまうことで、イボができることがあります。また、このウイルスは接触などによって移ってしまうケースもあるので多頭飼いのご家庭では注意が必要です。
ただ、パピローマウイルスが原因になっているイボの場合は、数週間から数か月で自然に消えていくことも多いため、動物病院でも経過観察となるケースが多いようです。

良性のイボの原因 皮膚嚢胞

皮膚嚢胞(ひふのうほう)は、毛穴の上方部分の皮膚が何らかの原因によって皮膚の中に袋状のポケットができて、徐々に皮膚が盛り上がったようになるできものです。
新しい皮膚がもう1枚かぶさり、その1枚が皮膚組織の中に角質を含んだ物質が袋状となって含まれてしまい、できるタイプのイボです。人間でもたびたび発生しますが、原因は体質的なものといわれています。
痛みなどはないのですが、犬が気にして引っかいたりかじったりすると、傷になり炎症を起こしてしまうことがあります。

犬の腫瘍とイボの違いは?

犬のイボと間違えやすいものに、腫瘍があります。

腫瘍は、一般的に細胞が固まってできたもののことをいいます。腫瘍は何かしらの原因によって、細胞が異常な速度で増殖し、健康的な組織を包んでしまったり、しみこむように広がったり(浸潤・しんじゅんといいます)、血液やリンパ管を通ってほかの臓器に広がったりして(転移といいます)さまざまなトラブルを引き起こします。
他の組織や細胞を巻き込みながら大きくなっていくものを悪性腫瘍(がん)、まわりに転移せず、発生した部分にとどまって膨らむように大きくなるものは良性腫瘍と分類されます。(犬の腫瘍とがんについての獣医師の解説を読む)

皮膚の表面にできた腫瘍はその部分の毛が抜けたり、出血や膿がみられるなど、異常が分かりやすい一方で、皮膚の下にできた腫瘍はしこりやイボとの見分けがつきにくいことも多いです。しこりやイボがどんどん大きくなっていないかを確認し、気になるようであれば動物病院で相談してみてください。

おわりに

今回は犬にたびたび見られる犬のイボについてご紹介いたしました。ふと気が付いたらできていることが多いイボは、良性のものが多いのですが、中には病気のサインになっているケースもあります。急激に大きくなっている場合など、気になることがあるようであれば動物病院で相談してみてくださいね。