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2020.03.02

犬の手作りごはん初心者講座 犬の必須栄養素とは。

鹿肉の長芋和え

*1 ●材料 ・鹿肉 ・卵黄 ・ほうれん草 ・れんこん ・椎茸 ・舞茸 ・セロリ ・かぶ ・長芋

最近お休みの日に犬に手作り食を作る飼い主が増えてきました。犬が何かしらの病気を抱えていたり、加齢によって食欲が低下していたりと、「手作り食を始めてみようかな」と思うきっかけは様々だと思います。
やはり、手作り食の一番のメリットは「飼い主自身が調理を楽しみながら、犬も喜ぶごはんを作ることが出来る」ことです。
今回は、初心者の方が犬の手作り食にチャレンジする際に知っておきたい犬の必須栄養素についてのご紹介です。ぜひ参考にしてみてください。

 

手作り食の基礎知識犬に必要な栄養素について知ろう。

犬に手作り食を作る上で、基本となるのが犬の体に必要な6大栄養素です。6大栄養素とは、「タンパク質」、「炭水化物」、「脂質」、「ビタミン」、「ミネラル」、「水」の6つですが専門家によっては「水」を抜かして5大栄養素と呼ぶ方もいます。

犬の必須栄養素:タンパク質について

犬の体の約20%はタンパク質で構成されているといわれています。手作り食を作ろう、と思った方が真っ先に思い浮かべる材料が、肉や魚などの体を作るタンパク質です。タンパク質は犬の皮膚や毛、筋肉や腱、軟骨などを作るために必要な「アミノ酸」の集合体で犬の生体維持のための大切な栄養素です。また、アミノ酸を代謝することでエネルギーとして使用したり、神経伝達物質として働くものがあったりと、様々な使われ方をしている栄養素です。

とはいっても、多ければ多いほど良い、ということではなく、犬たちの体質や体調に合わせた量を与える必要がありますし、アレルギーの原因=アレルゲンの多くはタンパク質だといわれています。
高タンパクなら良い、ということではなく、「適量を美味しく」が大切です。

動物性タンパク質として人気なのは、手に入りやすい鶏肉のほか、馬肉や鹿肉です。また、魚や卵もタンパク質源として使用する方が多いです。

犬の必須栄養素:炭水化物について

炭水化物は筋肉や脳のエネルギーとなる大切な栄養素で、速やかにエネルギーへと変わる特徴があります。
炭水化物というと米類を思い浮かべる方も多いかと思いますが、米類は加熱してアルファ化したものであれば犬たちも消化しやすいので、お米を与える際には必ず炊いたものを食べさせるようにしましょう。アルファ化されたお米は、適量であれば犬たちのお腹の調子を整える際にも役立ってくれます。

炭水化物源としては、じゃがいもやサツマイモ、カボチャ、豆類にも含まれているので、これらの身近な野菜を利用することができます。またヘルシーな雑穀を活用している方もいます。

■ ガンと闘病中の犬と糖質=炭水化物について

ガンを患っている犬たちの場合は、糖類=炭水化物の制限が必要です。これは、炭水化物がガン細胞が繁殖する際に必要なエネルギー源になってしまうためで、代わりにタンパク質や脂質でエネルギー源を補う必要があります。
ガンの闘病中の犬の手作り食には、糖類=炭水化物の糖質を制限するために、米類を避けて代わりに長芋やれんこんを少量使用するのがオススメです。

犬の必須栄養素:脂質について

 
脂質も犬の健康維持には欠かせない栄養素で、体のエネルギー源となります。特に皮膚や被毛の健康維持やバリア機能の維持に必須の栄養素で、オススメの食材は青魚やサーモンオイル、オリーブオイル、ヘンプオイルやくるみです。

また、オメガ3脂肪酸は犬たちの皮膚の炎症や関節炎による痛みなどを抑制する効果があると注目されていて、皮膚トラブルや関節が気になる犬たちはサプリメントなどで補うのがオススメです。

ただし、脂質が多すぎる食事を与えるとお腹がゆるくなってしまう体質の犬たちもいますので、それぞれ適切な量を見極めながら継続的に与えていくことがポイントです。

犬の必須栄養素:ビタミンについて

ビタミンは他の栄養素と異なり犬の体の構成成分、またはエネルギー源にはなりませんが犬の代謝機能や生理機能には欠かせない栄養素です。
ビタミンは「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」の2種類に分けられます。

脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)は体内に蓄積される性質を持っているため、手作り食では適量を心がけるようにしたいですね。一方で、水溶性ビタミンはその名の通り、水に溶けて排出されるほか、野菜などを湯通しすることで流れ出てしまうことも多いので、スープなどの形で与えることがポイントです。

オススメ食材は、レバー。犬の嗜好性が高く、ビタミンのほかにも鉄分や亜鉛などの強化したいミネラル分も摂取できる食材です。もともと、野生の犬の仲間も好んで食べるレバーは、犬たちにとって必要な栄養素を網羅的に摂取できるオススメの材料ですよ。ほかにも、きのこやにんじん、トマト、キャベツ、リンゴなどがオススメです。

犬の必須栄養素:ミネラルについて

ミネラルは犬の体で作れない栄養素で、食事からの摂取が必須です。体の代謝機能を働かせたり細胞の機能を正常に維持させたりするための栄養素で、多く含まれる食材は海藻や緑黄色野菜、また腎臓、心臓をはじめとした動物の内臓部分に多く含まれています。

補給には昆布の出汁やひじきなどの海藻類や減塩にぼしが役立ちます。

ミネラルには相互作用と呼ばれる複雑な関係性があり、特定のミネラルは関連しているほかのミネラルと見合った量しか使われなかったり、逆に過剰に与えることで栄養バランスを大きく崩してしまうこともあります。
手作り食に挑戦する場合は、このミネラルのバランスを短期間で整えることはまず不可能なので、中~長期のスパンで犬たちの摂取しているミネラルに偏りが出ていないかなどをチェックしていってくださいね。

不足しがちなミネラルとしては、亜鉛などがありますが、サプリメントなども併用しながら調節していくのが良いかもしれません。

犬の必須栄養素:水、水分について

水は犬の体全体の約60%~70%が占めている栄養素です。水、というとあまり栄養豊富なイメージがわきにくいかもしれませんが、犬たちの体のほとんどが水分で構成されている、と考えると、その重要性は分かりやすいかと思います。

通常、健康体の犬であれば自分の体に必要な水分量は自ら摂取しますが、病気や老衰によって自分で水分補給できない犬、水分をあまり摂取しない傾向がある犬の場合は食事から摂取するように工夫することが大切です。

水分を小まめに摂らない犬の場合、オシッコが濃くなり、排尿回数も減ることで膀胱内に雑菌が増えて膀胱炎を引き起こしたり、ストルバイト結晶などのトラブルが起きやすくなります。また、水分不足から血液検査で脱水症状が見られることもあり、注意が必要です。
水分不足が原因で起こりやすいトラブルに心当たりがあったり、「うちの子はあまり水を飲まないな」と感じたら、犬が自分で摂取する水分に加えて、ドライフードにプラスするスープタイプのトッピングを活用したり、手作りのスープご飯で食事の水分量を増やすなどしてみてください。

手作り食の場合は、たっぷり水分が取れるので、特に意識しなくても大丈夫です。

犬の健康に役立つその他の栄養素

これらのほかに、犬たちの食事に取り入れたい栄養素としては、繊維質があります。繊維質にも種類があり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。
水溶性食物繊維の場合は、腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える役割を担ってくれます。また、不溶性食物繊維の場合はウンチのかさを増し、しっかりとウンチを固めてくれる働きがあります。ウンチの状態が安定しない、軟便気味の犬には食物繊維をしっかりと摂取させることで改善することもあります。
食物繊維としてオススメの食材としては、ゴボウや豆類、葉物野菜のほか、雑穀、バナナなどがあります。犬たちが喜んで食べてくれるバナナはオヤツ代わりに食べさせてもいいですね。

もうひとつ、発酵食品も加えてほしい食材です。ヨーグルトは犬も好きな子が多いので、オススメです。

おわりに

犬の手作り食のための基本的な栄養素とその食材の情報についてご紹介しました。犬の手作り食に挑戦するにあたっては「量が適切か」、「犬たちの体調に合った栄養成分が含まれているか」は大切です。とはいえ、1食で犬たちの必須栄養素を補おうとするのは難しいので、長いスパンでさまざまな食材・栄養を摂取させようおという気持ちが大事。手作りで不足しがちな栄養素はサプリメントを活用すれば手軽で簡単です。

犬の手作り食は続けるのが難しいかもしれませんが、ときには総合栄養食タイプのドライフードを活用したり、"トッピング部分だけ手作り"などでもいいと思います。さまざまな犬たちの食事スタイルの中のひとつとして、気軽に手作り食にチャレンジしてみてくださいね。