- コラム
- スタッフコラム
2020.03.25
ノミ・マダニ対策で犬を正しく守ろう!知っておきたい基本のまとめ
春になると活動が活発化するノミ・マダニ。かゆくて不快なだけでなく、ときには重い病気の原因にもなってしまう犬の天敵です。
もし見つけたら?寄せ付けないためには?正しい予防法は?など、今回はノミ・マダニの正しい対策法をご紹介します。
かゆいだけじゃない?犬の感染症の原因になるノミ・マダニ
ノミ・マダニは、人や犬、猫などの生きた動物に寄生し、宿主の体の表面から血を吸ったり、皮脂を食べたりして生活をする寄生虫です。ノミ・マダニのなかにはとくに犬の血液を好む種類も。犬が寄生されるとかゆみや皮膚炎が起きるほか、ノミの場合は「瓜実条虫」、マダニの場合は「ダニ麻痺症」「犬バベシア症」といった感染症を引き起こすこともあります。
■ノミ・マダニが媒介する主な感染症
●瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)
毛繕いなどで瓜実条虫の幼虫に寄生されたノミがが口から入り込み、瓜実条虫が小腸に寄生。下痢や嘔吐、肛門周辺のかゆみなどの症状が出ます。
●ダニ麻痺症
唾液から強力な神経毒を出すダニによって筋肉が麻痺。主にアメリカやオーストラリアで多く見られる病気です。
●犬バベシア症
マダニによって媒介されたバベシア原虫が赤血球を破壊することで、貧血や食欲低下、発熱などの症状を引き起こします。
●ライム病(ボレリア菌)
症状が認められることはあまりないものの、急性症状として発熱や関節炎、食欲不振があります。元気がなく、足を引きずるような仕草が出た場合は要注意です。
また、まれにノミ・マダニによる感染症が人に影響を与える場合もあります。とくに有名な「ライム病」は、犬だけではなく人にも感染する病気で、発熱や関節痛を引き起こします。「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」もマダニが媒介する感染症で、発熱や倦怠感、消化器症状が出るのが特徴。犬を飼う家庭ではノミ・マダニに接する可能性が高まりやすいため、犬と暮らす家族はこれらの症状にも要注意です。
室内にもノミ・ダニはひそんでいる
ノミ・ダニのなかでも、とくに犬を宿主として好む種類は「ヒセンダニ」「マダニ」「ニキビダニ」「ノミ」の4つです。寄生されるタイミングで多いのが、お散歩中に藪や草むらのなかに入ったときや、他の犬との接触。また人が持ち込み、室内で繁殖したノミ・ダニが寄生することもあります。「室内犬だから大丈夫」という過信は禁物です。
●ヒセンダニ
肉眼では確認できないほど小さなダニ。犬の皮膚のうえでどんどん繁殖を繰り返し、疥癬(かいせん)という皮膚病を引き起こし激しいかゆみにつながります。放置すると皮膚がボロボロになってしまうこともある、気を付けたいダニです。
●マダニ
マダニはクモの仲間で約1~5mm程度の大きさのため、肉眼で確認することができます。犬に寄生して吸血すると巨大化し、ときには500円玉くらいのサイズになることも。病気の原因にもなることが知られているほか、人間にも規制する厄介な存在です。山や川など、レジャーに出かける時には対策をしっかり行いましょう。
●ニキビダニ
ニキビダニは犬が健康なときは潜伏しており、犬が弱ったときを見計らって増殖。かゆみや脱毛などの症状を引き起こします。
●ノミ
1~2mm程度の小さな昆虫で縁側や花壇、犬の寝床などジメジメした場所にひそんでいます。ピョンピョンと飛び跳ね、犬や猫などの動物に寄生し、吸血します。繁殖力が非常に高いのが特徴です。犬がアレルギーを持っている場合、一度吸血されただけで激しいかゆみが起きます。患部をかきむしることで皮膚の炎症が起こり、二次感染につながることも。
●耳ダニ
厄介な寄生虫の一つに耳ダニがあります。感染してしまった犬は非常に耳をかゆがるようになり、耳の中に小さなダニがみられるようになります。耳ダニのサインとして耳の周囲に出血を伴う傷やかさぶたができるほど激しく頻繁に掻き壊すことがあり、耳の周囲から出血がみられる場合は気を付ける必要があります。ほかの犬や猫にも簡単にうつってしまうので、多頭飼いの家族では特に注意が必要です。
マダニをつぶすのは絶対ダメ!治療はかならず病院で
飛び跳ねるノミや、血を吸うとふくらむマダニは、目に見えるサイズのため、飼い主が気づく場合があります。しかし気づいたからといって自分で取ろうとすると、困ったことになるケースも。もしそれがメスのノミの場合、おなかに大量の卵を抱えている可能性があり、つぶすと同時に卵が飛び散ってノミはいっそう増殖してしまいます。自宅で対処する場合は、潰さず中性洗剤を薄めた水につけるなど、周囲の環境にも注意してながら行う必要があります。
またマダニは頭を皮膚の中に突っ込む形でかみついていて、セメント質の物質で体を皮膚に固定してしまいます。そのため指先やピンセットで取るのは至難の業。無理に引きちぎったとしても、頭は体内に残ってしまうため、治療がより難しくなってしまいます。マダニを取り除く際にはアルコールをしみ込ませた脱脂綿に包んで眠らせる、などの方法もありますが、マダニ自体に人にも影響を及ぼすウィルスが潜んでいる可能性もあり自宅での対処は注意が必要です。処置に困った時にはすみやかにかかりつけの動物病院に相談をすれば、内服薬や皮膚に直接垂らす薬など、症状を見たうえで駆除剤が処方されます。
清潔な環境と予防薬でノミ・ダニを犬に寄せ付けない
動物病院ではノミ・ダニの予防薬も処方してくれます。予防薬は、ジャーキー感覚で食べることができるものや、味つきの錠剤などの「経口タイプ」と、体に液体の外用薬を垂らす「スポットタイプ」の2つが主流。どちらを選ぶかは、症状や飼育環境によって異なるため、かかりつけの動物病院で相談して決めましょう。
予防薬で対策するのと同時に、ノミ・ダニを寄せ付けない飼育環境を整えることも大切です。フケやホコリ、人間の食べかすはノミの大好物。こまめに掃除機をかけて、ノミが繁殖しにくい環境を心がけましょう。またノミ・ダニは熱に弱い特徴があるので、犬のベッドやお気に入りのタオルなどは、お湯で洗って乾燥機にかけることで清潔に保つことをおすすめします。
おわりに
虫対策は、駆除、予防薬のほかに、ノミなどの害虫が嫌う植物(ハーブ)を利用したやさしい虫よけがあります。組み合わせて活用しつつ、これからの季節の虫対策に役立てていただければと思います。
どれだけ予防していてもノミ・ダニの寄生を100%防ぐことはできません。そこで重要になるのが飼い主の目。体をかゆがっていないか、季節の変わり目でもないのに毛が抜けていないか、皮膚に湿疹ができていないかなどを日々のケアやスキンシップでチェックして、体調の変化にいち早く気づいてあげたいですね。