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2021.03.01
ドッグフードの原材料としてのサーモン、人気の理由を薬膳視点で解説!
鮭(サーモン)は、ドッグフードの材料としてもよく使われる食材のひとつですよね。鮭には、犬の健康管理に役立つ栄養素が含まれていますが、今回はちょっと視点を変えて、薬膳の観点でその働きをチェックしてみました。
難しそうに聞こえる薬膳の考え方を分かりやすくまとめています。今回は、鮭に含まれている栄養素と、薬膳的な観点からみたとき、どんな効能があるのかについて解説していきます。
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この記事の監修:宮﨑 奈津季(みやざき なつき)
管理栄養士、薬膳コーディネーター。レシピの栄養計算や、コラムの執筆を担当。季節や体調に合わせた薬膳に関するコラムの執筆を担当。私生活では、おてんばな性格の三毛猫のエマと暮らしている。現在は、「好きな人のための手料理で幸せな食卓づくりを。」をミッションに掲げる合同会社HITOOMOIで、栄養計算やコラム執筆をメインに活動中。
鮭に含まれている栄養素
鮭にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
■アスタキサンチン
鮭は白身魚ですが、色がサーモンピンクと表現されるように赤みを帯びていますよね。
これは色素成分カロテノイドの一種「アスタキサンチン」によるもので、カニやエビの色素成分と同じものです。アスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去することで、白内障や健康的な皮膚の維持、細胞サイクルの維持につながるといわれています。
■EPA・DHA
魚に多く含まれているオメガ3脂肪酸、EPA、DHAは鮭にも含まれています。EPA、DHAは血液をサラサラにし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。
血栓をできにくくしたり、抗炎症作用があるともいわれています。EPAは関節系のサプリメントや皮膚のかゆみやフケに悩む犬に役立つ栄養素です。DHAは脳神経系の健康維持や、認知機能を保つのに役立つと言われています。
■タンパク質
タンパク質は20種類のアミノ酸でできています。その中でも鮭は、必須アミノ酸のバランスが良く、アミノ酸スコアが高いので良質なタンパク質となっています。
(必須アミノ酸はバランスよく摂取することがポイントです。詳しくはこちら:【獣医師コラム】アミノ酸スコアから考える、犬にはどんなタンパク質をあげるべき?)
■ビタミンB群
鮭には、体内でのアミノ酸合成に必要なビタミンB6、エネルギー代謝に関与するビタミンB12が含まれています。タンパク質と合わせて摂取することで効率的にエネルギーを代謝することができ、疲労が見える時のエナジードリンクによく使われている栄養素です。
鮭の薬膳的効能について
鮭は、薬膳の中でも冷えを改善する食材のひとつといわれています。
薬膳における冷えは、身体の内部の機能が衰えることで、四肢や腰などの冷え、下痢、頭痛、食欲不振、咳などにつながるといわれています。このような時に選びたい食材が鮭です。
鮭は体を温める作用を持っており、お腹を温め、全身の血の巡りを良くしするとされ、むくみや疲れがある場合にも使われます。また、胃腸の働きを整える働きを期待し、下痢やお腹が張っているときにも用いられる食材のひとつです。
薬膳的な観点から、体やお腹の冷えが気になる場合に与えると良い食材です。血の巡りや、冷えが気になる時に活用するといいですね。良質なタンパク質を含んでいるため、食欲が落ちているときに与えると、効率よく栄養を摂取することができ、筋力が低下しやすいシニア犬の栄養管理にも役立ちます。
犬に与える時のオススメの与え方
犬に鮭を与えるときには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
与える時のおすすめは、普段のフードのトッピングやおやつなど「副食」のような形で与えます。与える量は、1日の食事量の10%を目安にしましょう。
与える時には、大きな骨は取り除いてあげてください。皮はコラーゲンが含まれているため、関節が気になる犬にとっては嬉しい部分です。味つけはせずに、蒸すかゆでるなど加熱調理してから与えると良いでしょう。食べやすい大きさに切るか、身をほぐしてから、フードにトッピングしたり、スープに入れるのがおすすめです。
スーパーでは塩鮭も売られているので、「生鮭」を選んでください。
まとめ
鮭は、犬にとって有用な栄養素が含まれていて、犬にも飼い主にも人気の食材です。手作り食を作る際にも、普段は肉がメインになりがちな犬でも、時折鮭を与えることで食事に変化をつけることになり、飽きがこない工夫になるはずです。
私たちにとっても、鮭は身近に手に入り、体に良い栄養素が豊富で、犬と同じ食材を楽しむことができるので便利な食材です。犬の体調に合わせて、ぜひ、日々の食事に鮭を取り入れてみてください。