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2020.10.22

犬の肥満はドッグフードが原因?犬が太りすぎる原因とポイント

犬の肥満はドッグフードが原因?犬が太りすぎる原因とポイント

私たちにとって犬は特別かわいい存在。多少ポチャッとしていても、かえって愛らしく見えるものですよね。しかしそれが太りすぎ・肥満のレベルだとしたら、残念ながら注意が必要。肥満は犬の体に負担をかける可能性があります。
どこからが肥満なの?犬の肥満の原因はドッグフードなの?どうすればいいの?など、知っておきたい「犬の肥満」の基本的なポイントについてご紹介します。

肥満の原因はドッグフードとは限らない!

犬が肥満になる理由は、病気が原因のケースを除くと、人間と同じように消費カロリーよりも摂取カロリーが上回っていることにあります。
犬が欲しがるからと言ってカロリーを気にせずに好きなだけ食事を与えたり、人間と同じものを食べさせたり、喜ぶからとオヤツを頻繁に与えたりしていると、いつの間にか犬が太ってしまった・・・ということが少なくありません。

犬の肥満と関連してよく見られる症状が関節などのトラブル。適正体重よりも体が重いため、関節への負担が増します。痛みが出ると運動や散歩を嫌がるようになり、より適正体重から遠のいてしまうこともあります。関節の痛みがあるにも関わらず無理に運動をさせてしまうと、痛い部分をかばって歩くようになり、腰や他の脚の関節にも負担がかかってしまい、痛む箇所が増えてしまう悪循環に陥ってしまうことも。やはりいつまでも犬が若々しく、楽しく暮らしていくためのサポートとして、オヤツを含む食事の見直しや無理のない範囲での運動を維持するなど、基本的な意識が大切です。

■ 犬の肥満はドッグフードで解決できるの?

結論から言うと、犬の肥満の原因はドッグフードだけではありません。
肥満体形の犬のために、ドッグフードを変えることを選択肢として考える人が多くいますが、ドッグフードをダイエットに適したものに変えただけでは根本的な解決になりません。
ダイエット向けのドッグフードは、カロリーや脂質、糖質などが控えめに作られているものが多いのですが、それは"ほかのフードと同じ量を与えている場合では"の話です。ダイエット用のドッグフードだからといって、多く与えてしまうと当然犬の摂取カロリーを抑えることにはなりません。

また、犬が食べているのはドッグフードだけではないというご家庭も多いと思います。ちょっとしたご褒美に、というつもりでオヤツなどを与えることもあると思いますが、犬が1日に食べるものすべてをカロリー計算する必要があります。厳密に体重管理を行うのであれば、おやつもなるべく与えない方が効果的といえます。

体重と体型で犬の肥満度をチェック!

■まずは犬の適正体重を知ろう

肥満かどうかを判断するうえでポイントになるのは「体重」と「体型」です。標準的な体重は体格によって変わるため、一概に犬種などで決められません。
「太りすぎかな?」と思ったら、まずは犬の体重を計りましょう。成長期が終わった頃の体重を目安として、そこから大幅に増えているようであればダイエットを意識。ただ適性体重の判断はなかなか難しいところではあるため、健康診断をする際などに獣医さんに相談するのが良いでしょう。

■体型チェックも忘れずに

肥満度を知るには体重だけでなく、体型も重要なチェックポイントになります。体型を知る目安にしたいのが、犬の体を見たり、触ったりして体型を5段階で評価する「ボディー・コンディション・スコア(BCS)」です。チェックポイントは肋骨と背骨と腰骨。上から見たときに腰のくびれがなかったり、触れても肋骨が分かりにくかったりした場合は、肥満の可能性も。犬をよく見て、よく触って、「ボディー・コンディション・スコア(BCS)」のどこに当てはまるのかをチェックしましょう。

【出典】 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」

BSC1 
痩せ
肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪が分からない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。

