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2020.04.29
アレルギー?気になる犬のアトピー、かゆみについて知ろう
犬の皮膚が赤みがかっていたり、いつもかゆそうに体を掻いている…。そんな姿を心配する飼い主が多いように感じます。犬の皮膚トラブルはよく見られますが、原因がはっきりとわからない「慢性的なかゆみ」に悩んでいる、というご相談がしばしばあります。
今回は、犬のアトピー「慢性的なかゆみ」による皮膚トラブルについてご紹介します。
慢性的なかゆみ、犬のアトピーについて
獣医師さんによると、そもそも「アトピー」とは、遺伝的な傾向を有し、環境に存在するさまざまなアレルゲンに免疫が過剰反応してしまう状態のことを指します。一般に犬のアトピーは、6か月~3歳の間に最初にその症状がみられることが多いとされています。
かゆみが出やすい部位も一定の傾向があり、眼の周り、口の周り、耳、耳の中、足先、指の間、脇、会陰部、肛門の周りということです。
最初は強いかゆみが起き、犬によっては脱毛も起きるケースや、その後も継続してかゆみや皮膚の炎症が起きることで、皮膚のバリア機能が低下してしまい、さまざまな皮膚トラブルに繋がっていきます。
同じように強いかゆみが出る食物アレルギーとの判別が難しく、食物との関連性を確認するためにも「アレルギーが疑われる食品を除去していく」という方法をとることが多く、診断にも時間がかかってしまうことになります。
アトピーの犬のかゆみの原因はひとつではない
獣医さんに聞いたアトピーの犬の体にかゆみや炎症が発生する原因には以下のようなものがあります。
犬がかゆみを感じる原因は複数あり、ひとつだけではないことが多いようです。
・ダニ、ノミなどの外部寄生虫
・皮膚に繁殖する菌類(マラセチア、真菌など)
・食べ物に含まれるアレルゲン
・環境に存在するアレルゲン(ハウスダスト、花粉など)
・ストレス
・遺伝的な体質(皮膚のバリア機能)
これらの要因が「かゆみを感じる」レベルを超えて蓄積したとき、犬たちは皮膚が赤くなったり、強いかゆみを感じたりするようです。ついつい、私たちは犬がかゆがっている時に「アレルギーかも!」とか「真菌かも」と一つの原因に絞って考えてしまいがちです。例えば、食物アレルギーの場合は、健康な状態であってもアレルゲンとなる食物を食べることによってかゆみが生じてしまいますが、アトピーの場合は複数の要因が重なった時にかゆみが見られることが多いとのことでした。
ほかにも、「引っ越しのストレスによってハウスダストや食品に過敏に反応してしまい、かゆみが出ている」というケースもあります。この場合、新しい環境に慣れたらかゆみが落ち着いた、ということもあるようです。
犬のアトピーはすぐに完治するものではないので、かゆがっている時には「以前との変化」についてチェックしてみるのが良いかもしれません。
アトピーの犬たちに食事からできること。
犬の食事からできる対策として、皮膚の角質層を健康的に維持、という観点から皮膚のバリア機能に役立つものを取り入れることはできそうです。
(皮膚のバリア機能のポイント)
・角質が表面から持続的に剥がれ、新しい細胞に生まれ変わる力
・角質層に存在する「抗菌ペプチド」
・天然保湿成分と呼ばれるアミノ酸やケラチン
・角質細胞の間を埋める脂質
基本的に皮膚はこれらがきちんと働くことで、アレルゲンとなるハウスダストや花粉に触れたり、静電気などの刺激から体を守ってくれています。
また、皮膚だけに限らず、細胞は正しいサイクルで生まれ変わり続けることで、常に十分に働けるような状態を維持しようとしています。だから皮膚の細胞をきちんと作ることが出来るように好き嫌いなく必要な栄養素をバランスよくしっかり食事から摂取することが大切です。
とくに細胞の材料となるアミノ酸、亜鉛などのミネラル類、細胞合成の際の補酵素となるビタミン類などはしっかり摂取したいところですね。
pointEPA、γリノレン酸について
アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの栄養素以外では、炎症反応を抑える働きが知られているEPA、γリノレン酸を含む脂質がおすすめです。
EPAはサーモンオイルをはじめとする魚油に含まれ、γリノレン酸はボラージ油、月見草油、ヘンプ油などに含まれています。
これらの有用な脂質を適量摂取することで皮膚のバリア機能のひとつである脂質の含有率を高め、保湿にも役立ちます。
サプリメントとして摂取することも可能ですが、これらの脂質を原材料に採用している高品質なドッグフードを選ぶなど、様々な形で意識的にとりいれるようにするようにしたいですね。