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2020.06.25

卵を主原料としたドッグフードが話題!注目の特長とは?

卵を主原料としたドッグフードが話題!注目の特長とは?

アメリカから、ついに卵を主原料としたドッグフードが発売となったというニュースが届きました。ドッグフード(ドライタイプ)の主原料といえば、チキンやターキー、ラム、魚といった動物性タンパク源や、大豆など豆類といった植物性タンパク源となる食材がほとんどでした。

ポチスタッフの間では、この卵を主原料とするドッグフードを、少し驚きをもって受け止めています。卵は、以前から原材料の一つとして使われてきましたが、第一原材料として卵を使うことが非常にめずらしく、とても興味深い事実でした。でも、私たちにとって身近な食材である「卵」がドッグフードの主原料としてとても新鮮に感じるのはなぜなのでしょうか?


そこで、今回は「ドッグフード」の原材料として「卵」があまり使われてこなかった理由について考えてみることにします。

まずはドッグフードの主原料として卵を使うメリットはあるの?

ドッグフードの主原料として、今まで使われてきたものといえば、やはり肉や魚などが中心。そのほかにもベジタリアン向けのドッグフードとして、豆類を主原料としたフードもありますね。ドッグフードにおいてタンパク源は、筋肉や血といった犬の体作りに必要な必須アミノ酸を摂取するために使用されています。

犬にとって必須のアミノ酸は、全部で10種類あります。アミノ酸には、桶の理論(参考:【獣医師コラム】アミノ酸スコアから考える、犬にはどんなタンパク質をあげるべき?)と呼ばれるものがあり、すべての種類をバランスよく摂取しないと体内で最も少ない量に合わせた量しか使われないという特徴があります。
さまざまなアミノ酸がいかにバランスよく含まれているかを表す指標となるのが、アミノ酸スコアと呼ばれるものです。このアミノ酸スコアが最高の「100」とされている食材が、ほかならぬ『卵』。つまり、理想的なアミノ酸バランスを持っている食材なのです。
犬たちの中には卵を好きで食べる犬もいますよね。もしかすると、本能的に栄養が豊富な食材ということを知っているのかもしれません。

卵は、栄養的には理想的なドッグフードのタンパク質源なのですが、ドッグフードの主原料として使うにあたっては難しさも存在しています。
ポチのスタッフがほかの食材と比較して感じた「避けられてきた理由」を考えてみたいと思います。

DOG's TALK

それから念のため、卵はアミノ酸スコアが100、というだけで犬の体に必要な栄養素はほかにもあります。例えば、食物繊維やビタミンCなどは、卵に含まれていません。

なぜ、卵がドッグフードの主原料として使われてこなかったの?

◆アレルギーの問題がある?
犬の中には食物アレルギーがある犬がいます。犬にみられる食物アレルギーの項目の中には、卵の項目もあります。ですが、同じようにチキンやビーフにアレルギーがある犬もいますが、肉や魚はドッグフードの原材料としてはメジャーな存在です。肉や魚と卵では、犬にアレルギー反応が出るリスク自体はあまり大きな差はないようです。食べる機会が多い食材ほど食物アレルギーのきっかけになる可能性が高くなるので、チキンにしても、魚にしても、卵にしても同じタンパク源を繰り返し長期間食べていると同じようにアレルギーになるリスクは上がります。もちろん、どれくらいの期間や量を食べるとアレルギー症状が出るようになるのかは、個体差があります。

卵は人間の食物アレルギーのアレルゲンとしても代表的な存在として見られています。そのため、卵はアレルギーのある人から避けられやすい食材になっており、ドッグフードの主原料としてもほかの食材より使用されることに抵抗感がある人が多いのかもしれません。


◆嗜好性の問題がある?
ドッグフードに使用される肉や魚には嗜好性を高める香りや味わいを持っているものもあります。例えば、サーモンであればその香りや風味を好んで食べる犬もいます。そして、人間にとっても「美味しそう」と感じる香りにもつながっていきます。

しかし卵の場合は、肉や魚と比べて「美味しそう」と感じる香りや風味を感じにくいのかもしれません。飼い主目線では、むしろ卵のにおいが苦手、という人もいるのかもしれませんね。


◆ドッグフードを作る機械の限界?
今回ご紹介したアメリカのドッグフードでは、乾燥させた卵の粉末を使用しているのかもしれませんが、フレッシュな原材料として考えた時に、難しさがあります。

最近のドッグフードでは、より嗜好性を高めるためにフレッシュな肉や魚を生のまま使用するドッグフードが人気です。以前と比べると、生の肉や魚を使っても、ドッグフードの粒を作り、固めることができるように機械自体が進化しています。
しかし、肉や魚と同じような感覚で生卵を使用すると、水分が多すぎて粒をうまく作れない可能性もあるように思います。


◆コスト、品質の維持が難しいのでは?
卵は肉や魚と比較して、卵の価格は安定しているといわれています。それは、卵は成長した鶏が毎日生むことができ、安定して供給される食材だからのようです。そのため、人間の食品としてはコストの面での問題なさそうです。卵は基本的に品質にもばらつきが少なく、価格の変動の少ない食品です。
生の卵は割れてしまうことで雑菌が中に入ってしまったり、傷んでしまう可能性があります。しかしドッグフードの原材料として使用される時には、乾燥させた卵を使用することも多いようですし、1度に大量の卵を加工し、保存期間が延びるため乾燥卵にはドッグフード原材料として利点が大きいです。

ドッグフードの原材料を考えた場合、肉や魚は人間用のステーキ肉(フィレ)を使うことはまずありません。ほとんどがステーキ肉を取った後に出る端材や骨の周りについているような部分になります。
一方卵にはそういった派生製品が出ません。すなわち、人間用として販売可能な食品をドッグフード原材料にすることになるため、ドッグフード原材料としては高価な原材料となります。

おわりに

ドッグフードの主原料として卵を使用した商品が登場したことを受けて、今まで卵を主原料にしたものがなぜなかったのかを自由に考えてみました。私たちにとって卵ごはんは、たまに無性に食べたくなる究極のシンプルメニュー。犬にとってもきっとおいしいはずです。
最近注目されている昆虫食も含め、これから様々なタンパク源のフードが世の中に出てくると思います。今まで当たり前だった肉や魚が希少になり高価なものになる可能性だってありますから、いろいろ新しいものにチャレンジしていきたいと思っています。

これからのドッグフードのトレンドがどのように移り変わっていくのか、これからもPOCHIは興味深く観察していきます。