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2021.04.08
犬がケチャップを舐めてしまった!これって大丈夫?気になるあれこれ
犬はおいしいものが大好きです。とくに大好きな飼い主が食卓などでおいしそうになにか食べていれば、「いいなあ、それ。同じもの食べたいなー」と言いたげな顔でジーっと見つめてきますよね。
だからそれがブロッコリーの温野菜であったとしても調味料がばっちりついていたら「ノー!これはダメ。食べてはいけないものなの」と、犬に言い聞かせたりします。でも‥‥。
「そもそもコレ。犬に食べさせてはいけない理由ってなんだっけ?」と、私たちに身近すぎる食品の中から、今回はハンバーガーや洋食の調味料としておなじみの「ケチャップ」に注目してみました。
犬がケチャップを食べてしまったけど、大丈夫?
ハンバーガーやオムライスなどに使用されることが多いケチャップ。肉が使用されていて、犬が興味を持ちやすい料理にもよく使用されていることから、「ケチャップついてるけど、食べさせていいのかな…」と悩んだ方も多いのではないでしょうか。
一般的なケチャップの原材料などから調べてみました。
■ケチャップの原材料について
市販されているケチャップの原材料をチェックしてみると、トマト、糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料となっています。
メインとなっているのはトマトで、糖類や醸造酢、食塩と続いています。ここまでの材料はドッグフードにも使用されることがある材料で、量の問題はありますが、食べてはいけないものではありません。
しかし、その次に出てくる玉ねぎは犬が食べると危険、ということをご存知の方も多いと思います。玉ねぎの分量は具体的には記載されていませんが、犬が玉ねぎを食べて中毒症状が出る目安と比べてチェックしてみましょう。
ケチャップに含まれるたまねぎの有害成分について 知っておきたいポイント
■玉ねぎ中毒ってどんなもの?
玉ねぎが犬にとって有害であるといわれているのは、玉ねぎや長ネギ、ニンニクなどの野菜に含まれるチオ硫酸化合物という成分によるものです。
この成分は、血液に作用して赤血球を酸化させ、赤血球がが十分に働くことができない状態にしてしまいます。赤血球の働きが十分でない状態はいわゆる貧血です。犬は玉ねぎを食べると貧血になる可能性がある、という訳です。
たまねぎ中毒になった犬は貧血状態なので、食欲が低下したり運動量が減ったりするほか、分解された血液の成分が尿で排出されて血尿のような状態になることもあるそうです。
■玉ねぎ中毒を起こす量の目安
玉ねぎ中毒が日本でよく知られる犬の病気になったのは、1970年代の頃だといわれています。貧血状態であり、血尿をしている犬がある病院に運び込まれたことに端を発し、同じような症状が見られた複数の犬の診察と食事の内容から、ようやく「どうやら犬の貧血には玉ねぎが関係しているようだ」と判明しました。
この頃はまだ人間用の食事の残りを犬に食べさせていた家庭が多く、味噌汁や煮物を白飯にかけたようなごはんを与えている家では、犬が玉ねぎやネギの仲間を食べてしまうことがたびたびあったようです。
しかし、このネギの仲間に含まれる成分で起こる貧血は犬によって症状が出る量もまちまちなようですが、"体重1kgあたり15~30g"というのが1つの目安となっています。
たまねぎは大体1つで170g~250g程度のものが多いので、体重3kgほどの小型犬であれば、だいたい玉ねぎ1/4~1/2個(45~90g)ほどの量ということになります。
もちろん、個体差があることは大前提ではありますが、玉ねぎのスライスを少し食べてしまったとか、玉ねぎが使用されているケチャップを舐めてしまったからといって、すぐに危険な状態になるということは考えにくいかもしれません。
ただし、たまねぎ中毒は本来多量に連続で摂取すると起こるものですが、犬の場合では過敏症が多く見られます。体質的に苦手、という犬の場合は肉じゃがの汁で発症することもあるということも、知っておきたいポイントです。
■ケチャップに含まれる玉ねぎの量は?
市販されているケチャップには玉ねぎが使用されていますが、その量はあまり明記されておらず、トマトなどのほかの材料と比べると後ろの方に原材料として表記されている場合が多く見受けられました。(原材料は原則として先に表記されるものほど使用量が多くなります)
ケチャップは大さじ1杯で約18gなので、犬がケチャップのついたものを食べてしまったとしても玉ねぎの有害成分が体調に影響するほどの量ではない可能性が高いです。まずは様子を見てみるのが良いかもしれません。
とはいえ、いつもと様子が違う(ぐったりしている、口の中の血色が悪くなる、血尿が出るなど)と感じたら速やかに動物病院へ相談するようにしてください。
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ビタミンやタンパク質などの成分は、加熱されるとその活性を失ったり、変質するものが多く、食品そのものが持っている栄養を十分に摂取するためには調理法に工夫が必要な場合が多いのですが、玉ねぎの溶血成分は、加熱しても壊れないという特徴を持っています。
加熱してあるから大丈夫、という訳ではありませんので注意してくださいね。
ちなみにたまねぎ不使用でもケチャップは作れる!
市販されているケチャップには、犬にとって注意したい玉ねぎが使用されていますが、ケチャップのレシピのなかには玉ねぎを使用していないケチャップも販売されているそうです。
世界にはフルーツをメインに使用したフルーツケチャップやキノコをメインに使用したマッシュルームケチャップなんていうものもあるそうです。玉ねぎを使用していないケチャップなら、万が一があっても安心ですね。
おわりに
今回は私たちになじみ深い調味料から、ケチャップについてご紹介しました。実は玉ねぎが使用されているケチャップですが、玉ねぎの中毒症状が見られる目安量を考えると、犬が食べたり舐めてしまったとしてもただちに体調に影響するとは考えにくいです。
玉ねぎが入っている、と思うと動揺してしまい「吐き出させなきゃ」と思う人も多いですが、落ち着いて水をり飲ませることも大切な対策になります。
ただし、過敏症の犬の場合歯ぐきや唇などの色が薄くなったり、ぐったりして元気がなくなるといった変化が見られる場合は貧血を起こしている可能性がありますので、速やかに動物病院で処置を受けるようにしてくださいね。