BSC2 
やや痩せ
肋骨が容易に触れる。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。

BSC3 
理想体重
過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろの腰のくびれが見られる。横から見て腹部の吊り上がりが見られる。

BSC4 
やや肥満
脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれは見られるが、顕著ではない。腹部の吊り上がりはやや見られる。

BSC5 
肥満
厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、むしろ垂れ下がっている。

ドッグフードは理想体重に基づいた「適正量」を

肥満かな?と感じたら、まず行うべきはオヤツも含めた食事量の調節。肥満は、与えているドッグフード・オヤツのエネルギー量が、適切な量よりも多すぎることによって起こります。
肥満時の体重に合わせた給与量を与えていては、減量はできません。
理想体重に近づけるためには理想体重に合わせた給与量より少なくする必要がありますが、急激な減量は厳禁です。食べさせすぎていたという場合には適正体重の給与量の目安にまで徐々にフードの量を減らしていきましょう。
フードの袋には体重に対しての適正量が記載されているので、まずはそれを参考に。
ただし参考にするべきは、現在の体重ではなく、“理想体重”なので注意してください。主食となるドッグフードの量を減らしたり、低カロリーのものに変更することで調節を。

オヤツ(間食)をやめることも犬のダイエットには有効です。総合栄養食タイプのドッグフードを適量与えているのであれば、1日に必要なカロリーはフードで十分とれているため、おやつなどの間食は、余分なカロリーになります。本格的に犬のダイエットに取り組むならご褒美などで与えていたオヤツの回数はなるべく減らすようにしましょう。

 

それから、ドライフードよりもグラムあたりのカロリーが低い缶詰タイプをかさ増しトッピングとして利用し、食事全体の量は維持しながらカロリーコントロールを行うなどうまく活用するのもおすすめです。

また食生活の見直しと同時に意識したいのが、運動量の増加。散歩の時間をはじめは今より少し長くする程度、慣れてきたら、あと5分、10分と徐々に長くしていくだけで体が締まってくることもあります。小型犬なら部屋の中で「とってこい」を毎日10分行うことでいい運動になります。ただし無理をさせるのは体の負担になるので禁物。小さな“頑張り”を毎日コツコツと積み重ねていくことが重要です。

■ 犬のダイエットでは食事と運動のバランスが重要。

犬の肥満のための取り組みとして、食事面を意識して改善しようとする方が多いのですが、犬の減量のために大切なのは摂取カロリーを消費カロリーが上回ること。
消費カロリーを上げる方法としては、運動量を増やすほかに筋肉量を増やすことがあります。筋肉が多ければそれだけ同じ運動量であっても効率的にエネルギーを消費することができるようになります。
筋肉はしっかりとタンパク質を摂取しつつ、運動量を増やすことでついていきます。そのため、食事の見直しと合わせて運動量を増やすことで筋肉量も増え、効率的にエネルギーを消費していくことが可能になります。
食事を減らす、肉や魚などのタンパク源をあまり摂らせないという方法でダイエットを行っていくと筋肉が落ちてしまい、なかなかエネルギー消費量を増やすことができなくなってしまいます。

おわりに

犬のダイエットや体重管理は、ドッグフードを変更するなどの食事の見直しだけでは難しいケースが多いです。ドッグフードを食べさせすぎていた場合や、オヤツを与えすぎていた場合などはしっかりと量を見直したうえで、運動量を増やし、筋肉をつけることを意識してみるのがオススメです。基礎代謝を上げることで太りにくい体質にすることも可能です。
少し「太り気味」くらいであれば、食事に気を付けるなど、家庭の工夫で対応ができますが、「肥満」(図で言えばBCS5)となると、かかりつけの獣医師への相談が必要。
無理な食事制限や運動は、かえって犬の体に負担をかけてしまうことがあります。獣医師と一緒に食生活や運動習慣を見直し、無理のないレベルで目標を立てて、あせらずじっくりと取り組みましょう。