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2021.08.25
【#大きな犬と】健康診断で健康寿命を延ばそう!
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、遊びや食事や健康といった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報「健康診断」
大きな犬は小型犬よりも、成犬になったら肉体年齢をはやく重ねていきます。だからこそ、元気なうちから動物病院で定期的な健康診断をして、健康管理に役立てるのが大切です。もし健康診断で病気が見つかっても、早期発見ができれば、飼い主さんも犬も治療への負担が減ります。健康診断やかかりつけ医のアドバイスをとおして、大きな犬たちの健康寿命を延ばしてあげましょう!
健康なときのデータを得ておくのが大切!
2021年の夏、成城こばやし動物病院で、7歳の元保護犬のミックス犬・シンバくんが健康診断を受けました。
担当した高柳かれん獣医師によると、1歳から5歳までは年に1回、大きな犬が“中年”になる6歳からは半年に1回の健康診断を受診するのが理想的とのこと。
「大きな犬は、たとえば心筋症などのトラブルが小型犬に比べて多く見られます。なので、心臓の肥大などの異常に早期に気づけるよう、通常の状態のレントゲン写真を若齢期に撮っておきたいものですね。もちろん、血液検査の数値など、健康なときのすべての過去データを保存しておけば、病気を発見した際のデータと比較ができます。そのためにも、1歳からの健康診断はとても意義があります」
動物病院によっては、人間ドックのような健診パックを用意しているところもあります。獣医師や動物看護士に、どの健診メニューを選ぶべきかを相談しながら決めると良いでしょう。
今回、シニア犬であるシンバくんは、成城こばやし動物病院で、視診、触診、聴診、血液検査、レントゲン検査、腹部超音波検査、尿検査、便検査がセットになった健診プラン(ドッグドック)を受けました。
飼い主さんが検査日に持参した尿の検査では、腎疾患、泌尿器疾患、糖尿病などの有無を、糞便検査では、消化管内の出血や寄生虫の有無を調べます。
朝食抜きで、動物病院に預けられたシンバくん。以下、その健康診断の手順を解説していきます。
まずは診察室へ。聴診と触診からスタート
診察室に入ったシンバくんが落ち着いたところで、まずは聴診から。聴診では、心拍数やそのリズムの確認、心雑音の有無(心雑音があれば、僧帽弁閉鎖不全症の疑いあり)や、胃腸がきちんと動いているかどうかなどを確認します。
続いて、肥満ではないか、逆に痩せすぎていないかを、背骨や肋骨を触ったりしながらチェック。リンパ節が腫れていないか、皮膚疾患や腫瘍がないかも、獣医師は目と手を使いながら診ていきます。
「最近は肥満の犬が増えているように感じますが、気づいていない飼い主さんも多いんですよ。実は肥満は、全身に無自覚で無症状な炎症が存在する状態とも言えるので軽視できません」(高柳獣医師)
- 心臓や消化器の音を聴診器で確認。
- 脱水症状がないかを確かめます。
- 肥満度をはじめ、皮膚やリンパ節の状態を触診。
関節を動かして、関節疾患がないかチェック
続いて、シンバくんの肘関節、股関節、膝関節の動きに問題がないかを、獣医師は触診でチェック。
「大きな犬は、股関節形成不全(股関節異形成)や肘関節形成不全(肘関節異形成)を先天的に持っている場合があります。
また、中型犬に近いサイズの犬では、膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼)を若齢期から発症するケースもあります。
さらに、シニアになってくると、体重の重い大きな犬は靭帯断裂や関節炎を起こしやすくなります。
それらは早期に発見できれば、生活環境を足腰に負担がないように整えたり、サプリメントを与えるなどして悪化を防げるので、定期的なチェックがとても重要です」と、高柳獣医師は言います。
耳と目を、医療器具を使って視診
耳と目は、医療器具を使用しながらじっくりと観察を行います。
「耳鏡で見て、飼い主さんが気づいていなかった外耳炎がわかることもあります。
また、犬種にもよりますが、犬は人間とは違って若齢からの白内障にかかることもめずらしくありません。白内障がないか、ほかの眼疾患になっていないかをよく診ていきます」
そう語る高柳獣医師に、日ごろからスキンシップが大好きというシンバくんは安心しきった様子で身を任せています。
<1>耳鏡を使って耳道に炎症がないかを確認。
<2>目には光をあて、隅々まで診ます。
歯周病や口腔内に腫瘍がないかを視診
大きな犬にかかわらず全ての犬は、デンタルケアをしないでいると3歳以上で約8割が歯周病になると言われます。
歯周病は、歯と歯肉だけの病気ではありません。ほとんどが細菌感染を伴い、心臓をはじめさまざまな臓器に悪影響がおよぶ恐れがあります。
「健康診断では、歯肉炎や歯石の有無も診ながら、歯周病がどの程度進んでいるのかをチェックしていきます。
歯周病が進行していて、全身麻酔をかけて歯石除去やクリーニング、抜歯を行ったほうがよいシニアドッグも少なくありません。歯科検診は、健康寿命を延ばすツールとしても大変重要なんですよ」
このように説く高柳獣医師はまた、シニア期以降の犬では、健診時に口腔内腫瘍が発見されるケースもあると言います。
最後は、レントゲン検査と超音波検査
今回は聴診、視診、触診が終わってから、血液検査のために採血を行い、最後にレントゲン検査と超音波検査(エコー検査)を行いました。
血液検査をすると、臓器の機能状態などがわかります。
シニア犬になったら、甲状腺の機能を調べるT4、FT4といった項目を追加すると良いでしょう。そのほか、炎症反応を調べるCRPなど、オプションで追加したほうが良い項目は、事前にかかりつけ医に相談してみてください。
レントゲン検査では、主に心臓や肺の異常、ヘルニアや関節疾患の有無、消化管内の異物(金属などレントゲンに写る物のみ)の有無、腫瘍(1cm以上)などを診断します。
腹部の超音波検査(エコー検査)では、肝臓、脾臓、膵臓の状態、膀胱内の様子や胆泥の有無、腫瘍(5mm以上)などがわかります。
また、カラードプラーと呼ばれる超音波機器を持っている動物病院で胸部の超音波検査を行った場合、心臓の血流や弁の動きも確認できるため、僧帽弁閉鎖不全症など心臓病の早期発見につながります。
後日、検査結果の報告を聞きに
血液検査、尿検査、便検査の結果も含めて、健診プランを用意している動物病院の多くは、検査結果を後日聞きに行くことになるでしょう。
成城こばやし動物病院のように、健康診断の結果報告書をまとめているところもあります。
高柳獣医師は「若齢のうちから、春にフィラリアの抗原検査で採血をするついでに血液検査を受けるだけでも、おすすめしたいですね。そして、半年後の秋にはドッグドックと、0歳から定期的な健診を受けられれば、きっと大きな犬たちの健康な生活をじょうずにサポートできるはずです。実際に、健診で病気の早期発見と早期治療に結びついたケースはたくさんあります」と、健康診断の大切さを強調していました。
ライター:臼井 京音
■ 獣医師:高柳かれんさん
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