• コラム
  • スタッフコラム

2020.03.30

犬の食欲を刺激する医薬品が登場するかも?グレリンという成分[#今気になるトピックス]

病気の療養中の犬たちや、ハイシニア犬に関するお悩みで多いのが、食欲低下に関連するものです。(犬の健康管理コンサルTips #22 ~ハイシニア犬の食欲不振~)
そんな犬たちの食欲不振を改善するかもしれない成分を医薬品として活用しようという動きが進められているのだとか。

その成分というのが、グレリンというホルモン。このホルモンは、健康な哺乳類の胃で主に分泌されていて、成長ホルモンの分泌を促進するほか、食欲を増進させるホルモンです。
成長期のパピーたちは、成犬よりも多くの栄養を必要としてどんどん成長していきますが、成長期に食事から栄養をしっかりと摂取し、健康的な成長を促す働きを持っているホルモンでもあります。

既に日本国内でも人間では、グレリンを食欲不振で悩む人へ投与することで食欲を改善したという臨床試験の結果も出ていて、犬たちにもこの技術を応用しようという試みがされているそうです。
犬の場合は、慢性腎臓病や腫瘍などによって、大きく食欲が低下してしまうことが多く、食欲が戻らずに体力が落ちてしまうことに悩む方も多いですよね。海外では、グレリンのこの働きを活用した薬が一部実用化されているそうなので、日本でも近い将来犬の食欲不振は薬で治療できるようになってくるのかもしれませんね。

DOG's TALK

食欲を増進するホルモンの活用についてご紹介しましたが、逆に食欲を減退させる物質もあります。
特に、感染症や腫瘍などによって、免疫の防衛機能のひとつである腫瘍壊死因子(腫瘍などの異物を排除しようとする物質)の中には、免疫としての働きと同時に食欲を低下させる機能を持っているものもあるのだそうです。免疫の働きはもちろん大切ですが、なかなか一筋縄ではいかないのが実情のようですね。
犬や人間の体内ではさまざまな物質が複雑に関係しあいながら働いています。まだまだ分からないことも多い体内の不思議ですが、今後の研究によって少しでも解明されていくといいですね。

ちょっとブレイク ポチっとクイズ

DOG's TALK

問題:犬の食欲低下治療の「薬」が存在する。〇か×、どっち?

回答:正解は、〇です。グレリンというホルモンを利用した薬で、海外ではすでに獣医療の現場でも実用化されているそうです。日本では実用化に少しかかるかもしれませんが、病気のために食欲が落ちている子のサポートとして大きな期待を寄せられている成分です。