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2020.04.13
抜け毛が多い犬と少ない犬がいるのはなぜ?犬の被毛の豆知識。
さまざまな外見や特長を持った犬たちがいますが、犬の個性のひとつともいえるのが被毛です。犬の被毛とひとことで言っても、ロングコート、スムースコートといった具合に同じ犬種でも長さが違っていたり、柔らかな毛、固い毛と毛質が異なっていたり、めずらしい巻き方をする毛などさまざまです。そして、抜け毛が多い犬もいれば、抜け毛が少ない犬もいます。これって一体なぜでしょうか?
犬と一緒に暮らしてると感覚的になんとなく理解している被毛について、改めて豆知識と共にご紹介しています。
犬の被毛の構造:ダブルコートについて知ろう
犬の被毛の分類の中に、ダブルコートと呼ばれるものがあります。ご存じの方も多いと思いますが、いわゆる表面を覆う少し硬めのオーバーコートと呼ばれる毛と、フワフワと柔らかく体温調整にも使われるアンダーコートと呼ばれる毛の2層構造になっているものを指します。犬の中では、ダブルコートの被毛を持っている犬の方が多いといわれています。
ダブルコートの生え際を観察してみると長くしっかりとしたオーバーコートと柔らかなアンダーコートの2種類の毛が同じ一つの毛穴から生えています。これは、犬たちは1つの毛穴の中に複数の毛包(毛の細胞を作り、育てる部位)を持っていて、それらを束ねるような形で一つの毛穴から被毛が生えてきているためです。また、割合としてアンダーコートのほうがオーバーコートよりも本数が多いといわれています。
そして、この1つの毛穴から複数の毛が生える構造を持っているのは、犬以外では猫のほか、肉食動物たちだけなのだとか。
肉食動物以外の動物でも、ウサギなどはダブルコートを持っていますが、犬たちとは異なり別の毛穴からアンダーコートが生えています。
抜け毛が多い犬と抜け毛が少ない犬がいるのはなぜ?
犬種や特定の犬種の血を引く犬の特徴として、抜け毛が多い犬と紹介されたり、抜け毛が少ない犬、と紹介されることがありますね。犬に限らずすべての生き物には毛の生え変わりに周期があります。これを毛周期と呼びます。
被毛はどんどん伸びていく「成長期」、成長が徐々に止まっていく「退行期」、皮膚に留まる「休止期」の順で毛は成長していき、同じ毛穴の中で新しい毛が作られるとやがて休止期の毛は抜け落ちていきます。この流れが毛周期です。
大部分の犬は、成長期が少なく、休止期が非常に長いのが特徴で、全身の被毛の内で成長期(伸びている途中の毛)は3~15%前後だといわれています。それ以外のほとんどが休止期の毛なので、当然抜ける毛が多くなります。
一方で、プードルの仲間やヨークシャーテリア、シーズー、シュナウザーなどは成長期の毛が全身の被毛の40%以上を示しています。だから、他の犬種と比較して毛をどんどん伸ばすことが可能であり、休止期になった被毛も自然に抜ける量が少ないと言われています。
そのため、成長期の被毛が多い犬ほど抜け毛が少なくなるといわれています。逆に、休止期の毛が多い犬は抜け毛が多くなるのです。
おわりに
被毛の生え代わりについては、とくに意識しなくとも一緒に暮らしていればなんとなくわかっていた事実。飼い主としては「毛周期」より、「換毛期」の方がピンとくる言葉ですよね。スタッフ同士の会話も、「最近抜け毛が多い」なんておしゃべりをよくします。換毛期がない、あるいは、抜けにくい犬と暮らしているスタッフも、同じ時期には「カサカサ」や「パサパサ」といった言葉が出てきます。
皮膚と毛質(艶)の問題は、ペットの栄養的には主に食事中の必須脂肪酸(リノール酸)の欠乏というケースが多いようです。不足している場合、マット状の毛玉や粗毛な外観の原因である、と書かれています。
いずれも、皮膚や被毛の健康のためには短毛、長毛に関わらず定期的なブラッシングがオススメ。体調の変化や被毛のちょっとしたトラブルに早めに気が付くためにも、ぜひ抜け毛の季節は念入りなブラッシングで犬の皮膚、被毛のチェックをしませんか。
参考文献
*1 2012「痒い所に手が届く皮膚病の検査」『ペット栄養学会誌,15(2)』104-110 百田豊 日本獣医生命科学大学