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2020.05.25
夏前から対策を!本当に怖い犬の熱中症の症状と予防法について
熱中症は、若くて元気な犬であっても、重篤になってしまうことがある怖い症状。決して甘く見てはいけません。犬が安全で快適に暑い時期を過ごせるよう、熱中症の兆候や予防法についてくわしく知っておきましょう。
「犬は熱中症にかかりやすい」と心得えて
私たちは体温を一定に保つことで体のさまざまな働きを維持しています。
しかし高温多湿の環境に長時間いると、体温調節機能が乱れ、呼吸困難やけいれんが起きてしまうことがあります。これら高温多湿の環境が引き起こす体の不調を「熱中症」といいます。
犬は汗腺が肉球など限られた部位にしかなく、人間のように汗をかいて体温を下げることができず、主にハアハアと口で速く呼吸(パンディング)することで体温を調節しています。しかしこの方法だけでは、体温が高温になってしまった場合、なかなか体温を下げることができません。つまり犬は人間よりも体温調節が苦手で、熱中症にかかりやすいといえます。
とくにパグやフレンチブルドッグ、ボストンテリア、シーズー、ペキニーズといった短頭種は、鼻が短く口腔の面積が狭く、唾液を気化して熱を逃がすのが苦手なため、熱中症になりやすい犬種。また短頭種のほか、毛量が多い犬種や、高齢犬、肥満を抱えている犬も熱中症になりやすいため、一層の注意が必要です。
熱中症の症状が出たらすぐに応急処置を!
熱中症が恐ろしいのは、時間が経つほど悪化し、最悪の場合は命を落とす危険があること。対処が遅れてしまうと、仮に回復したとしても、体に受けたダメージによって内臓や脳に後遺症が残る場合があります。そのため暑い季節に、犬の様子がおかしいと感じたら、まずは熱中症を疑いましょう。次のような症状が見られる場合は熱中症の可能性が高く、すみやかな対処が必要です。
●ハアハアと苦しそうに呼吸をする
●心拍数が普段より高い
●ぐったりして動かない
●横になっていて起き上がらない
●大量のよだれを垂らす
●落ち着きがない
これらの症状が出たら、かならず応急処置を。風通しが良く、涼しい場所に移動し、うちわや扇風機で風を送り、十分な換気を行いましょう。水が飲めるようであれば飲ませます。次に冷たい水を体にかけます。小型犬の場合は全身を浸し、大型犬の場合は冷たい水で濡らしたタオルをかけましょう。全身を冷やして体から熱をとることが大切です。氷水を入れた氷のうで、のどやわきの下、お腹、内ももの太い血管のある場所を冷やすのも有効です。ただし冷やしすぎるのも体にとっては危険なため、体温が39.5℃以下になったら冷却をやめましょう。
■ 犬の体温の測り方
非常時を考えて、自宅に犬専用の体温計を用意しておくのがおすすめ。犬の体温はお尻の穴に体温計を入れ、直腸温で測るのが基本です。肛門への挿入を嫌がる犬の場合は、耳で計る体温計も販売されているので、こちらを使用しましょう。ただし耳用体温計は測定箇所によって誤差が生じやすいため、何度か計る必要があります。また犬用の体温計の使用が望ましいものの、準備する前に熱中症の症状が出てしまった場合は、人間用の体温計で代用しても。水銀タイプは割れると危険なので、かならずデジタル式の体温計で計ってください。
いち早く動物病院に連れていきたくなる気持ちは分かりますが、時間の経過とともにさらに症状が悪化する可能性があります。重篤化を防ぐためにまずは家庭で応急処置を行い、その後、動物病院に連れていきましょう。
飼い主の工夫で熱中症は予防できる
熱中症の兆候や対策を知っておくことも大切ですが、いますぐ実践すべきは、犬が熱中症にならない環境づくり。熱中症の予防で心がけるべきポイントは次の3つです。
1.散歩は涼しい時間帯に
日中の炎天下では、アスファルトの温度は60℃近くにも達します。熱を放つ地面に近いところを歩く犬は、人間よりずっと高温の場所にいるということ。散歩は、早朝や夜間など、路面温度が下がっている時間帯にしましょう。また散歩中に熱中症が起きることも考えて、飲み水やタオルを持っておくことをおすすめします。
2.車内には絶対に置いていかない
車内温度はエアコンを切ってから急上昇します。一説によるとドアを閉めてから5分後には10℃も上昇するといわれています。たとえ少しの間でも、車内に置き去りは危険です。
3.犬にとって快適な温度・湿度を
犬に適した環境は、室内の温度は25~28℃、湿度は45~65%といわれています。必要に応じてエアコンを使用し、犬にとって快適な空間を心がけましょう。室内で留守番させるときも、エアコンを利用してください。
おわりに
犬は遊びに熱中していると、体が休息とクールダウンを欲していても気が付かない傾向にあるので、注意してみていてくださいね。今回ご紹介した予防法のほか、犬用の冷却スプレーや、クール加工がされたマットなど、熱中症対策グッズなども活用しながら、暑い時期を上手に乗り切りましょう。