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2020.03.18

オリゴ糖ってどんなもの?犬の腸内細菌に良いオススメアイテム

ドッグフードやオヤツに機能性成分として使われていることが多いものにオリゴ糖があります。人間用の食品や飲み物でもよく見かけますよね。でも、このオリゴ糖ってどんなものなのか、なぜ犬にとって嬉しい成分なのかということは、詳しく紹介されていなかったりします。

そこで、「腸内環境を整える」と紹介されているオリゴ糖が、どのように犬たちの体の中で働いてくれるのかについてご紹介したいと思います。

犬に役立つオリゴ糖ってどんな糖なの?

「糖」と聞くと糖尿病や肥満などと結びついてしまい、あまり良い印象を持っていない方もいるかもしれません。オリゴ糖は糖類の一種ですが、カロリーが低く砂糖とは少々性質が異なっています。

まず、糖類は糖の分子がどれほどつながっているかによって分類されています。

ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)など、いわゆる甘味を感じたり、速やかにエネルギー源に代わる糖を「単糖類」と呼びます。この単糖類が2~10個ほどの長さになるまで他の分子や同じ糖類と結合したものを、「少糖類」と呼びます。

少糖類の中でも乳糖(哺乳類の母乳に含まれるもの)や、オリゴ糖は他の成分と結合しているので、単糖類のようにすぐにエネルギー源として消費されず、腸内細菌によって分解されてから吸収されるのが特徴です。

オリゴ糖自体は自然界に存在している成分で、フラクトオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・マンナンオリゴ糖などさまざまな種類があります。

オリゴ糖が腸内細菌を助け、腸内環境を整える仕組み

オリゴ糖は食べ物として犬の体内に取り込まれると、消化管を通って小腸へと届けられますが、小腸までの過程に存在している消化酵素では、オリゴ糖を分解することが出来ません。そのため、そのまま大腸へと届けられるのです。
大腸にはたくさんの腸内細菌が存在していますが、これらの腸内細菌の中にはオリゴ糖を発酵させる能力を持っている菌がいます。これらの菌はオリゴ糖だけではなく、水溶性食物繊維も一緒に発酵させることで健康にうれしいさまざまな成分を作り出します。
たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸といった短鎖脂肪酸や乳酸といった成分をオリゴ糖から作ります。これらの発酵による副産物は、腸のぜん動運動(ウンチを腸の中を速やかに通していく運動)を促進したり、大腸のpH値を調整するなどの作用を持っています。犬の腸がきちんと働き、良いウンチを作るための環境を整えてくれるというわけですね。

また、それだけではなく、オリゴ糖を発酵させた成分である酢酸は肝臓で代謝され、筋肉でエネルギーとして使われるほか、プロピオン酸も肝臓で代謝されて、アミノ酸代謝、アンモニアの解毒分解などに活用されます。

このように、腸内環境を整えるだけではなく、オリゴ糖の発酵によって作られる成分は犬たちの体内でとても大切な働きをしているんですね。
もちろん、犬の腸内細菌のバランスは1頭1頭異なりますし、同じように腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維との兼ね合いもあるため、一概にはいえませんが、基本的に犬たちにとって嬉しい効果をもたらしてくれる成分と言えます。オリゴ糖自体は直接犬たちのエネルギー源になるのではなく、腸内細菌にとってのエネルギー源ということですね。
とはいえ、たくさん与えれば良い、というわけではなく適量を与えることが大切です。犬のウンチの状態をチェックしながら与えるようにしてくださいね。

■ おまけ:牛乳を飲んでもお腹を壊さない成犬の秘密

「成犬には牛乳を飲ませてはいけない」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。パピーは母乳に含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)を持っていますが、成長していくにつれて徐々にラクターゼが減少し、乳糖を分解できなくなってしまうからだといわれています。これは人間でも同じことが起きる現象です。
ラクターゼは小腸で乳糖を分解、吸収するのに必要な消化酵素ですが、ラクターゼが減少している状態の成犬に乳糖を含むミルクなどを与えると、乳糖は分解されないまま大腸まで届いてしまい、多くの犬はそのまま排出されてしまい、消化不良を起こして下痢になってしまいます。

ところが、離乳後も乳製品を与えられたりすることで、牛乳のような乳糖が豊富なものを飲んでも問題なく分解できる犬もいるようです。腸内細菌は基本的に食べ物の内容によってその数やバランスを変えるといわれています。犬の個体差だけではなく、腸内細菌の働きや種類によっても、食べられるものが決まるというのは面白いですよね。

犬に役立つオリゴ糖を含むオススメアイテム